葉っぱのおやつも積極的に食べる食いしん坊のゲルダちゃん。今年生まれた、とっても活発な女の子=東京都八王子市の「高尾山さる園・野草園」(撮影:ゆんち)

3年ぶりの女の子、そして父親は… 高尾山さる園、赤ちゃん「ゲルダちゃん」の物語

By - emogram編集部・ゆんち
アニマル

東京都八王子市「高尾山さる園・野草園」で今年生まれたニホンザルの赤ちゃん「ゲルダ」ちゃん。実はこの誕生、飼育員にとっても特別な喜びだったといいます。現地の取材で見えてきたのは、待望の誕生の裏側と、ゲルダちゃんを取り巻く群れの温かい人間関係—ならぬ「サル山関係」でした。

3年ぶりの待望の女の子

「ゲルダちゃんが生まれたときが、その前が9頭連続、3年連続でオスしか生まれていなかったのです。そのため、久しぶりの女の子でとても嬉しかったという印象があります」

同園の副園長・堅木杏美さんは、当時の喜びをそう振り返ります。3年間、9頭連続でオスの赤ちゃんが続いていたところに誕生した、待望の女の子。それがゲルダちゃんでした。

葉っぱのおやつも積極的に食べる食いしん坊のゲルダちゃん。今年生まれた、とっても活発な女の子=東京都八王子市の「高尾山さる園・野草園」(撮影:ゆんち)

「早いお母さん」への複雑な想い

母親となった「レンゲ」は、当時まだ5歳。堅木さんは、その若さに少しだけ不安な気持ちもあったといいます。

堅木さん:「5歳のレンゲは、赤ちゃんのときからすごくかわいい子でした。ああ、あのかわいい赤ちゃんが、もうお母さんになったのね…ちょっと早いんじゃない?と思う部分も個人的にはありました(笑)」

赤ちゃんのころから見守ってきたレンゲが、自身も赤ちゃんを育てる立場になる。その成長を喜びながらも、飼育員としては心配もあったそうです。

葉っぱのおやつも積極的に食べる食いしん坊のゲルダちゃん。今年生まれた、とっても活発な女の子=東京都八王子市の「高尾山さる園・野草園」(撮影:ゆんち)

初産とは思えない堂々の子育て

しかし、そんな心配は杞憂に終わったようです。

堅木さん:「レンゲは初産なのですが、ベテランママのようなのびのびとした子育て方法なんです。実はレンゲ自身も兄弟が多くて(6人兄弟)、これまでも弟のお世話の様子を見たりしていたので、それも関係しているかもしれないですね」

6人兄弟の中で、下の子のお世話を見たり、手伝ったりしてきた経験。それが、初めての出産とは思えない堂々とした子育てにつながっているようです。

葉っぱのおやつも積極的に食べる食いしん坊のゲルダちゃん。今年生まれた、とっても活発な女の子=東京都八王子市の「高尾山さる園・野草園」(撮影:ゆんち)

近くにいる大人サルたちの視線

ゲルダちゃんの周りには、母レンゲ以外にも、気にかけている存在がたくさんいます。

堅木さん:「赤ちゃん好きなヤヨイちゃん、そしてベッピンちゃんがいつも近くで触れる隙を見ています。赤ちゃんを触りたがるのは基本的には出産経験のないメスざるが多く、子育ての練習をよその赤ちゃんでやっているのかもしれませんね」

落ち葉をかじって遊ぶ、今年生まれた赤ちゃんのゲルダちゃん。とっても活発な女の子=東京都八王子市の「高尾山さる園・野草園」(撮影:ゆんち)

そして、ゲルダちゃんのそばには、もう一頭、気になる存在があります。オスの「トロ」です。

堅木さん:「トロはレンゲと一緒にいることが多く、ゲルダが小さいときから、唯一近くにいることを許されていたオスのサルです。基本的に赤ちゃんには最初は母親しか近づけなくて、そのあと、兄弟、親戚、女の子のサルという順で、オスのサルは最後まで近づくことが許されません。ですが、オスなのにトロはゲルダが生まれてすぐに近くにいました」

はっきりしないけど、もしかしたら…

ニホンザルの父親は、通常はっきりとはわかりません。しかし堅木さんによれば、ある事実が一つの可能性を示しているといいます。

堅木さん:「レンゲは昨年の発情期にトロとデートしていた事を確認できているため、父親の分からないニホンザルですが、トロがお父さんである可能性が高いのではないかと思います」

もしそうだとすれば、いつもゲルダちゃんのそばにいるトロは、本当の親子ということになりますね。

■高尾山さる園・野草園:公式サイト

ライターコメント

9頭連続でオスが続いたあとの、待望の女の子の誕生。そして、まだ5歳という若さで一生懸命に子育てをするレンゲちゃん。さらには、いつもそばにいる「トロ」が実の父親かもしれないという話まで飛び出して、聞いているだけで胸がいっぱいになりました。

<ライタープロフィル>ゆんち

2004年に産経新聞社へ入社。静岡、仙台での事件取材を経て、東京社会部では厚生労働省を担当、派遣労働問題などの社会課題を深く掘り下げる。また、特異なキャリアとして法廷画家を兼務し、数多くの法廷画を手掛けてきた。その後、産経新聞社が発行していたタブロイド紙「SANKEI EX」にてブランド、旅、食をテーマとした執筆活動を展開。南アフリカやオーストラリアなど世界各国を取材で巡るほか、臨時特派員として南太平洋のキリバス共和国への駐在経験も持つ。J-WAVE「TOKYO MORNING RADIO」にて、週1回おすすめニュースを3年間にわたり担当。

現在は2児の母となり、これまでの取材経験に加え、教育、健康、ライフハックへと関心の幅を広げている。「趣味を仕事に!」をモットーとする自称「脱力系ライター」。釣り、温泉、グルメ、そして海を眺めてぼーっと過ごす時間を愛する旅人でもある。長年、酒と旅と釣りを友としてきたが、現在は期間限定で禁酒中。新商品から旅、ファッション、グルメまで、自身のアンテナに触れたトピックを独自の視点で発信している。

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