国内外から注目のアーティストが集結し、〝心で感じる音〟を体感できる音楽フェス「FESTIVAL FRUEZINHO 2025(フルージーニョ)」が、6月14日に東京・立川ステージガーデンで開催されました。
静岡の音楽フェスのサテライト!都会の中に〝音の楽園〟
フェスといえば夏の野外を思い浮かべる人も多いかもしれませんが、「フルージーニョ」はちょっと違います。
立川の都市型ホールに設けられたステージで、照明と音響に包まれながら「没入するように音楽と対話できる」フェスなのです。
そんな「フルージーニョ」は、静岡県掛川市つま恋リゾート彩の郷で開催される音楽フェス「FESTIVAL de FRUE 2025」から派生した都市型スピンオフイベントとなっています。
「FRUE(フルー)」は、「魂の震える音楽体験」というコンセプトで、2012年3月からスタートしました。
ジャズ、ロック、ワールド、テクノ、電子音楽など、様々な音楽のジャンルの中から「強く、深い、そして濃い精神性」を携えているミュージシャンを、世界各国から日本に招聘しています。
〝深く聴く体験〟を提供し、大人の感性に訴える内容が特徴です!
穏やかに、濃密に、音がめぐる──FRUEZINHO 2025 ライブレポート
オープニングは、石橋英子さん(年齢非公開)による実験的な音楽で静かに幕を開けました。
かつて灰野敬二さん(73)、坂本慎太郎さん(57)、町田康さん(63)、星野源さん(44)などと共演・セッションを重ね、劇団「マームとジプシー」との関わりもあるなど、ジャンルを超えて活動するマルチインストゥルメンタリストです。
近年は映画「ドライブ・マイ・カー」などの音楽を担当し、海外アーティストとの共作にも意欲的に取り組んでいます。
二番目に登場したのは、アメリカ・シカゴ出身のTortoise。これを観にわざわざ来た、という声も多かったであろう、ポストロックのパイオニア的存在です。
1990年の結成以来、ミニマル、ジャズ、ダブ、電子音楽などを自由に横断しながら、複数の楽器を自在に操るアンサンブルで、緻密かつ柔らかいグルーヴを生み出しました。
三番手は、日本のダンサー・小暮香帆さん(年齢非公開)と、アメリカのビリー・マーティンさん(44)による即興パフォーマンス。音と身体が呼応し合い、動きと打音がその場で呼吸するような時間。視覚と聴覚が交差する、フェスならではのセッションでした。
四番目に登場したのは、ブラジルからのデュオ、モニカ・サウマーゾ(年齢非公開)とアンドレ・メマーリさん(48)。モニカの深くやわらかな歌声と、アンドレの繊細なピアノが重なり合い、伝統的なブラジル音楽と室内楽的アプローチが溶け合うステージ。夕暮れの空気とも相まって、静かで豊かな余韻を残しました。
五番目は、ロサンゼルス在住のブラジル人ギタリスト、Fabiano do Nascimento(42)。ステージ上ではなく、会場二階席の後方、芝生エリアと館内の境目で演奏するという異例の構成。7弦ギターによる静謐な響きに、観客は自然と輪になって囲み、傾聴していました。
ラストを飾ったのは、アメリカのMedeski & Martin。ジョン・メデスキ(キーボード)とビリー・マーティン(ドラムス)によるデュオは、自由度の高い即興演奏で空間をねじ曲げながらも、身体が自然に動き出すようなファンク・グルーヴをたたき出します。夜の終わりにふさわしい、開かれた熱を残してステージを締めくくりました。
SNS上の声
「大好きなTortoise目当てで初参加してきました。Tortoiseはやはり最高で、他のアクトもため息出るほど素敵でした。初見のMedeski & Martinは凄まじかった」
「FRUEZINHO、噂通りの素敵フェスでした。Tortoise、曲によって(場合によっては曲途中で)演奏する楽器を交代し、ライブを作り上げていくスタイル。担当が決まっているのか?それとも即興でその場次第なのか‥」
「Medeski & Martin 見たさに以前から気になっていたFRUEZINHOへ 日常から離れた空間と音楽で別世界へと誘われました」
「一生の自慢話になるからって高校生の息子氏誘ってトータス見てきた。自分にとっては20歳から27年かかった答え合わせ、ため息しか出なかった。」
「メンツもすごいもんねー。」
「今年もフルジーニョやって来ました。カレー美味すぎです」
実際に行った人からは、豪華なメンツに対し、期待を上回る、あつい感想を語る声が多数。
立川ステージガーデンの設備や音響の良さや、カレーや物販など、全体の雰囲気への評価も、多く見受けられました。
ライターコメント
都市型の室内フェスということで、一階前方は椅子をまとめてスタンディングエリアになっており、音に合わせて気持ちよく体を揺らす観客の姿がとても印象的でした。
その一方で、後方の座席や2階・3階席では、座り心地の良い椅子に腰かけてゆったりと音を楽しめるつくりに。体に無理なく、〝大人のフェス〟を満喫できる快適な空間でした。
会場の外に設けられた芝生スペースでは、アブサンを使ったお洒落なカクテルなどが販売されていて、梅雨時とは思えないような、初夏のフェス気分も味わえました。
また、出演陣がいずれもレジェンド級だったこともあり、観客には往年のファンや子育て世代も多く、ティーンを連れた親子連れや、小さな子どもたちの姿も見られました。
座席に座ったまま体を揺らすちびっこたちの様子からは、音楽がストレートに届き、感覚を自然に広げていく様子が伝わってくるようでした。
筆者の知人も、トータスを見るために関西から駆けつけており、さらにその知人の地元の友人たちも、このフェスのためだけに集まっていたようで、偶然の再会もあったとか。
この出演メンバーが、いかに界隈の音楽好きたちにとって特別であるかを実感させられました。
こうした「都市型フェス」が、今後もっと増えていくといいですね。