降っている状態と降った後の状態が存在
上空の寒気や低気圧の影響で、関東地方などで3月19日朝までに広い範囲で降雪があり、19日午前には東京都心でも雪が降りました。
ひとたび、東京で振り出すと交通の乱れなどにより大騒ぎになることの多い雪ですが、雪とひとことで言っても、レミオロメンの楽曲である「粉雪」に代表されるように、さまざまな呼称があります。
気象庁が発行している「あおもりゆきだより」の2022年3号によれば、青森には「7つの雪」が存在するそうです。
青森出身の文豪である太宰治の「津軽」には、「こな雪 つぶ雪 わた雪 みず雪 かた雪 ざらめ雪 こほり雪」と書かれていることから、それぞれどのような雪なのかという問合せが多いそうです。
そもそもの話、この雪に関する呼称は「降っている」状態と「降った後」の状態を指すものが存在することをご存じでしょうか。
雪の定義は?
上記の「あおもりゆきだより」の中でも、そして「津軽」の参考文献の中にも登場し、現在では国立国会図書館デジタルコレクションでも閲覧することができる「東奥年鑑」では、それぞれの雪をこのように定義しています。
降った後の呼称は7種類
「こなゆき」湿気ノ少ナイ軽イ雪デ息ヲ吹キカケルト粒子ガ容易ニ飛散スル
「つぶゆき」粒状ノ雪(霰ヲ含ム)ノ積モツタモノ
「わたゆき」根雪初頭及ビ最盛期ノ表層ニ最モ普通ニ見ラレル綿状ノ積雪デ余リ硬クナイモノ
「みづゆき」水分ノ多イ雪ガ積ツタモノ又ハ日射暖気ノ為積雪ガ水分ヲ多ク含ム様ニナツタモノ
「かたゆき」積雪ガ種々ノ原因ノ下ニ硬クナツタモノデ根雪最盛期以後下層ニ普通ニ見ラレルモノ
「ざらめゆき」雪粒子ガ再結晶ヲ繰返シ肉眼デ認メラレル程度ニナツタモノ
「こほりゆき」みずゆき、ざらめゆきガ氷結シテ硬クナリ氷ニ近イ状態ニナツタモノ
降っている状態の呼称は4種類
「こなゆき」
「つぶゆき」
「わたゆき」
「みづゆき」
意外と明確な基準ではない?
降っている状態の雪の呼称の方が少なく説明もないことから、降った後の雪の呼称とあわせて推察することが求められているように、実はそれほど明確な定義が備わっているわけではないようです。
春が来てから降る雪を「名残の雪」と言うように、自分では雪にどのような名前を付けるかを考えてみるのも、季節の楽しみとなるかもしれませんね。