サル山に人が侵入するという前代未聞の事件が発生した直後、千葉県の市川市動植物園の公式Xでは、安全対策の報告とともに「撮影の禁止も議論に」という一文が投稿されていました。来園者にとって大きな楽しみの一つである「写真撮影」。それが禁止になるかもしれないという事態は少々驚きですが、動物たちの安全には代えられないというのも理解できます。市川市動植物園の安永崇課長は、「動物ファースト」の徹底と「来園者への思い」とのバランスを、どのように保っているのでしょうか。
究極の「動物ファースト」と動物園の存在意義
侵入事件が発生した際、安永課長は「市川市動植物園の中だけで決められる次元ではない」と判断し、市川市の上層部と緊急の協議を行ったそうです。その結果、当日中にできる緊急対策として、サル山周辺の規制ゾーン拡大とネットの設置が行われました。
安永課長は、協議のテーブルにはさらに厳しい「究極の選択肢」も用意したといいます。
安永課長:「再発防止には色々な考えが浮かびます。例えばサル山にそもそも
動物たちの安全確保のためには、模倣犯を出さないことが大切だと考えた安永課長。しかし、動物第一ということを追求すれば、「動物の平穏のために一切動物園に人を入れない」ということになってしまいます。
安永課長:「それによって平穏が保たれますし、模倣犯も現れないでしょうが

遠くから足を運んでくれるファンも少なくない
結果として、園は「サル山の撮影全面禁止」という措置には即時に
安永課長:「もし、何の代替策もなく撮影全面禁止にしてしまった場合、もの
また、撮影禁止にしたことで盗撮のような問題が出る可能性もあります。それをどうやって取り締まるのか、といったこともあります。
ファンが広げてくれた人気を「全否定」はしない
そしてもう一つ、安永課長が撮影禁止にしなかった大きな理由があります。それは、今のパンチくんの人気が、ほかでもない「ファンたちの発信」によって作られたものだという事実です。
安永課長:「これまで、いろんな方が写真や動画をSNSにあげてくださって、そういったものが世界中に拡散することで、パンチが人気になったという側面もあるわけです。そこを全否定するというのは、選択肢として乱暴に感じるのです」
一部の心ない人間の行動によって、すべてのファンから楽しみを奪うような「乱暴な選択」はしない。安永課長の決断から、市川市動植物園がどれほどファンを信頼し、大切に想っているかが伝わってきました。
ライターコメント
いまや世界一有名なニホンザルとなったパンチくんですが、その背景には、多くのファンがSNSを通じて魅力を発信してきた歴史があります。安永課長がその事実を片時も忘れず、感謝を語る姿がとても印象的でした。動物の安全を第一に考えながらも、ファンが築き上げてきた絆を決して無下にしない。市川市動植物園の温かく誠実な姿勢に、改めて心を動かされました。
<ライタープロフィル>ゆんち
2004年に産経新聞社へ入社。静岡、仙台での事件取材を経て、東京社会部では厚生労働省を担当、派遣労働問題などの社会課題を深く掘り下げる。また、特異なキャリアとして法廷画家を兼務し、数多くの法廷画を手掛けてきた。その後、産経新聞社が発行していたタブロイド紙「SANKEI EX」にてブランド、旅、食をテーマとした執筆活動を展開。南アフリカやオーストラリアなど世界各国を取材で巡るほか、臨時特派員として南太平洋のキリバス共和国への駐在経験も持つ。J-WAVE「TOKYO MORNING RADIO」にて、週1回おすすめニュースを3年間にわたり担当。
現在は2児の母となり、これまでの取材経験に加え、教育、健康、ライフハックへと関心の幅を広げている。「趣味を仕事に!」をモットーとする自称「脱力系ライター」。釣り、温泉、グルメ、そして海を眺めてぼーっと過ごす時間を愛する旅人でもある。長年、酒と旅と釣りを友としてきたが、現在は期間限定で禁酒中。新商品から旅、ファッション、グルメまで、自身のアンテナに触れたトピックを独自の視点で発信している。
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