本妻のテントさんとその子のトップくんを温かく見守るネッシンさん=高尾山さる園・野草園公式YouTubeより

いなくなっても、なお愛されて 高尾山さる園、歴史に残るボス「ネッシン」という生き方

By - emogram編集部・ゆんち
アニマル

東京都八王子市「高尾山さる園・野草園」の先代ボスザル、「ネッシン」さん。目が見えなくなってもなお、よその赤ちゃんを身を挺して守ったエピソードは、いまも多くのファンの中にあります。そんなネッシンさんの生涯を振り返る動画が、同園の公式YouTubeで公開されています。今回は、その動画をもとに、ネッシンさんという一頭のサルを振り返りたいと思います。

27歳ごろのネッシン、力強いジャンプを見せていたころ

動画には、サル山で力強くジャンプする2023年ごろのネッシンさんの姿が収められていました。サルとしては超高齢の27歳ごろの映像ですが、まだまだ力強かったようすが伝わってきます。

高齢になっても力強いジャンプを見せていた、先代ボスのネッシンさん(中央)=高尾山さる園・野草園公式YouTubeより

同園によればサルの年齢を3倍にすると人間の年齢になるそうで、人でいえば80歳ぐらいだったネッシンさん。おじいさんになっても、元気いっぱいだったのでしょう。

大人からも、赤ちゃんからも愛された存在

ネッシンさんが愛されていたのは、同世代のサルたちからだけではありません。ネッシンさんがメスの中で1番好きだった「テント」さんが、一時期よその赤ちゃんを連れてくることがブームになっていたころも、ネッシンさんはテントさんが連れてきた赤ちゃんを、温かく見守っていたといいます。

テントさんがどこかから連れ去ってきた赤ちゃんも、温かく見守っていたネッシンさん=高尾山さる園・野草園公式YouTubeより

また、テントさんの息子であるトップくんにも、ネッシンさんはとても懐かれていたそうです。

毎年、生後間もない赤ちゃんたちから好かれる存在だった、というエピソードからも、ネッシンさんの穏やかな人柄ならぬ「猿柄」がうかがえます。

生後間もない赤ちゃんにも、子ザルたちにも慕われていた先代ボスのネッシンさん=高尾山さる園・野草園公式YouTubeより

好物はサツマイモにバナナ、そして野の花も食べる

ネッシンさんの好物は、サツマイモやバナナ。それだけでなく、ハルジオンの花も好んで食べていたそうです。

ハルジオンのお花も食べていた、食いしん坊の先代ボスのネッシンさん=高尾山さる園・野草園公式YouTubeより

お花と一緒のネッシンさん、とってもかわいいですよね。

最後まで、変わらなかったこと

2025年2月13日、ネッシンさんが亡くなる約2週間前ごろのこと。いろいろなサルたちが、ネッシンさんのもとへ次々とあいさつにやってきていたそうです。「今思えば、お別れのあいさつに来ていたのかな」と、動画の中で飼育員は振り返っていました。

ネッシンさんのところに、サル山のサルたちがあいさつにきていたそう=高尾山さる園・野草園公式YouTubeより

そしてネッシンさんは亡くなる2日前も、いつも通り飼育員におやつを催促していたといいます。最後まで、食欲旺盛だったそうです。

ネッシンさんが天国へと旅立ったのは、2025年2月27日。ボスの座に就いたまま、その生涯をまっとうしました。29歳9カ月の猿生のうち、実に22年間もの長きにわたり、ボスとして群れを守り続けたのです。

サル山の大人のサルに限らず、赤ちゃんからも慕われていた先代ボスのネッシンさん=高尾山さる園・野草園公式YouTubeより

ファンから寄せられた、たくさんの声

この動画には、多くのファンから温かいコメントが寄せられています。

「ネッシンの食べる姿が大好きでした。またその姿が見れて嬉しいです」

「ケンカの仲裁をする勇敢な姿も、もいっこ頂戴のおねだりする可愛い姿も、赤ちゃん猿に次々好かれちゃう優しい姿も、やっぱり全部素敵ですね」

「ネッシンさんは、高尾山さる山で特別な存在だったので、永遠のリーダーとして忘れません」

「生前さる園を訪れた際、飼育員から『力が強かったり大柄なだけでは群れのボスにはなれない。信頼を集めたお猿さんがボスになれる』と伺ったのを思い出しました。ネッシンさんは、まさに信頼されたボスだったんですね」

「ネッシンとのお別れから1年が経ち、トロロ時代にも少しずつ慣れ始めて、ようやく一区切りがつけました。3頭が揃ってジャンプする姿が懐かしい。最期まで仲間たちに愛され信頼されていたね」

たくさんのサルだけでなく、来園者からも慕われ、愛されていたネッシンさん。いまでも天国から、高尾山さる園のサルたちを、温かく見守っているかもしれませんね。

■高尾山さる園・野草園公式YouTube:ネッシン一周忌思い出ムービー

ライターコメント

「力の強さや体の大きさだけでは、群れのボスにはなれない。仲間からの信頼を集めたサルだけが、その座につける」という飼育員さんの解説の通り、ネッシンさんは立派なボスでした。亡くなる直前まで変わらなかった食欲旺盛な姿も、最後まで「ネッシンさんらしさ」を貫いていたようで、胸が熱くなりました。

<ライタープロフィル>ゆんち

2004年に産経新聞社へ入社。静岡、仙台での事件取材を経て、東京社会部では厚生労働省を担当、派遣労働問題などの社会課題を深く掘り下げる。また、特異なキャリアとして法廷画家を兼務し、数多くの法廷画を手掛けてきた。その後、産経新聞社が発行していたタブロイド紙「SANKEI EX」にてブランド、旅、食をテーマとした執筆活動を展開。南アフリカやオーストラリアなど世界各国を取材で巡るほか、臨時特派員として南太平洋のキリバス共和国への駐在経験も持つ。J-WAVE「TOKYO MORNING RADIO」にて、週1回おすすめニュースを3年間にわたり担当。

現在は2児の母となり、これまでの取材経験に加え、教育、健康、ライフハックへと関心の幅を広げている。「趣味を仕事に!」をモットーとする自称「脱力系ライター」。釣り、温泉、グルメ、そして海を眺めてぼーっと過ごす時間を愛する旅人でもある。長年、酒と旅と釣りを友としてきたが、現在は期間限定で禁酒中。新商品から旅、ファッション、グルメまで、自身のアンテナに触れたトピックを独自の視点で発信している。

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