草津温泉のシンボル「湯畑」から歩いて約10分。湯けむりの向こう側に、昭和の香りと令和の熱気が同居する不思議なスポットがあります。それが、私営動物園として独自の進化を続ける「草津熱帯圏」です。いま、ここでかつて人工哺育で育った一頭のサルと、その「母親代わり」だった存在との、切なくも微笑ましい再会劇が話題を呼んでいます。
ぬいぐるみで育った「モン吉」
草津熱帯圏のサル山で生まれたニホンザルのモン吉とモン次は、母ザルの育児放棄という困難を乗り越え、飼育員の手によって育てられました。
最初に生まれたモン吉が母親代わりにしがみついていたのは、小さなナマケモノのぬいぐるみ。しかし、体が大きくなるにつれ、より安定感のある「イヌのぬいぐるみ」へと交代しました。ぬいぐるみにしがみつき、飼育員からミルクをもらっていた日々。そのあとに生まれたモン次も、同様に人工哺育によって育てられました。
残念ながら、群れのリーダー交代というデリケートな時期と重なったため、2頭が大きな群れに戻ることは叶いませんでしたが、いまも2頭で仲良く、穏やかな日々を過ごしています。

久しぶりの「母ザル代わり」との再会
先日、飼育員さんの遊び心で、赤ちゃんのときにしがみついていたイヌのぬいぐるみとモン吉を、久しぶりに再会させるという試みが行われました。

最初は「なんだこれ?」と異物を見るように警戒していたモン吉。しかし、徐々に距離を詰めると、やがて夢中で遊び始めました。その姿に、見守るスタッフも「もしや、幼い頃の記憶が蘇ったのでは?」と考えたといいますが…。
当時の担当飼育員の滝沢さんの分析によれば…
滝沢さん:「思い出したかどうかは分かりませんが、完全に『おもちゃ』だと思って遊んでいましたね。ただ、力が強くなりすぎて中の綿を引きずり出してしまうので、中止にしました(笑)」
感動の再会は、モン吉の「成長したパワー」によって、あえなく幕を閉じました。

進化を続ける「草津のワンダーランド」
こうした個性的すぎるエピソードが絶えないのが、草津熱帯圏です。私営ゆえの苦労をアイデアで乗り越え、2年前にはたくさんの動物たちと触れ合える「ふれあい館」もオープン。
ミニブタやアルマジロ、ナマケモノ、さらにはアトラスオオカブトまで、多種多様な生き物たちと「至近距離」で出会えるこの場所は、今やコアなファンにとっての聖地となっています。
「お母さん」代わりのぬいぐるみをボロボロにしてしまうほど、立派になったモン吉。 いまのモン吉には、もうぬいぐるみは必要なかったようです。
ライターコメント
モン吉くん、綿を出しちゃうなんてびっくりしました。でも、それだけ生きる力が溢れているということですよね。草津熱帯圏に行くと、動物たちとの距離の近さにいつも驚かされます。経営が大変な時期もあったと聞きますが、こうした「手作り感」のある愛が、今のブームを支えている気がします。
<ライタープロフィル>ゆんち
2004年に産経新聞社へ入社。静岡、仙台での事件取材を経て、東京社会部では厚生労働省を担当、派遣労働問題などの社会課題を深く掘り下げる。また、特異なキャリアとして法廷画家を兼務し、数多くの法廷画を手掛けてきた。その後、産経新聞社が発行していたタブロイド紙「SANKEI EX」にてブランド、旅、食をテーマとした執筆活動を展開。南アフリカやオーストラリアなど世界各国を取材で巡るほか、臨時特派員として南太平洋のキリバス共和国への駐在経験も持つ。J-WAVE「TOKYO MORNING RADIO」にて、週1回おすすめニュースを3年間にわたり担当。
現在は2児の母となり、これまでの取材経験に加え、教育、健康、ライフハックへと関心の幅を広げている。「趣味を仕事に!」をモットーとする自称「脱力系ライター」。釣り、温泉、グルメ、そして海を眺めてぼーっと過ごす時間を愛する旅人でもある。長年、酒と旅と釣りを友としてきたが、現在は期間限定で禁酒中。新商品から旅、ファッション、グルメまで、自身のアンテナに触れたトピックを独自の視点で発信している。
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