恵比寿駅から歩いて2分。飲み屋がひしめくこのエリアで「朝8時まで営業」と聞くと、深夜使いのお店を想像しませんか?でも実際に行ってみると、そこにあったのは想像とはちょっと違う、静かで丁寧な和食ダイニングでした。店名は『だしと、』。その名の通り、出汁を軸に一皿一皿が組み立てられているお店です。
年間600軒飲み歩くハツ「一度は訪れたい名店」(#99)

毎日引かれる出汁が、料理の背骨になってる
この店の料理を語る上で外せないのが、サイフォンで抽出される出汁。素材の選び方、引く時間、温度、その一つひとつを毎日調整しているというから、いわば出汁自体がその日の主役なんです。

茶わん蒸しって、こういうお店だと脇役になりがちですが、ここでは出汁の実力がそのまま出る一皿になってます。滑らかな口当たりの奥に、しっかり出汁の香りが立ち上がってきます。

サーモンのお刺身は素材そのものの脂の甘さを活かしていて、日本酒との相性を考えて選ばれてるのが伝わってきます。

〆にたどり着くまでの、意外な名脇役たち
蟹クリームコロッケは、表面はしっかりカリッと揚がっているのに、割った瞬間にとろっと流れ出るクリームの中に、蟹の身がほろほろとほどけて存在感を主張してくる。熱々のところを頬張ると、クリームのコクと蟹の甘みが交互に押し寄せてきて、気づけばあっという間に一個食べ終えている。そんな一皿です。

炒飯も侮れません。パラっとした米粒の一粒一粒に、香ばしい鍋の香りがきちんと絡んでいて、和食メインのお店なのに炒飯も本格的な味わい。

そして蕎麦。出汁のお店だからこそ、この蕎麦の完成度は当然といえば当然かもしれません。蕎麦つゆにあの丁寧に引かれた出汁の香りがそのまま乗っていて、蕎麦をすすった瞬間に鼻に抜けていく香りが、他の〆メニューとはまた違う余韻を残してくれます。

深夜も朝方も、大人の時間を邪魔しない空間
カウンター席があるので、一人でふらっと立ち寄れるのもこの店の魅力。内装は落ち着いたトーンでまとめられていて、深夜帯でも騒がしくならない空気感があります。

ドリンクは日本酒を中心に、料理との相性を考えた品揃え。出汁割りという選択肢があるのも、なんだかこの店らしいなと思いました。
派手な演出や強い個性で勝負するのではなく、出汁という一番地味だけど手を抜けない部分にこだわり続けている。それがこのお店の軸になっています。

夜も深夜も朝も、同じ丁寧さで一皿が出てくる安心感。恵比寿という街の中で、「ちょうどいい」を求める人の受け皿になってるお店でした。ごちそうさまでした。
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