市川市動植物園のパンチくんに届いた、世界中の子供たちからの手紙。公式Xが投稿した写真には、パンチくんや「オランママ」ことオランウータンのぬいぐるみの似顔絵や、色鮮やかな折り紙などが写っていました。なぜ、言葉も文化も違う遠い国の人たちが、日本の小さな動物園の一頭の子ザルにこれほどまで心を動かされたのでしょうか。そこには、理屈抜きで誰もが「がんばれ」と言いたくなる、パンチくんの真っ直ぐな姿がありました。

「お母さんの代わり」を抱きしめて
お母さんザルに育ててもらえず、人間の手で育てられたパンチくん。ほかの子ザルたちが温かなお母さんの胸にしっかりとしがみついている中で、パンチくんだけは、お母さんの代わりである赤茶色のぬいぐるみ「オランママ」を必死にギュッと抱きしめています。
その「ぬいぐるみと一緒に、たった一頭で群れに入ろうと奮闘する姿」は、何の説明がなくても、誰もが「なんて健気なんだろう」「応援してあげたい」と感じるものでした。

お母さんがいなくても、ぬいぐるみをお守りにして前を向く。そんなパンチくんの一生懸命さが、言葉の壁を超えて、世界中の子供たちの心を動かしたのでしょう。
みんなパンチくんの応援部隊
SNSは便利ですが、ときに強い言葉や映像も流れてきます。でも、パンチくんの投稿のリプライ欄だけは、世界中から「愛してる」「パンチは強い子だね」といった温かな言葉が大部分を占めています。
パンチくんの姿を見た人はみな、「この小さな命が、無事に育ってほしい」と同じ方向を向いて声援を送ることができます。パンチくんという小さな子ザルが、殺伐としたインターネットの世界に「誰もが優しくなれる場所」を作ってくれました。

一頭の子ザルが起こした奇跡。それは、私たちが一番欲しかった「優しい世界」の形なのかもしれません。
ライターコメント
お母さんがいなくて寂しいはずなのに、ぬいぐるみと一緒に頑張るパンチくん。その姿に、私たち人間のほうが励まされているのかもしれません。わが家の子供たちも、ニュースを見て「パンチくん、外国でも人気なんだね!」と喜んでいました。パンチくんがオランママを卒業して、いつか立派な大人のサルになるまで、温かな「世界中の見守りの輪」は続いていくのだと思います。
<ライタープロフィル>ゆんち
2004年に産経新聞社へ入社。静岡、仙台での事件取材を経て、東京社会部では厚生労働省を担当、派遣労働問題などの社会課題を深く掘り下げる。また、特異なキャリアとして法廷画家を兼務し、数多くの法廷画を手掛けてきた。その後、産経新聞社が発行していたタブロイド紙「SANKEI EX」にてブランド、旅、食をテーマとした執筆活動を展開。南アフリカやオーストラリアなど世界各国を取材で巡るほか、臨時特派員として南太平洋のキリバス共和国への駐在経験も持つ。J-WAVE「TOKYO MORNING RADIO」にて、週1回おすすめニュースを3年間にわたり担当。
現在は2児の母となり、これまでの取材経験に加え、教育、健康、ライフハックへと関心の幅を広げている。「趣味を仕事に!」をモットーとする自称「脱力系ライター」。釣り、温泉、グルメ、そして海を眺めてぼーっと過ごす時間を愛する旅人でもある。長年、酒と旅と釣りを友としてきたが、現在は期間限定で禁酒中。新商品から旅、ファッション、グルメまで、自身のアンテナに触れたトピックを独自の視点で発信している。






