【あるもので作る、私のしあわせ】
節約生活は、今では私の大切な日常であり、この暮らしに誇りを持っています。
けれど、ここまでたどり着く道のりは決して平坦ではありませんでした。
節約を始めたばかりの頃、私は〝節約すること〟にどこか恥じらいを感じていました。
見切り品コーナーで買い物しているところを知り合いに見られたらどうしよう…と、常に周りの目を気にしていた時期もあります。
本音では、もっと自由に、余裕のある暮らしができたらいいのに…と「お金がある人」を羨ましく思っていました。
でも、ある出来事をきっかけに、私の節約に対する考え方が大きく変わったのです。
当時、食パンは「買うより作る方が安い」と思い、ホームベーカリーで焼いていました。
けれどある日、強力粉を切らしてしまい、パンが作れなくなる事態に。
1週間の食費を使い切っていた私は、買い足す余裕もなく、「代わりになる方法はないか」と調べてみたところ〝お米をすりつぶして食パンを作る〟というアイデアにたどり着きました。
半信半疑で試してみたところ、これが意外にもおいしくて。
それを食べた夫が「おいしい!」と笑顔で言ってくれたとき、胸があたたかくなったことを今でも鮮明に覚えています。
その一言がとにかくうれしくて、「次はこのお米でおやつを作ってみよう!」と張り切ってみたらし団子を作りました。
当時、赤ちゃんだった息子と夫と私の3人で小さな机を囲んで食べた、みたらし団子とあたたかいお茶。
あの光景は私の一生の宝物のような思い出です。
節約って、我慢することではなく、「自分にできる工夫」によって笑顔を生み出すこと。
それに気づけたあの日が、私の節約の原点です。
それからは、安い食材を見つけては「どうすれば息子や夫が喜んでくれるかな?」と考えることが、自然と楽しくなっていき、見切り品でパンケーキを作っておうちでカフェ気分を味わったり、週末はお弁当を作って家族でピクニックに出かけたり。
今では「節約している」というより、「日々を楽しむ工夫」が私の習慣になっています。
お金がなくても、しあわせはつくれる。
あるもので工夫して、誰かの笑顔を思い浮かべながら過ごす日々は、何よりも私の心をしあわせで満たしてくれています。
節約は、今の私にとって〝誇り〟となっています。
(不定期連載)
【プロフィル】memi
食費月2万円台でも毎日「おいしい!」と喜んでもらえる節約ワンプレートご飯を作っている3人家族の母。節約を〝我慢〟ではなく〝楽しむ工夫〟ととらえ、カフェ風の彩りあるごはんで心も満たされる食卓を日々考案、実践中。著書に『memiの1ヶ月食費2万円!節約ワンプレートごはん』をはじめとするシリーズ3冊の節約レシピ本がある。自身の経験をもとに、「今日できる小さな工夫」で節約生活を前向きに楽しむことを大切にしている。