東京都八王子市「高尾山さる園・野草園」で暮らす約90頭のニホンザルたち。実はこの群れ、名付けに一つの面白いルールがあることをご存知でしょうか。今年生まれた「ゲルダ」ちゃんの名前にも隠されていた、その仕組みについて、同園の副園長・堅木杏美さんに聞きました。
親子でしりとり、それがルール
堅木さん:「お名前の基本的なルールとして、親子で『しりとり』でつけているんです」
堅木さんは、そう明かします。母親の名前の最後の一文字を受け継ぎ、次の名前の頭文字にする。それが、この群れに代々伝わる命名の決まりごとです。
今年生まれた「ゲルダ」ちゃんの名前も、この仕組みから生まれました。
堅木さん:「ゲルダちゃんの場合は、お母さんのレンゲの『ゲ』を取って『ゲルダ』とつけました」
母・レンゲの「ゲ」を受け継いで、「ゲルダ」。そして、いつかゲルダちゃんが女の子を産んだときには、その赤ちゃんは「ダ」から始まる名前を授かることになります。

女の子の名前は、いつも試行錯誤
微笑ましいルールに見えて、実はこれが飼育員たちを悩ませる、大変な作業でもあるようです。
堅木さん:「女の子だと家系がずっと続いていくので、女の子の名前を考えるのはすごく大変です」
ゲルダちゃんの名前を決める際も、一筋縄ではいかなかったといいます。
堅木さん:「みんなで『ゲ』から始まる名前を考えたのですが、これがすごく難しくて。女の子の名前はいつも試行錯誤しています。さらにこれだけ頭数がいると、使える言葉もほとんど埋まってしまっています。『どうしよう、どうしよう』と頭を抱えて考えていました」
ちなみに、ゲルダちゃんの母・レンゲちゃんには、「レッカー」「レッサー」「レイク」「レタス」「レモン」という5頭の兄弟姉妹がいます。名前を並べてみると、確かにすべて「レ」から始まっていることがわかります。

男の子は、もっと自由に名前が付けられる
一方で、今年生まれたもう1頭の赤ちゃん、「ナッツ」くんの名付けは、少し事情が異なります。
堅木さん:「男の子は名前が引き継がれないので、次の代のことを考えなくてよいので女の子に比べて名前がだいぶ考えやすいです。今回は『可愛らしくて覚えやすい名前がいいね』ということで、お母さんの「イワナ」さんから「ナ」の付く候補を出し、3つの候補からみなさんに投票していただいて『ナッツ』という名前になりました」

ちなみに赤ちゃんの名前を決める投票は、高尾山さる園の「公式X」(@Takaosan_Saruen)のほか、園内でも実施されるそうです。
ニホンザルの群れの中では、父親は基本的にははっきりと分かりません。そのため、男の子の名前には、より自由な発想が許されるようです。
■高尾山さる園・野草園:公式サイト
ライターコメント
たった一文字を受け継ぐだけのシンプルなルールなのに、その裏には「どうしよう、どうしよう」と頭を抱える飼育員さんたちの姿がありました。ゲルダちゃんがいつか「ダ」から始まる名前の赤ちゃんを産む日が来たら、今度はどんな名前になるのか、今から気になって仕方ありません。
<ライタープロフィル>ゆんち
2004年に産経新聞社へ入社。静岡、仙台での事件取材を経て、東京社会部では厚生労働省を担当、派遣労働問題などの社会課題を深く掘り下げる。また、特異なキャリアとして法廷画家を兼務し、数多くの法廷画を手掛けてきた。その後、産経新聞社が発行していたタブロイド紙「SANKEI EX」にてブランド、旅、食をテーマとした執筆活動を展開。南アフリカやオーストラリアなど世界各国を取材で巡るほか、臨時特派員として南太平洋のキリバス共和国への駐在経験も持つ。J-WAVE「TOKYO MORNING RADIO」にて、週1回おすすめニュースを3年間にわたり担当。
現在は2児の母となり、これまでの取材経験に加え、教育、健康、ライフハックへと関心の幅を広げている。「趣味を仕事に!」をモットーとする自称「脱力系ライター」。釣り、温泉、グルメ、そして海を眺めてぼーっと過ごす時間を愛する旅人でもある。長年、酒と旅と釣りを友としてきたが、現在は期間限定で禁酒中。新商品から旅、ファッション、グルメまで、自身のアンテナに触れたトピックを独自の視点で発信している。
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