丸善丸の内本店が8月31日、公式Xを更新。文庫の週間ベストセラー(8月21日~8月27日)を発表しました。
どんな本が人気なのでしょうか。
5位 伊坂幸太郎「マイクロスパイ・アンサンブル」(幻冬舎) ※前週3位
4位 猪瀬直樹「昭和16年夏の敗戦 新版」(中央公論新社)
3位 王谷晶「ババヤガの夜」(河出書房新社) ※前週4位
2位 柚木麻子「BUTTER」(新潮社) ※前週1位
栄えある第1位は
1位 吉田修一「国宝 上 青春篇」(朝日新聞出版) ※前週2位
この本は、芸に人生を懸けた若者たちの青春と情熱を描いた、吉田修一さんの作家生活20周年を飾る渾身の芸道小説です。
1964年、長崎の老舗料亭に生まれた立花喜久雄は、極道の家に育ちながらも、圧倒的な美貌と才能を武器に芸能の世界へと足を踏み入れます。一方、梨園出身のもう一人の若者もまた、芸の道にすべてを捧げていました。生い立ちも才能も異なる二人が、舞台・映画・テレビと変化する芸能界の中で、互いに影響し合いながら頂点を目指していく。血縁との葛藤や裏切り、スキャンダル、そして栄光を乗り越えながら、彼らは日本の高度成長期と歩調を合わせて成長していくというストーリーです。
「国宝 上 青春篇」は、前週(8月14日~8月20日)は文庫売り上げ2位でしたが、今週は「BUTTER」(新潮社)を抜いて首位に浮上しました。この作品が原作の映画「国宝」(現在上映中)が興行収入100億円を突破するほどの大ヒットとなっていることから、人気に火をつけていると思われます。
【丸の内本店週間ベストセラー】2025年8月21日~8月27日2-1
『文庫』
1位:国宝 上 青春篇(吉田修一_朝日新聞出版)
2位:BUTTER(柚木麻子_新潮社)
3位:ババヤガの夜(王谷晶_河出書房新社) pic.twitter.com/FGF4bJ944c— 丸善丸の内本店 (@maruzen_maruhon) August 31, 2025
ネット上の感想
週間ベストセラー(文庫)に輝いた「国宝 上 青春篇」に対して、ネット上では読者からレビューが相次いでいます。
emogram編集部では、この話題に対するネットユーザーの感情を独自に分析しました。
感情分析の結果、コメントは大きく以下のように分類されました。
主な「感動」の声(35%)
「『芸を極める』と一言で言うは易し行うは難しの求道の人生」
「人間の欲と人生の儚さ、歌舞伎役者と血筋と梨園の有り様、名声と不評の間で揺れ動く役者の心模様」
「読了後の余韻がすごい」
「最後のシーンは圧巻です」
「人間国宝という高みに上がった、上がれた、孤高の役者だからこそ到達できた『風景』」
主な「興味」の声(25%)
「歌舞伎のことを時代背景とともに分かりやすく表現していました」
「歌舞伎の世界へ。道を究め、夢を追いかけていく」
「歌舞伎の演目の解説とかもあり歌舞伎自体への理解も深まり興味も湧いてきました」
「極道(ヤクザ)と歌舞伎(梨園)が『血筋』という言葉で共通しているのも興味深い」
「映画では出てこない様々な物語が小説にはちりばめられています」
主な「満足」の声(20%)
「これもまたスタイリッシュ、成熟した大人の作家の洗練されたカッコよさを見せてくれた」
「期待値を遥かに超える150%の読了感です」
「安心して読み手になれる幸せを感じました」
「映画では描ききれなかったと思われる人物や人物像などあらためて感動しました」
「この原作を新たな脚色で作りあげた映画に再度感動」
主な「没入感」の声(15%)
「一気に読みました。内容は時間制限がある映画では荒削り感は否めず」
「読みながら想像出来てしまったので喧嘩シーンなどでは疲れてしまいました」
「物語という名の濃厚スープの中で泳ぎまくったあとの脱力感」
「気づいたら乗り過ごしてました」
「長編ですがテンポが良く一気に読みました」
主な「発見」の声(5%)
「映画で描き切れ無かった所が、良く理解できた」
「映画の感動が深まります!!」
「映画と原作とのループが止まりません」
「読んでからもう一度映画鑑賞。映画はさすがにはしょりが多く説明不足感もありました」
「この小説が見事なエンターテイメントになっている」
まとめ
レビューを分析した結果、映画化された作品の原作として多くの人が映画鑑賞後に読んでおり、比較的高評価を得ています。原作の深さや細かな人物描写に感動したという声が多く、歌舞伎という馴染みの薄い世界への興味が喚起されたという反応もありました。このほか、映画では描ききれなかった部分を小説で発見して喜びを感じていた読者もいました。
ライターコメント
この作品を原作とした映画「国宝」は、吉沢亮さん(31)が主演、横浜流星さん(28)が準主演、李相日さん(51)が監督を務めました。6月6日の公開から8月17日までの観客動員数は747万人で、興収は105億3000万円に到達。歴代興収上位はアニメ作品や洋画の大作が占める中、邦画実写作では歴代3位となりました。ネット上では、映画との関係性が多くのレビューで言及されており、「映画→原作」の順で体験した読者が多いようです。