群れ入りを目指して奮闘中のパンチくんで知られる千葉県・市川市動植物園のサル山に、男が着ぐるみ姿で侵入するという事件が発生してから約2週間。事件の発生をきっかけに、現在、サル山周辺の観覧エリアはバリケードによって柵から距離が取られ、安全対策のためのネットが張られています。事件のあと、現場ではどのような判断が下ったのでしょうか。市川市動植物園の安永崇課長に聞きました。
想像すらしていなかった事態
人がいきなりサル山の中に入るという、前代未聞の事態。当日は、近隣住民をはじめ多くの子どもたちが楽しみにしていた北総鉄道との「コラボまつり」が開催されていました。
安永課長:「事件が起きた時刻は、ちょうど北総鉄道とのイベント中で、正面
たくさんの来園客がパンチくんを見るためにサル山周辺に集まる中、犯人の男は堂々とサル山の中に侵入しました。SNS上では、「なぜ誰も止めなかったの?」という声も上がっていました。
安永課長:「侵入を止められなかったことは残念に思いますが、スタッフ一同
男は柵を乗り越え、サル山の下へ。「普通じゃないことが起きてい
安永課長:「サルに危害が加えられなかったということが一番の救いでした。
「最優先事項は、見やすさよりも模倣犯を出さないこと」
事件後、安全対策としてサル山の周辺にネットが張られました。これによって、「サル山の中が見づらくなってしまった」という声も聞こえてきます。
安永課長:「今回の事案に対しては非常に許せないという気持ちもありますが、それ以上に『真似をする人が出てくるのでは』ということを一番恐れています。世間の注目を集めたかったのだろうと思いますが、絶対に模倣犯を出さないことがなによりも重要です。それをしないと、サルと飼育員の安全は守れません」
そうして張り巡らされたネット。実際に現場に行くと、柵までの距離も遠く高い位置までネットがあるため、簡単に立ち入ることはできなくなっていました。
しかし、「何よりも守られるべきは動物たちの日常」だと安永課長は強調します。
安永課長:「我々にとっての最優先事項は『動物の安全と健康』であり、動物
「見やすさ」よりも「動物の安全と平穏」を最優先する安永課長のブレない姿勢。言葉にするのは簡単でも、いざ矢面に立って実行するのは決して容易なことではありません。ネット越しで少し見えにくくなったことへのさまざまな声がある中でも、「動物ファースト」の信念を貫く市川市動植物園の覚悟に胸が熱くなりました。動物たちが安心して暮らせる環境を守るためには、見守る私たち来園者の理解と協力も欠かせません。
<ライタープロフィル>ゆんち
2004年に産経新聞社へ入社。静岡、仙台での事件取材を経て、東京社会部では厚生労働省を担当、派遣労働問題などの社会課題を深く掘り下げる。また、特異なキャリアとして法廷画家を兼務し、数多くの法廷画を手掛けてきた。その後、産経新聞社が発行していたタブロイド紙「SANKEI EX」にてブランド、旅、食をテーマとした執筆活動を展開。南アフリカやオーストラリアなど世界各国を取材で巡るほか、臨時特派員として南太平洋のキリバス共和国への駐在経験も持つ。J-WAVE「TOKYO MORNING RADIO」にて、週1回おすすめニュースを3年間にわたり担当。
現在は2児の母となり、これまでの取材経験に加え、教育、健康、ライフハックへと関心の幅を広げている。「趣味を仕事に!」をモットーとする自称「脱力系ライター」。釣り、温泉、グルメ、そして海を眺めてぼーっと過ごす時間を愛する旅人でもある。長年、酒と旅と釣りを友としてきたが、現在は期間限定で禁酒中。新商品から旅、ファッション、グルメまで、自身のアンテナに触れたトピックを独自の視点で発信している。






