市川市動植物園公式Xより

市川市動植物園「サル山撮影禁止」についてSNSで議論も いまこそ問われる来園者のマナー

By - emogram編集部・ゆんち
アニマル

ニホンザルのサル山への侵入事件というトラブルに揺れた市川市動植物園(千葉県)。警察への被害届提出や規制エリア拡大といった迅速な対応が発表される中、市川市動植物園の公式Xが「サル山撮影の全面禁止も議論に」と投稿しました。スマホの普及に加え、SNSの拡大によって、動物園と「撮影」の関係は今、大きな転換期を迎えているのかもしれません。

動き始めていた「ライブ配信規制」の流れ

実はこれまでにも、ほかの動物園でもライブ配信に関しては規制の動きがありました。

たとえば、北海道の旭山動物園では、2024年に園内での商用・収益目的の動画配信や、「すべてのライブ配信(生配信)」を禁止とする規約改定を行いました。

また三重県の鳥羽水族館でも、公式サイトで「館内での撮影マナーについてお願い」とし、「職員単独を被写体とする写真、動画の撮影、及びそれらをSNS上に投稿すること」などへの配慮を求めています。

市川市動植物園でも、パンチくんが話題を呼んで来園者が激増した直後の今年2月から、「すべてのライブ配信(生配信)」を禁止しました。また5月に入り、「飼育員への長時間の話しかけや撮影の自粛」を公式Xで改めて呼びかけたばかりでした。

「全面禁止」がもたらす弊害はあるのか

しかし、もし、市川市動植物園が「サル山撮影の全面禁止」に踏み切った場合、動物園側も新たな課題を抱えることになりそうです。

まず考えられるのが、一般来園者の満足度の低下です。純粋にパンチくんの姿を1枚残したいというファンの楽しみを奪ってしまうことになります。

現場の監視コストの増加も避けて通れません。これまで以上に、巡回・警備のスタッフがサル山周辺を巡回し、注意して回るという負担が生じます。

さらに、来園者がSNSに投稿する「かわいいパンチくんの姿」は、次の集客にもつながります。これが途絶えることで、中長期的なファン獲得が先細りする可能性もあります。

「動画は公式配信に一本化」という可能性

では、動物たちの安全を守りつつ、ファンも納得できる落としどころはあるのでしょうか。 一つの可能性として考えられるのは、サル山内の「撮影」は当面は禁止しつつ、公式のSNSなどでパンチくんの日々の成長を配信するという案です。

遠方のファンのために、園が公式Xなどで「パンチくん」の情報を定期的に配信します。これなら、一般の来園客からの配信は減少したとしても、パンチくんの成長する姿は見ることができます。サル山での撮影が激減すれば、今回のような事件もある程度は防げるかもしれません。

入園料440円の「公共サービス」を守るために

市川市動植物園の一般入園料は440円。世界的な基準から見れば、信じられないほど安価で動物たちと触れ合える貴重な場所です。事件後、ネット上では「警備費用のために値上げすべきでは」という声も上がりました。

しかし以前、安永崇課長は動物園の役割について、こう語っていました。

安永課長:「希少な動物の種の保存や、野生に近い状態での展示などを通して、子供たちの学びに繋げる。動物園は、そういった『公共サービス』を担っている。収支のために料金を上げれば、それが子供たちの『学びの機会』を奪うことになりかねないのです。値上げに関しては慎重に考えなくてはと思っています」

子供たちの誰もが気軽に動物と触れ合い、学べる場所でありたい―。だからこそ、動物園にはこれからも、大人から子供までたくさんの方に足を運んでもらいたい…と語っていた安永課長。

「撮るために行く」場所ではなく、「動物たちの命や愛らしい姿を、静かに見守り、応援するために行く」場所へ。今回の事件は、私たち来園者一人ひとりの「マナー」が試される機会となるのかもしれません。

ライターコメント

安永課長の「子供たちの学びの機会を奪いたくない」という言葉を、改めて考えました。入園料440円という手軽さで、たくさんの人が訪れて賑わうこと自体はとても素晴らしいことです。だからこそ、訪れた私たち一人ひとりが、ルールを守り、市川市動植物園の優しさに応えていく必要があります。「パンチくんの成長は現地で見るか公式配信で楽しむ」というスタイルに変わっていったとしても、パンチくんたち、そして園のスタッフの皆さんの安全で穏やかな日常を守るためなら、ファンとして喜んで協力したいと思います。

<ライタープロフィル>ゆんち

2004年に産経新聞社へ入社。静岡、仙台での事件取材を経て、東京社会部では厚生労働省を担当、派遣労働問題などの社会課題を深く掘り下げる。また、特異なキャリアとして法廷画家を兼務し、数多くの法廷画を手掛けてきた。その後、産経新聞社が発行していたタブロイド紙「SANKEI EX」にてブランド、旅、食をテーマとした執筆活動を展開。南アフリカやオーストラリアなど世界各国を取材で巡るほか、臨時特派員として南太平洋のキリバス共和国への駐在経験も持つ。J-WAVE「TOKYO MORNING RADIO」にて、週1回おすすめニュースを3年間にわたり担当。

現在は2児の母となり、これまでの取材経験に加え、教育、健康、ライフハックへと関心の幅を広げている。「趣味を仕事に!」をモットーとする自称「脱力系ライター」。釣り、温泉、グルメ、そして海を眺めてぼーっと過ごす時間を愛する旅人でもある。長年、酒と旅と釣りを友としてきたが、現在は期間限定で禁酒中。新商品から旅、ファッション、グルメまで、自身のアンテナに触れたトピックを独自の視点で発信している。

ゆんちの最新記事

がんばれ市川市動植物園!侵入事案発生でもパンチくんたちを守った園への感謝とエールがSNSで大きな波に

【速報】市川市動植物園が被害届を提出、明日からサル山の規制拡大・ネット設置へ 撮影の全面禁止も検討

 

PAGE
TOP