盾さん(@tate_gf)のXより

パンチくんにはなぜ「ぬいぐるみ」が必要だったのか?市川市動植物園が明かした深い愛情と覚悟

By - emogram編集部・ゆんち
アニマル

現在、日本中から注目を集めている市川市動植物園のサル山のパンチくん。その育ち方や群れ入りの過程について、市川市動植物園は公式Xを通じ、これまでの詳細な経緯を説明する文書を公開しました。

そこには、「かわいい」だけではない、動物福祉に基づいた緻密な計画があったようです。

「群れに戻すこと」を最大の目標に

市川市動植物園はまず、パンチくんの育成方針について明確な指針を示しました。

公式Xより:「園としては、動物福祉の観点からパンチを群れに戻すことを最大の目標としています」

そして、パンチくんがいつも抱えている「ぬいぐるみ」にも、深い理由があったのです。

公式Xより:「ぬいぐるみやタオルに抱かせることは、母親にしがみつく行動を補助するだけでなく、人への過剰な依存を抱かせないためでもあり、ニホンザルに限らず当園のサル類の人工哺育では同様の手法を採用しております」

慎重に進められた「サル山へのリハビリ」

パンチくんがいきなりサル山に放たれたわけではありません。生後3ヶ月頃から柵越しに仲間と触れ合わせ、4ヶ月を過ぎると担当者と共にサル山に入るなど、段階を踏んで準備が行われてきました。

1月19日の本格的な群れ入れに際しても、確かな手応えがあったと言います。

公式Xより:「1月19日の群れ入れ前には、以前よりパンチに優しくしてくれる若いメスと一定期間一緒に過ごさせました。その様子から、人を介さずパンチ自身の力で群れの他個体と一緒に生活できると判断したため群れ入れを決定しました」

盾さん(@tate_gf)のXより

「ぬいぐるみ」を卒業したその先にある未来

現在もぬいぐるみを抱えて過ごすパンチくんですが、これは生後半年の子ザルが「安心したい時に母親のもとへ戻る」という自然な行動を、ぬいぐるみが代行している状態です。

こうした人工哺育個体の群れ入れ、実は市川市動植物園には心強い「先輩」の事例があります。

公式Xより:「一例として2009年に行った『オトメ』という個体の群れ入れ事例(中略)オトメは成長の過程で、自然とぬいぐるみから離れていきました。また、その後4度出産し、全て自ら育児を行っています」

かつて人工哺育で育ったオトメが、立派な母親となり、その子もまた母となった。この「命の連鎖」こそが、パンチくんが目指している未来の姿なのです。

私たちが目にするパンチくんの愛らしい姿の裏側には、野生の力強さを取り戻させようとする飼育員さんたちの深い愛情と、確かな経験に基づいたサポートがあることが分かりました。パンチくんがいつか自然にぬいぐるみを離し、群れの中心で逞しく成長するその日まで、温かく見守り続けたいものです。

写真:盾さん(@tate_gf

ライターコメント

連日、多くの来場客や問い合わせへの対応で多忙を極めるなか、ファンの抱く不安や疑問に真っ正面から向き合い、真摯に言葉を尽くす市川市動植物園。その誠実な姿勢もまた、パンチくんがこれほどまでに多くの人に愛され、応援される理由のひとつなのだと感じました。

<ライタープロフィル>ゆんち

2004年に産経新聞社へ入社。静岡、仙台での事件取材を経て、東京社会部では厚生労働省を担当、派遣労働問題などの社会課題を深く掘り下げる。また、特異なキャリアとして法廷画家を兼務し、数多くの法廷画を手掛けてきた。その後、産経新聞社が発行していたタブロイド紙「SANKEI EX」にてブランド、旅、食をテーマとした執筆活動を展開。南アフリカやオーストラリアなど世界各国を取材で巡るほか、臨時特派員として南太平洋のキリバス共和国への駐在経験も持つ。J-WAVE「TOKYO MORNING RADIO」にて、週1回おすすめニュースを3年間にわたり担当。

現在は2児の母となり、これまでの取材経験に加え、教育、健康、ライフハックへと関心の幅を広げている。「趣味を仕事に!」をモットーとする自称「脱力系ライター」。釣り、温泉、グルメ、そして海を眺めてぼーっと過ごす時間を愛する旅人でもある。長年、酒と旅と釣りを友としてきたが、現在は期間限定で禁酒中。新商品から旅、ファッション、グルメまで、自身のアンテナに触れたトピックを独自の視点で発信している。

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