変則勤務のある職場でフルタイムで働き、次男が小学校5年生になるタイミングで非常勤に切り替えて仕事を続けたあじさいさん。その次男は、見事、東京大学に現役で合格を果たしました。東大へと子供を送り出した保護者へのインタビューから、これからの時代の子育てのヒントを探る連載『東大生を育てたおかん』。第2弾(全9回)の第6回目となる今回は、子供から自然と芽生えた「感謝の心」がテーマです。「当たり前ではない日常」を伝えることで育まれた、親への気遣いと自立心について紐解きます。
塾代を気遣う次男「これだけかかるけどいい?」
中学校に入学すると、次男はお兄ちゃんと同じように1年生から塾に通い始めました。自分で目標を決めると、それに向かって睡眠時間を削ってでも納得がいくまでやり遂げる性格だったといいます。
そんな次男ですが、塾の費用に関することでは、親も感心する一面を見せていました。
あじさいさん:「塾の講習などでお金がかかるときも、事前に気にしながら『これだけかかるんだけど、行ってもいい?』と必ず聞いてくれる子でした」
自分が塾に行かせてもらえる環境を、決して「当たり前」とは思わない。たとえ塾代であっても、お金がかかることに関しては常に両親を気遣う優しさを持っていました。
福祉の現場から日常へ繋いだ「当たり前ではない恵み」
次男がこれほどまでに周囲への感謝の心を持っていた背景には、あじさいさんの仕事を通じた家庭でのコミュニケーションがあったことも大きいようです。
あじさいさん:「私が福祉の仕事を通じて、日常の中で実感している現実を日頃から子供たちに伝えていました。世の中にはいろいろな環境で生きている人がいること。今日、温かいご飯が食べられることや、自分の行きたい学校に向けて勉強ができることは、決して当たり前ではなく、ものすごく恵まれているんだということを、いつも家族で話していたんです」
健康であること、生活に困らないこと。あじさいさんが仕事を通じて日々実感している「生かされていることへの感謝」を日常の会話の中で自然に共有していました。

その言葉の積み重ねが、子供たちの心の中に「自分の置かれた環境への感謝」という確かな土台を築いていったようです。
口出しはせず、健康のサポートに徹した見守り
自分で決めた目標に向かって夜遅くまで勉強に取り組んでいた次男ですが、あじさいさんは勉強の中身そのものに対して口出しすることは一度もありませんでした。
あじさいさん:「そもそも私には勉強を教えてあげることはできませんからね。その代わり、親として食事づくりでのサポートと、『体を壊すから早く寝なさい』という声かけだけは徹底して一貫してきました。それでもなかなか寝てくれませんでしたが(笑)」
信念だけを伝えて見守る子育て
親から「勉強しなさい」と強制することは一切せず、自分たちの環境がいかに恵まれているかという信念だけを伝え、あとは本人を信じて見守る。

子供が「自分のために」机に向かい、塾に通わせてもらう親への感謝を忘れない自立した人間に育ったのは、この「見守りに徹する」という姿勢があったからこそと言えそうです。
【お役立ちデータ】中高生の塾費用に対する保護者の本音 学習塾検索サイト「塾シル」(ユナイトプロジェクト)が実施した調査によると、中高生の保護者の91.2%が塾の費用に「負担を感じる」と回答しました。その一方で、57.7%が「費用は妥当・適正」と答えており、家計への負担を重く受け止めつつも「それだけの価値はある」と納得しているようです。今回の調査での月謝平均は約3.1万円ですが、塾の種類によって費用感への受け止めには大きな差が見られました。大人数の集団指導塾(月謝平均約2.7万円)では85.7%が「妥当・安い」と納得感が高い一方、完全個別指導塾(同約4.1万円)では45.2%、自立学習型(同約3.7万円)では60.0%が「高い」と感じていることが判明。月謝の絶対的な金額だけでなく、指導スタイルやそれに対する手応えの有無が、保護者の費用感を左右しているようです。
■塾シル!:公式サイト
ライターコメント
親が勉強の管理をするのではなく、自分の生き方や「当たり前ではない日常への感謝」という信念を語り、あとは子供を信じて見守ったというあじさいさん。親に信念があったからこそ、お子さんたちの中に自立心が芽生え、親への感謝の気持ちも自然と生まれたのではないでしょうか。同じ子供を育てる親としてはとても耳の痛い話でしたが、素晴らしい佇まいを教えていただきました。
<ライタープロフィル>ゆんち
2004年に産経新聞社へ入社。静岡、仙台での事件取材を経て、東京社会部では厚生労働省を担当、派遣労働問題などの社会課題を深く掘り下げる。また、特異なキャリアとして法廷画家を兼務し、数多くの法廷画を手掛けてきた。その後、産経新聞社が発行していたタブロイド紙「SANKEI EX」にてブランド、旅、食をテーマとした執筆活動を展開。南アフリカやオーストラリアなど世界各国を取材で巡るほか、臨時特派員として南太平洋のキリバス共和国への駐在経験も持つ。J-WAVE「TOKYO MORNING RADIO」にて、週1回おすすめニュースを3年間にわたり担当。
現在は2児の母となり、これまでの取材経験に加え、教育、健康、ライフハックへと関心の幅を広げている。「趣味を仕事に!」をモットーとする自称「脱力系ライター」。釣り、温泉、グルメ、そして海を眺めてぼーっと過ごす時間を愛する旅人でもある。長年、酒と旅と釣りを友としてきたが、現在は期間限定で禁酒中。新商品から旅、ファッション、グルメまで、自身のアンテナに触れたトピックを独自の視点で発信している。






