むつ市「ホタテ水着」に注文殺到! 〝攻めすぎた返礼品〟は、二度の災害から地域を守った「奇跡のアイテム」だった

By - emogram編集部・ゆんち
ライフ

「嘘みたいでしょ…これ今日発送分の…むつ市ふるさと納税返礼品ホタテ水着なんだぜ」

SNSを賑わせているのは、青森県むつ市で海産物を販売する「阿部商店」のX(@hotateyasan)。市のふるさと納税返礼品として「ホタテ水着 上下セット」を出品した話題に触れ、大きな話題を呼んでいます。

一見、突き抜けたジョークグッズにも見えるこの返礼品。しかし、店主の阿部学さんにお話を伺うと、そこには、二度の困難を乗り越えてきた「奇跡の物語」がありました。

絶望の淵で見つけた「希望の貝殻」

このホタテ水着、登場したきっかけは2011年に遡ります。当時、東日本大震災が発生し、東北全体が深い悲しみに包まれていました。

当時阿部さんが勤めていた観光ドライブインもお客さんが全く来られない状況で、目の前には名物「みそ貝焼き用」としてストックされていた大量の大きなホタテの貝殻があったそう。

このままではホタテの貝殻が無駄になってしまう…。阿部さんは「少しでも明るい話題を東北から発信したい」と、アイデアをひねり出します。それが、ホタテ水着の誕生でした。

阿部さん:「当時、在庫として大量に残っていた貝殻をどうにか利用できないかと考え抜いた末に生まれたアイテムでした。震災の年に少しでも明るい話題を、という思いだったんです」

豪雨被害、そして「下北半島」を忘ないでほしい

さらに2021年8月、下北半島を猛烈な豪雨が襲います。国道の橋が崩落し、阿部さん自身も命の危険を感じるほどのゲリラ豪雨に見舞われました。

被災地でボランティアに励む日々の中、阿部さんはある「焦り」を感じ始めます。それは、現地の惨状が全国的にはすぐに忘れ去られてしまうという、被災地ならではの歯がゆさでした。

少しでもむつ市、そして下北半島に注目してほしい。その一心で、阿部さんはこの「ホタテ水着」をふるさと納税の返礼品として登録することに決めたのです。

阿部さん:「結果的に、このホタテ水着には東日本大震災・下北半島豪雨と二度にわたり大きく助けられました。SNSで注目されたことでメディアの取材も増え、豪雨被害の現状を全国に伝える機会にもなった。私にとって、人の優しさや思いやりを改めて知る機会をくれた『奇跡のアイテム』なんです」

「貝幅12cm」に込められた職人の矜持

そんな背景がありながらも、阿部さんの発信が多くの人を惹きつけるのは、そこに「海産物のプロ」としてのこだわりとユーモアが同居しているから。

寄付金額6,000円で届けられるセットに使用されているのは、洗浄・研磨加工を施した「貝幅12cm前後」のホタテ貝。大きすぎず小さすぎない、まさに「ジャストサイズ」を職人の目で選別しています。

阿部さん:「丁度いい貝幅のホタテ貝を使用しておりますので、あらゆるシーンでお使いいただけると思います。洗浄、研磨加工して鋭利な部分を最大限削っておりますが、取扱には十分にご注意下さい」

「今朝ご注文数二度見しました」とSNSで驚きをつづりつつ、一つひとつ丁寧に梱包・発送を続ける阿部さん。かつては絶望の象徴だった「余ってしまった貝殻」は、いまや日本中に笑顔を届け、むつ市の名前を全国に広める立派な「特産品」になりました。

■「ホタテ水着 上下セット」と「漁師カード マダム・ムチュリーホタテ水着version 1枚」
https://furunavi.jp/product_detail.aspx?pid=462006

ライターコメント

まさかこのホタテ水着に、二度の試練を跳ね返してきた物語が秘められているなんて想像もできませんでした。ちなみに「阿部商店」の海産物は楽天市場でも買うことができるのですが、大間産の本マグロや訳アリの魚卵、ホタテなどおいしそうなものがずらりと並んでいるのでぜひ見に行ってください。「ホタテ水着」も売っていますよ~(阿部商店:https://www.rakuten.co.jp/hotateyasan/

<ライタープロフィル>ゆんち

2004年に産経新聞社へ入社。静岡、仙台での事件取材を経て、東京社会部では厚生労働省を担当、派遣労働問題などの社会課題を深く掘り下げる。また、特異なキャリアとして法廷画家を兼務し、数多くの法廷画を手掛けてきた。その後、産経新聞社が発行していたタブロイド紙「SANKEI EX」にてブランド、旅、食をテーマとした執筆活動を展開。南アフリカやオーストラリアなど世界各国を取材で巡るほか、臨時特派員として南太平洋のキリバス共和国への駐在経験も持つ。J-WAVE「TOKYO MORNING RADIO」にて、週1回おすすめニュースを3年間にわたり担当。

現在は2児の母となり、これまでの取材経験に加え、教育、健康、ライフハックへと関心の幅を広げている。「趣味を仕事に!」をモットーとする自称「脱力系ライター」。釣り、温泉、グルメ、そして海を眺めてぼーっと過ごす時間を愛する旅人でもある。長年、酒と旅と釣りを友としてきたが、現在は期間限定で禁酒中。新商品から旅、ファッション、グルメまで、自身のアンテナに触れたトピックを独自の視点で発信している。

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