ミンファ=鯖江市西山動物園公式Xより

鯖江市西山動物園のミンファ「最後まで自分らしく」19歳で旅立ったレッサーパンダの死因と最期の様子 担当飼育員が語るこれからの誓い

By - emogram編集部・ゆんち
アニマル

2026年5月21日、19歳で天国へと旅立った福井県にある鯖江市西山動物園の大人気レッサーパンダ「ミンファ」。日本中のファンから悲しみの声が寄せられる中、6月1日、同園より死因と最期の日々の様子についての詳細な報告が発表されました。美しく、身体能力が高く、そして多くの子宝に恵まれた「レジェンド」の最期の日々、そして担当飼育員が語るこれからの西山動物園のあり方についてお伝えします。

老衰と闘いながらも見せた「最後まで外へ」という強い意志

発表によると、ミンファの死因は「加齢に伴う消化管機能の低下からくる食欲不振や体力の衰え、それに伴う衰弱」と考えられるとのことでした。19歳という年齢、レッサーパンダにとってかなりの高齢でした。

体調に変化が見られ始めたのは5月5日ごろ。食欲が落ち、休む時間が長くなったため、獣医師と連携したケアが始まりました。一度は食欲が回復したものの、17日の夕方から再び動作が緩慢になっていきました。

そんな中、胸を打つのが亡くなる前日である5月20日のエピソードです。この日の朝、ミンファは「屋外に出たがる様子」を見せたそうです。展示場に出ると、短時間ではありましたが、自分の足で歩き、ササや土のにおいを嗅ぐといった「探索行動」を見せました。

最後まで自然の空気を感じ、レッサーパンダらしく生きようとする強い生命力。その後は丸まって過ごすことが多くなり、翌21日の夜、手厚いケアと見守りの中で静かに息を引き取りました。

ミンファに届いたたくさんの献花=鯖江市西山動物園公式Xより

脱走劇から「8頭の母」へ。波乱万丈で偉大な19年の軌跡

ミンファは2006年にパンチくんで有名な市川市動植物園(千葉県)で生まれ、2008年に西山動物園へやってきました。かわいらしい容姿はもちろんですが、その並外れた身体能力の高さでも有名で、西山動物園への来園直後にはフェンスを飛び越えて園外へ脱走してしまうという「伝説」を残し、大きな話題を呼びました。

その後はオスのチャタとの間に5頭の子宝に恵まれ、2014年からは繁殖計画のために神戸市立王子動物園へお引越し。そこでも貴重なオス・ガイアとの間に3頭の子をもうけ、種の保存に絶大な貢献を果たしました。

2019年に西山動物園へ帰ってきてからは、広い運動場で大好きなササを食べたり穴を掘ったりと、のびのびとした日々を満喫。高齢になっても活発に動き回るその姿は、多くの来園者に元気と勇気を与え続けてくれました。

ミンファ=鯖江市西山動物園公式Xより

「心地よく過ごす姿をこれからも」中嶋飼育員

偉大な母であり、レジェンドであったミンファの死。西山動物園にとっても計り知れない喪失感があるはずですが、飼育員の中嶋さんは、ミンファ亡き後の動物園のこれからについて、このように語っていました。

中嶋さん:「これからも、今までと特別変わることはありません。レッサーパンダたちが毎日を心地よく過ごしてくれる姿を見ていただきたいという、基本的な考え方があります。レッサーパンダにはそれぞれ個性や特徴があり、どの子もみんな面白い子たちです。そんな彼らの魅力を引き出せるような工夫を、これからも続けていきたいと思っています」

悲しみを乗り越え、いま目の前にいる動物たちの「心地よい日常」を全力で守り続ける。ミンファが遺したたくさんの命と物語は、これからも西山動物園の歴史の中で輝き続けます。

ライターコメント

亡くなる前日まで外の空気を吸い、土のにおいを嗅ごうとしていたミンファ。脱走劇で世間を驚かせた身体能力と好奇心は、最期の瞬間までミンファの中に生き続けていたのかもしれません。19年という長い間、本当にたくさんのお客さんを笑顔にし、命を繋いでくれてありがとう。ミンファが愛した西山動物園で残された個性豊かなレッサーパンダたちが心地よく暮らせるよう、これからも温かく見守っていきたいと思います。

<ライタープロフィル>ゆんち

2004年に産経新聞社へ入社。静岡、仙台での事件取材を経て、東京社会部では厚生労働省を担当、派遣労働問題などの社会課題を深く掘り下げる。また、特異なキャリアとして法廷画家を兼務し、数多くの法廷画を手掛けてきた。その後、産経新聞社が発行していたタブロイド紙「SANKEI EX」にてブランド、旅、食をテーマとした執筆活動を展開。南アフリカやオーストラリアなど世界各国を取材で巡るほか、臨時特派員として南太平洋のキリバス共和国への駐在経験も持つ。J-WAVE「TOKYO MORNING RADIO」にて、週1回おすすめニュースを3年間にわたり担当。

現在は2児の母となり、これまでの取材経験に加え、教育、健康、ライフハックへと関心の幅を広げている。「趣味を仕事に!」をモットーとする自称「脱力系ライター」。釣り、温泉、グルメ、そして海を眺めてぼーっと過ごす時間を愛する旅人でもある。長年、酒と旅と釣りを友としてきたが、現在は期間限定で禁酒中。新商品から旅、ファッション、グルメまで、自身のアンテナに触れたトピックを独自の視点で発信している。

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