中学・高校の受験期に、多くの親が頭を悩ませる「塾選び」や「教育費」の問題。東大へ子供を送り出した保護者から、これからの時代の子育てのヒントを探る全10回の特別連載。第5回は、フルタイム勤務で3人の子供を育て、長男を東京大学の推薦合格へと導いた「しらたまさん」のリアルな体験談に迫ります。長男の受験を支える中でしらたまさんが直面した、想像をはるかに超える「教育課金事情」とはどのようなものだったのでしょうか。
想像を超えていた塾の課金システム
小学校から中学3年生の途中までは塾に通わず、通信教材の「進研ゼミ」を自分のペースでコツコツ続けていたしらたまさんの長男。しかし、高校受験を目前に控えた中学3年生の秋、初めて塾の門を叩くことになります。
しらたまさん:「中3の秋ごろに、受験直前の講習みたいなものに数カ月だけ通わせました。そしたら、たった数カ月なのに100万円近くかかったんです。1年分の教材を買わないといけないこともあったのですが、『大変な世界だな』と思いました。それまで塾に行かせていなかったので、本当に驚きましたね」
オプションも勧められ…
無事に地元の県立高校へと合格しましたが、高校1年生になってからもそのまま同じ塾へ通い続けることに。しかし、高校での塾の費用もまた、3人の子供を育てていたしらたまさんにとっては大きな負担となっていきました。
しらたまさん:「やっぱり年間100万円くらいは飛んでいくし、オプションをあれこれ勧められてキリがないなと思っていました」
塾がまさかの閉校。「正直、ホッとした」という母の本音
年間100万円単位でお金が飛んでいき、「一体どこまで課金が続くのだろう…」と終わりなき塾の費用に頭を悩ませていたしらたまさん。そんな中、高校2年生に進級するタイミングで、予想だにしない出来事が起こります。
しらたまさん:「高2になるころに、子供の数が減って経営が難しくなったとかで、その塾が閉鎖してしまったんです。親としては、辞めどきがわからなくなっていたので、『塾を閉めます』と言われた時は、正直これ以上の課金がなくなってホッとしました(笑)。お金の面ですごく助かったなというのが本音です」
そのまま塾には行かずに高校卒業
塾の閉校を機に、別の塾に転塾させることは考えなかったのでしょうか。そこには、塾の課題に追われる長男の様子を見守っていたからこその判断もありました。
しらたまさん:「ほかにも塾はありましたが、本人が部活や生徒会で忙しく、塾に行っても出される課題を消化しきれないと不安がっていたので、結局もう塾には行きませんでした」
こうして高校2年生からは再び「塾なし」の生活に戻ったしらたまさんの長男。結局、このまま高校を卒業するまで、塾に通うことはなかったそうです。
【お役立ちデータ】高校受験の通塾・費用動向(2026年調査) これからの高校受験を考えるうえで、周囲の通塾状況や費用の目安は気になるところです。塾選びサービス『塾選』が発表した、2026年に実施された最新の高校受験調査(塾選調べ)から、現代の受験トレンドをご紹介します。
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通塾率は8割超、受験準備は「中2まで」が主流に 高校受験対策として「塾に通っていた」と答えた家庭は84%にのぼり、前年(76%)から増加傾向にあります。また、受験勉強の開始時期も前倒しされており、中学2年生までにスタートした家庭が72%と大半を占めました。「中学3年生から本格化」という従来のイメージから、早期の基礎固めを重視する傾向へ変化しています。
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費用のボリュームゾーンは「51〜100万円」 受験対策に関連した総額費用は「51〜100万円」が33%で最多となり、全体の約8割が150万円以内に収まっています。保護者が「かけて良かった」と最も実感したのは「塾・季節講習代(69%)」で、最新の入試傾向に合わせた指導や環境づくりに価値が見出されています。一方で、不安から買いすぎた参考書や、子どもに合わない塾の費用は「無駄だった」との声もあり、個性に合わせた見極めが大切です。
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先輩保護者の反省点は「学校説明会」と「口出し」 多くの保護者が「3年生は時間がないため、1〜2年生の余裕があるうちから複数の学校説明会や見学に足を運ぶべきだった」と振り返っています。また、子どもの自立を促すためにも、過度に干渉せず一歩引いて見守る距離感の大切さを挙げる声も目立ちました。
■「塾選」:公式サイト
ライターコメント
塾の閉校に「正直、ホッとした」というしらたまさんですが、多くの保護者はここで慌てそうなものですよね。どっしりと構えていたしらたまさん、同じ母親としてすごいと思いました。そしてこの「塾に通わなくなったこと」は、しらたまさんの長男にとって転機となったようです。塾の課題に追われなくなったことで、生徒会や部活動、そして後に東大推薦合格の大きな原動力となる「課外活動」へ、たっぷりと時間とエネルギーを注ぎ込むことができるようになったのです。
<ライタープロフィル>ゆんち
2004年に産経新聞社へ入社。静岡、仙台での事件取材を経て、東京社会部では厚生労働省を担当、派遣労働問題などの社会課題を深く掘り下げる。また、特異なキャリアとして法廷画家を兼務し、数多くの法廷画を手掛けてきた。その後、産経新聞社が発行していたタブロイド紙「SANKEI EX」にてブランド、旅、食をテーマとした執筆活動を展開。南アフリカやオーストラリアなど世界各国を取材で巡るほか、臨時特派員として南太平洋のキリバス共和国への駐在経験も持つ。J-WAVE「TOKYO MORNING RADIO」にて、週1回おすすめニュースを3年間にわたり担当。
現在は2児の母となり、これまでの取材経験に加え、教育、健康、ライフハックへと関心の幅を広げている。「趣味を仕事に!」をモットーとする自称「脱力系ライター」。釣り、温泉、グルメ、そして海を眺めてぼーっと過ごす時間を愛する旅人でもある。長年、酒と旅と釣りを友としてきたが、現在は期間限定で禁酒中。新商品から旅、ファッション、グルメまで、自身のアンテナに触れたトピックを独自の視点で発信している。
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