日比谷線の入谷駅から歩いて3分ほど。大通りを一本入った静かな住宅街を進むと、控えめな灯りと共に『あかぎ』の看板が見えてきます。派手な看板があるわけじゃないのに、寒くなってくると美味しい魚と鍋を目当てにお客さんが吸い寄せられていく、知る人ぞ知る名酒場。

どこか懐かしくてホッとする、心地いいお座敷の空気感
引き戸をガラガラと開けると、お出汁のいい香りと楽しそうな笑い声が出迎えてくれます。手前にはテーブル席、そして奥には足をのばしてのんびり寛げる畳のお座敷。気取った感じは一切なくて、使い込まれた木の風合いや壁の短冊メニューがすごくいい味を出しています。

最初の一皿は「焼き胡麻豆腐」。香ばしく焼き目がついた胡麻豆腐にお箸を入れると、びっくりするほどもっちもち!冷たい胡麻豆腐とは違って、温めることで胡麻本来の甘みとコクがぐっと引き立っていて、初めて出会う美味しさ。
ぎっしり詰まった冬の蟹と、ぶ厚いお刺身に大満足
続いて運ばれてきたのは、冬のテーブルの主役・蟹。目の前に置かれた瞬間、その豪快な盛りにテンションが上がります。

きれいに外された殻の中には、ふっくらとした身がぎっしり。噛むほどにみずみずしい甘みがじわじわと溢れてきます。さらに嬉しいのが、甲羅の中にびっしりと詰まった濃厚な卵と蟹味噌!キリっとした酸味のある日本酒とも相性抜群。
次にいただいた「お刺身の盛り合わせ」も、大衆酒場のレベルを軽々と超える見事なもの。厚切りだからこそ、魚本来のしっかりした食感と脂の旨みがダイレクトに伝わってきて、食べ応え十分。鮮度の良さはもちろん、素材の良さをストレートに味わわせてくれる丁寧な仕事ぶりが伝わってきます。

優しい出汁に癒やされる茶わん蒸し
お刺身を楽しんだあとは、温かい「茶わん蒸し」でほっと一息。蓋を開けると、たっぷりのきのこ餡がとろりと輝いています。
椎茸やしめじの旨みが溶け込んだ餡は、身体にじんわり染み渡る優しい味わい。スプーンを入れると、中から出汁をたっぷり含んだぷるぷるの卵生地が現れます。口に入れるとふんわりほどけて、きのこの風味と出汁の香りが口いっぱいに広がってなんとも贅沢な気分に。

セリどっさり!濃厚なあん肝を溶かして楽しむ名物「鮟鱇鍋」
そしていよいよ、お待ちかねの名物「鮟鱇とセリのお鍋」の登場です。運ばれてきたお鍋を見てびっくり、本当にセリが山盛り!味噌ベースのスープの中には、鮟鱇の身や皮、色とりどりの野菜、そして中央には立派なあん肝がたっぷり。

ほろりとほどける白身はふっくら柔らかく、皮やゼラチン質のぷるぷるとした食感がたまりません。そして何より、このどっさり入ったセリが名脇役。独特の爽やかな香りとシャキシャキの歯ごたえが、濃厚なお鍋をいくらでも食べられそうな軽やかさにしてくれます。
食べ進めたら、添えられたあん肝をお玉の上で少しずつスープに溶かしていくのが『あかぎ』流。すると味噌スープが一気にまろやかで奥深いコクをまとい、味わいがガラリと変化します。鮟鱇の出汁、野菜の甘み、そこにあん肝の濃厚さが重なって、まさに絶品。
お鍋の最後はもちろん雑炊で。鮟鱇と野菜、あん肝の旨みがぎゅっと凝縮されたスープをご飯がたっぷり吸い込んで、ふわふわの溶き卵が全体を包み込みます。最後の一滴まで余すことなく堪能して、心もお腹もぽかぽかに満たされました。

気取らない温かさに惹かれて、通いたくなる名店
丁寧な仕込みが光る一品料理から、贅沢な素材を豪快に味わう鍋まで、どれも日本酒好きのツボを心得たものばかり。気取らないお座敷で、まるで親戚の家に遊びに来たかのようにリラックスして過ごせる居心地の良さも、ついつい長居してしまう理由です。
旬の味覚を囲んで、美味しいお酒をちびちびやりながら、気の置けない仲間と語り合う。酒場ってやっぱりこうでなくっちゃ、と思わせてくれるあたたかい名店でした。またゆっくりお邪魔したいと思います。ごちそうさまでした!
年間600軒飲み歩くハツ「一度は訪れたい名店」(#146)
| 住所 | 東京都台東区北上野2-29-3 メゾン森 1F |
|---|---|
| 営業時間 | 【月〜金】12:00 – 14:15 / 17:00 – 22:30 【土・祝】12:00 – 14:15 / 17:00 – 22:00 |
| 定休日 | 日曜日 |
| リンク | 公式Instagramを見る → |
| 肩書き | グルメハンター / 東京サロン主宰 |
|---|---|
| 実績 | SNS総フォロワー23万人超。本当に美味しい店を厳選紹介。 |
| テーマ | グルメは最高のコミュニケーション |
| SNS | X TikTok |
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