市川市動植物園=(撮影:産経新聞)

「あそこにいますよ」が繋ぐ輪 市川市動植物園のパンチくんが教えてくれた小さな親切の連鎖

By - emogram編集部・ゆんち
アニマル

市川市動植物園のサル山に、ひときわ熱い視線が注がれています。お目当てはもちろん、子ザルの「パンチくん」。しかし、初めて園を訪れた人にとって、数十頭がひしめくサル山から一頭を見つけ出すのは至難の業。「え、どの子がパンチくん?」と戸惑う姿は、今やサル山の「日常風景」となっています。

「あそこにいますよ」から始まる会話

「パンチくん、わかりました?あそこの岩陰にいるのがそうですよ」 。カメラを構えていたベテランらしきファンが、戸惑っている初心者にそっと声をかける。

そんな光景が、今の市川市動植物園ではあちこちで見られます。 普段、街中ではすれ違うだけの人たちが、パンチくんという一頭の存在を介して、自然と「友情」で結ばれます。孤独になりがちな現代において、パンチくんは図らずも、人と人を緩やかに繋ぐハブになっているのかも?

市川市動植物園=(撮影:産経新聞)

絶対に間違えない!?パンチくんの見分け方

ここで、これから会いに行く人のために「パンチくんの見分け方」をおさらいしておきましょう。コツを掴めば、驚くほど簡単に見つけられるようになります。

まずは「体毛の色」に注目してください。ほかの子ザルに比べて、パンチくんはひときわ体毛が黒っぽいのが特徴です。一番わかりやすい見分け方です。

そして、サイズ感もヒントになります。 同じ世代の子ザルの中でも、パンチくんはひと回り体が小さいのです。ただし、どの子ザルも小さいので最初はわかりにくいかもしれません。

一番確実なのは、「人々の視線」の先です。究極の〝裏技〟ですが、周りの人のスマホやカメラのレンズの先をそっと見ること。皆の視線が一点に集中している場所、そこには絶対にパンチくんがいます!

しばらくじっと観察していれば、「あ、あの子だ!」と確信に変わる瞬間がやってきます(経験談)。一度認識してしまえば、もう二度と見間違えないほど、パンチくんの存在感は際立っています。

幸せをお裾分けする「10分ルール」

パンチくんを見つけた瞬間の喜びは、誰かに伝えたくなるものです。だからこそ、最前列でその姿を捉えることができたら、ぜひその「幸せ」を後ろの人にもお裾分けしてくださいね。

園が推奨している「10分での交代ルール」。 次に待っている「まだパンチくんを見つけられていない誰か」に、感動のバトンを渡すための優しさでもあります。

パンチくんが繋いでくれたこの温かな輪を大切に。譲り合いの精神で、みんなでパンチくんを見守っていきたいですね。

ライターコメント

初めて取材に行った時、私も「どの子?」と目を凝らしていた一人でした。そんな時、隣にいた方が「今、あそこで毛繕いしてますよ」と教えてくれました。 440円の入園料で、パンチくんの姿だけでなく、誰かの優しさに触れられる。それこそが、市川市動植物園の隠れた魅力なのかもしれません。

<ライタープロフィル>ゆんち

2004年に産経新聞社へ入社。静岡、仙台での事件取材を経て、東京社会部では厚生労働省を担当、派遣労働問題などの社会課題を深く掘り下げる。また、特異なキャリアとして法廷画家を兼務し、数多くの法廷画を手掛けてきた。その後、産経新聞社が発行していたタブロイド紙「SANKEI EX」にてブランド、旅、食をテーマとした執筆活動を展開。南アフリカやオーストラリアなど世界各国を取材で巡るほか、臨時特派員として南太平洋のキリバス共和国への駐在経験も持つ。J-WAVE「TOKYO MORNING RADIO」にて、週1回おすすめニュースを3年間にわたり担当。

現在は2児の母となり、これまでの取材経験に加え、教育、健康、ライフハックへと関心の幅を広げている。「趣味を仕事に!」をモットーとする自称「脱力系ライター」。釣り、温泉、グルメ、そして海を眺めてぼーっと過ごす時間を愛する旅人でもある。長年、酒と旅と釣りを友としてきたが、現在は期間限定で禁酒中。新商品から旅、ファッション、グルメまで、自身のアンテナに触れたトピックを独自の視点で発信している。

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