ボルネオマレーグマ保護センタージャパン公式Xより

母を奪われ瀕死の状態で発見…生後3カ月のマレーグマ「マンジャ」を救った執念の24時間ケア

By - emogram編集部・ゆんち
アニマル

マレーシアのボルネオ島。自然豊かな動物たちの楽園で知られるボルネオの深い森で今年2月、プランテーション(農地)に倒れている一頭のマレーグマの子が発見されました。

ボルネオマレーグマ保護センタージャパンによれば、生後わずか3カ月ほどと見られ、これまで保護されたマレーグマの中でも最小クラスとみられるそうです。

ボルネオマレーグマ保護センタージャパン公式Xより

奪われた母、そして瀕死の発見

マレーグマの子は「マンジャ」と名付けられました。マンジャは発見時、栄養失調と脱水症状に陥っていました。本来、この月齢の子グマがたった一頭でさまようことはないそうです。

ボルネオマレーグマ保護センタージャパンの担当者によると、おそらくお母さんグマが密猟され、お母さんと一緒にいた幼いマンジャを密猟者が捨てたとみられるそうです。

保護された後、マンジャは差し出されたミルクをごくごくと飲み干したそうです。それは、生きることを諦めていない小さな命の叫びだったのかもしれません。

ボルネオマレーグマ保護センタージャパン公式Xより

低血糖、下痢…一進一退の24時間ケア

保護から数日、マンジャを襲ったのは深刻な低血糖症と止まらない下痢でした。幼いマレーグマにとって、低血糖は命に関わる事態です。

一時はインキュベーター(保育器)の中で集中的なケアが行われ、24時間体制で見守る日々が続きました。しかし、スタッフの執念が実を結び、マンジャは少しずつ自力で体温を保ち、自分の足で歩き回れるまでに回復していきました。

「人馴れ」させないための、プロの決別

現在、マンジャのケアに携わるのは、わずか3名の現地の担当スタッフのみ。そこには、保護活動における鉄の掟があります。

公式Xより:「人馴れはさせたくないため、マンジャと接するのは担当スタッフ3名のみです。そうすることで、担当者は仲間と認識し、それ以外の人間には警戒することで、野生復帰後も人間に近づくことがなくなることが期待されます」

スタッフは育ての親としてマンジャに安心を与えつつも、いつか必ず来る「別れ(森へ帰る日)」を見据えています。

初めてのお散歩、そして「野生」への目覚め

保護から約1カ月。マンジャは初めて外の世界へ足を踏み出しました。 丸太に登ってみたものの降り方がわからず戸惑ったり、鳥やサルの声に驚いてキョロキョロしたり…。

最近では地面の臭いを嗅ぎ、木を掘る仕草を見せ始めたというマンジャ。長い舌を使い、好奇心いっぱいに周辺の様子を確かめながら、着実に成長しているということです

■ボルネオマレーグマ保護センタージャパン(https://www.bsbccjapan.org/
公式X @BSBCC_Japan

ライターコメント

本当なら思い切り甘えたい盛りのマレーグマのマンジャ。しかし、現地のスタッフが選んだのは、ベタベタとかわいがることではなく、マンジャがいつかボルネオの森で生きていけるための「強さ」を育む道でした。なかなか会いに行くことはできませんが、公式Xで届くマンジャの写真やレポートを見ながら日本からエールを送りたいと思います。

<ライタープロフィル>ゆんち

2004年に産経新聞社へ入社。静岡、仙台での事件取材を経て、東京社会部では厚生労働省を担当、派遣労働問題などの社会課題を深く掘り下げる。また、特異なキャリアとして法廷画家を兼務し、数多くの法廷画を手掛けてきた。その後、産経新聞社が発行していたタブロイド紙「SANKEI EX」にてブランド、旅、食をテーマとした執筆活動を展開。南アフリカやオーストラリアなど世界各国を取材で巡るほか、臨時特派員として南太平洋のキリバス共和国への駐在経験も持つ。J-WAVE「TOKYO MORNING RADIO」にて、週1回おすすめニュースを3年間にわたり担当。

現在は2児の母となり、これまでの取材経験に加え、教育、健康、ライフハックへと関心の幅を広げている。「趣味を仕事に!」をモットーとする自称「脱力系ライター」。釣り、温泉、グルメ、そして海を眺めてぼーっと過ごす時間を愛する旅人でもある。長年、酒と旅と釣りを友としてきたが、現在は期間限定で禁酒中。新商品から旅、ファッション、グルメまで、自身のアンテナに触れたトピックを独自の視点で発信している。

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