たくさんの人気者がいる千葉県の市川市動植物園ですが、今回は悲しいお知らせが届きました。同園で長く暮らしていたマンドリルの「ジョディ」が、9月27日に天国へと旅立ちました。35歳でした。10月3日には36回目の誕生日を迎えるはずでした。
幾度もの危機を越えてきた、35年の歩み
ジョディは1996年に市川市動植物園にやってきて以来、多くの来園者に愛され続けてきたマンドリルのメスです。1990年生まれで、マンドリルとしては超高齢。長年ペアを組んでいたオスの「ゴン」を2013年に亡くしてからは、1頭でのんびりと余生を過ごしていました。
しかし、その道のりは決して平坦なものではありませんでした。2015年には生きるか死ぬかというほど体調を崩し入院。それでも温度環境を整えた部屋に移すことで、奇跡的な回復を見せています。30歳を過ぎてからは原因不明の不正出血が続き、2023年の夏にはひどい便秘で再び命の危機に直面しました。
それでも、「高齢のジョディには麻酔をかけた検査が大きな負担になる」(飼育日誌の内容より)ことから、飼育員は毎日の観察と投薬だけで、その命を守り続けてきたのです。

「肉芽腫」との闘い、そして待望の展示復帰
昨年からは、左頭部の腫れ(肉芽腫)の治療のため展示を休止していたジョディ。飼育日誌によると、今年1月26日に患部へ直接薬剤を注射する処置を行い、一時は腫れが小さくなったものの、数週間後には再び腫れが大きくなるという一進一退が続いたそうです。
その後も2月、4月、5月と方法を改善しながら注射処置を繰り返し、ネブライザーによる吸入療法や消炎剤の飲み薬など、飼育員は諦めずにさまざまなアプローチを試みてきました。
その甲斐あって5月には腫れをかなり抑え込むことに成功。5月25日の休園日には、長らく部屋にこもっていたジョディが自ら外の展示場へと歩き出すという、小さな奇跡がありました。以降、毎朝の練習を重ねて自ら進んで外に出るようになり、6月には展示エリアへ復帰しました。

復帰に寄せられた温かなコメント
このときの復帰ニュースには、ファンから数多くの温かいコメントが寄せられました。
「もう会えないかと半分諦めかけていたので涙が出るほど嬉しい。すぐにまた会いに行きます!」
「高齢のなか、痛みを伴う治療を本当によく頑張りましたね。快方に向かって本当に良かった」
「飼育員さん、獣医師さんたちの愛情たっぷりのお世話と努力に心から感謝します」
気が向くとお尻を見せてあいさつをする、マンドリルらしい愛らしい姿も久しぶりに見られ、「おかえり、よく頑張ったね」という声がSNSにあふれました。
誕生日を目前に、静かに旅立ったジョディ
あれから3カ月あまり。36歳の誕生日を6日後に控えていたジョディは、9月27日に静かに旅立ちました。同園の獣舎前では9月29日(火)より献花台が設置されます。
■市川市動植物園公式サイト:マンドリルのジョディが亡くなりました
ライターコメント
2015年の危機、30歳を過ぎてからの不正出血、2023年の便秘による命の危機、そして昨年からの肉芽腫との闘い…。そのたびに、ジョディは奇跡のような回復を見せてくれました。今年6月、自らの足で外の展示場へ歩き出したときは、粘り強さに多くの人が感動しました。35年という長い時間、パートナーのゴンとともに、そして1頭になってからも、たくさんの人に生きることの尊さを教えてくれました。
<ライタープロフィル>ゆんち
2004年に産経新聞社へ入社。静岡、仙台での事件取材を経て、東京社会部では厚生労働省を担当、派遣労働問題などの社会課題を深く掘り下げる。また、特異なキャリアとして法廷画家を兼務し、数多くの法廷画を手掛けてきた。その後、産経新聞社が発行していたタブロイド紙「SANKEI EX」にてブランド、旅、食をテーマとした執筆活動を展開。南アフリカやオーストラリアなど世界各国を取材で巡るほか、臨時特派員として南太平洋のキリバス共和国への駐在経験も持つ。J-WAVE「TOKYO MORNING RADIO」にて、週1回おすすめニュースを3年間にわたり担当。
現在は2児の母となり、これまでの取材経験に加え、教育、健康、ライフハックへと関心の幅を広げている。「趣味を仕事に!」をモットーとする自称「脱力系ライター」。釣り、温泉、グルメ、そして海を眺めてぼーっと過ごす時間を愛する旅人でもある。長年、酒と旅と釣りを友としてきたが、現在は期間限定で禁酒中。新商品から旅、ファッション、グルメまで、自身のアンテナに触れたトピックを独自の視点で発信している。
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