2026年3月29日、熊本新港。青く澄みわたる春の空に、真っ白な新幹線の車体がゆっくりと舞い上がりました。それは、九州新幹線全線開業15周年のシンボルとして選ばれた、800系「つばめ(U005編成1号車)」。2016年の熊本地震で被災し、長らく眠っていた車両が、10年の時間を経て、九州各地をめぐり、再び「冒険」へと旅立つ瞬間でした。
深夜の陸送から感動の「宙づり」へ
物語は、前日の28日深夜からスタート。巨大なトレーラーに乗せられた「つばめ」は、熊本総合車両所から港へと運ばれました。
そして29日、新幹線が大きな模型のように宙を舞って海の上に浮かぶ台船(だいせん)へと設置されました。そのダイナミックな光景は、集まった観覧客から思わずため息が漏れるほどの迫力でした。

線路を離れ、波に揺られて博多を目指す
無事に台船へと固定された「つばめ」は、ゆっくりと熊本新港の岸壁を離れました。線路の上を時速260kmで駆け抜けていたかつての姿とは一変、穏やかな有明海の波に揺られながら進んでいきました。
提供:九州地方整備局 熊本港湾・空港整備事務所
海の上を新幹線の車両が進んでいく…なんとも不思議な景色です。
旅の終着地は、10年ぶりの「博多駅」
この「つばめの大冒険」は、海路と陸路を組み合わせた約1週間の航海を予定。 熊本から出航した「つばめ」が目指すのは、九州の玄関口・JR博多駅。
海路や陸路による輸送を通じて九州各地を巡り、最終的に4月上旬にはJR博多駅前広場に到着し、約10日間にわたって展示される予定です。駅のホームではなく、街のど真ん中に「つばめ」が現れる…そんな前代未聞の光景が見られる日は、もうすぐです。
ライターコメント
九州新幹線といえば、2011年に全線開業を記念して作成された「祝!九州」のCMが印象的です。東日本大震災が発生し、CMとしては自粛のためにほとんど放映されなかった動画ですが、SNSで何度も流れていました。沿線で手を振る人々の笑顔が印象的で、見るたびに元気をもらった記憶があります。
<ライタープロフィル>ゆんち
2004年に産経新聞社へ入社。静岡、仙台での事件取材を経て、東京社会部では厚生労働省を担当、派遣労働問題などの社会課題を深く掘り下げる。また、特異なキャリアとして法廷画家を兼務し、数多くの法廷画を手掛けてきた。その後、産経新聞社が発行していたタブロイド紙「SANKEI EX」にてブランド、旅、食をテーマとした執筆活動を展開。南アフリカやオーストラリアなど世界各国を取材で巡るほか、臨時特派員として南太平洋のキリバス共和国への駐在経験も持つ。J-WAVE「TOKYO MORNING RADIO」にて、週1回おすすめニュースを3年間にわたり担当。
現在は2児の母となり、これまでの取材経験に加え、教育、健康、ライフハックへと関心の幅を広げている。「趣味を仕事に!」をモットーとする自称「脱力系ライター」。釣り、温泉、グルメ、そして海を眺めてぼーっと過ごす時間を愛する旅人でもある。長年、酒と旅と釣りを友としてきたが、現在は期間限定で禁酒中。新商品から旅、ファッション、グルメまで、自身のアンテナに触れたトピックを独自の視点で発信している。
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