群れ入りを目指して奮闘中のパンチくんで知られる千葉県・市川市動植物園で約2週間前、男が着ぐるみ姿でサル山に侵入するという事件が発生しました。事件は全国ニュースでも報道され、ネット上でも大きな話題になりました。それ以外にも、パンチくんをめぐってSNS上にさまざまな感情が渦巻く中、市川市動植物園の矢面に立っているのは、同園公式Xの〝中の人〟こと安永崇課長です。「めげませんよ」と話す安永崇課長に、その強靭なメンタルの秘訣を聞きました。
誠実な発信と、ネガティブ感情の増幅を防ぐ「火加減」
まるで〝自分の子供〟であるかのように、パンチくんやサルたちを心配する世界中のファンたち。先日も「パンチくんが右腕を怪我しているのではないか」という不安がファンの間でささやかれましたが、これに対して安永課長はすぐに獣医師の確認を経て、公式Xに「元気です」と発信しました。
この発信をめぐっても、ケガが大ごとではなかったこともあり、一瞬、安永課長の脳裏には〝そんなことまで投稿する必要があるのだろうか…〟という疑問が浮かんだといいます。
安永課長:「投稿を迷いましたが…、やっぱり必要なんですよね。これまでも、ネガティブな情報も含めて発信を続けることで、多くの方に信頼していただけたのだと思っています。何も発信をしないと、『何か隠しているんじゃないか』と、これまで築いてきたものを失いかねませんし」
一方で、「すべての声に反応しているわけではない」とも話します。
安永課長:「ネット上に溢れる声の1つ1つに返信をする余裕はありません。かといって、それを放置しておくことで、ネガティブな感情が増幅して燃え広がることもあるので、すべての声に目を通した上で判断しています。今の時代、ちょっとした発言でも尾ヒレがついて広がって、取り返しのつかないことになります。いわゆる『炎上』や『負の感情の増幅』につながるかどうか、初期で見極めることが大事かなと思っています」

ブレないから、めげない。飼育員を守るための「壁」として
話題になってから3カ月が経った今も世界中から注目を集める、サル山のパンチくん。今回の事件発生によってまたも取材が殺到し、事件のあとも再発防止策を考えたりと、安永課長は文字通り〝休む暇もなかった〟ようです。
その一方で、市川市動植物園では動物たちの平穏を守り、通常の運営を続けなくてはいけません。日々の業務をこなしながら、SNSに押し寄せる凄まじい〝熱量〟の矢面にも立っている安永課長。しかし、明るい表情に疲労感はまったくありませんでした。
安永課長:「〝めげないんですか〟とよく言われますが、めげたことはありま
どんなネガティブな声も自身が防波堤となって受け止め、「飼育員には目の前の命に向き合うことに専念してもらいたい 」と話す安永課長。このブレない強い信念と優しさによって、市川市動植物園の「動物ファースト」は今日も守られ続けています。
ライターコメント
私たちが普段SNS越しに見ている動物たちの平和な日常や、飼育員さんたちの笑顔の裏には、こうして矢面に立って「防波堤」となってきた安永課長の存在が欠かせなかったと思います。「動物ファースト」という強い信念があるからこそ、市川市動植物園の発信は多くの人の心を打つのかもしれません。
ライタープロフィル>ゆんち
2004年に産経新聞社へ入社。静岡、仙台での事件取材を経て、東京社会部では厚生労働省を担当、派遣労働問題などの社会課題を深く掘り下げる。また、特異なキャリアとして法廷画家を兼務し、数多くの法廷画を手掛けてきた。その後、産経新聞社が発行していたタブロイド紙「SANKEI EX」にてブランド、旅、食をテーマとした執筆活動を展開。南アフリカやオーストラリアなど世界各国を取材で巡るほか、臨時特派員として南太平洋のキリバス共和国への駐在経験も持つ。J-WAVE「TOKYO MORNING RADIO」にて、週1回おすすめニュースを3年間にわたり担当。
現在は2児の母となり、これまでの取材経験に加え、教育、健康、ライフハックへと関心の幅を広げている。「趣味を仕事に!」をモットーとする自称「脱力系ライター」。釣り、温泉、グルメ、そして海を眺めてぼーっと過ごす時間を愛する旅人でもある。長年、酒と旅と釣りを友としてきたが、現在は期間限定で禁酒中。新商品から旅、ファッション、グルメまで、自身のアンテナに触れたトピックを独自の視点で発信している。






