テレビ大阪で放送中の『NEWSクライシス』(毎週水曜・深夜1時35分)が、既存のテレビ番組の枠組みを根底から揺さぶっています。
天竺川原×真空川北が描く〝異端すぎる〟報道バラエティー
番組は、3月に地上波レギュラー化を果たしたばかり。「現代日本が直面する危機(=クライシス)に切り込む」という硬派な報道番組の仮面を被りつつも、MCの天竺川原さん(46)とコメンテーターの真空ジェシカ・川北茂澄さん(36)という、お笑い界屈指の〝異端児コンビ〟がその前提を鮮やかに解体。制御不能な世界観が深夜帯のコアなファンを熱狂させています。
令和にFAX、VTR中にスマホ…視聴者を突き放す「究極の塩対応」
レギュラー初回から番組はフルスロットルで暴走。「ウナギ消滅危機」を特集した第5回では、用意された試食品を前に一切の解説を放棄。数分間にわたり静寂の中で「黙食」を貫き、視聴者を困惑させました。続く第6回では、中高年の思春期こと「ミッドライフクライシス」を特集。ところが、掘り下げるべきテーマ以上に、2人が醸し出す不穏な空気感そのものが、放送事故寸前の「危機」を予感させる展開となりました。
また、3月13日深夜の「生放送・特別編」では、現代人を蝕む「ソーシャルジェットラグ(社会的時差ぼけ)」をテーマに、令和の時代には異例の「FAX」でコメントを募集。専門医による解説VTRの最中、ワイプの中の2人は堂々とスマホを凝視し、ようやく届いた数枚のFAXを「『がんばってください』とかですかね」と淡々とあしらう〝究極の塩対応〟を披露しました。
さらに番組終盤、実態調査の名目で深夜の大阪へ飛び出した川原さんが小さなワイプに追いやられる一方で、スタジオで独り沈黙を守る川北さんがメイン画面を占拠。テレビの常識を鮮やかに覆す「主客転倒」の異様な構図を完成させ、視聴者を釘付けにしました。
「こちらこそ」視聴者を置き去りにする独創的すぎる幕開け
18日放送の第7回で取り上げたのは、全国の公立学校で3800人以上の欠員が生じているという、深刻な「教師不足危機」。しかし、スタジオの空気は社会問題の重圧を軽々と飛び越え、予測不能なベクトルへと加速していきます。
【動画】「こちらこそ」で始まる迷宮…深刻な教師不足問題を「断言」と「金運」で煙に巻く
冒頭、川北さんの定番ギャグ「まーちゃんごめんね」を、川原さんが「一回謝ることによって、底辺から這い上がってくるイメージ?」と独自の解釈で深掘り。川北さんが「謝らないよりマシだという気持ち」と応じると、川原さんは「こちらこそ」と謎の返答を放ち、オープニングから視聴者を置き去りにする独創的な世界観を展開しました。
「断言できない」天竺川原が放った虚無の主張から〝不毛なラリー〟へ
またVTR明け、川原さんが発した「(当時問題が無かったか)ハッキリとは断言できない」という実体のない主張をきっかけに、「断言」という言葉に取り憑かれた2人の〝不毛なラリー〟は加速。
「簡単に断言はできないのかな」と慎重な姿勢を見せる川北さんに対し、川原さんはすかさず「どこかでは断言しないといけないですけどね」ともっともらしい正論を畳みかけます。すると川北さんは、食い気味に「断言していいです」と即答。自らのスタンスを即座に放棄する、節操のないコメント力で視聴者を徹底的に翻弄しました。
「教師不足」が「金運アップ」に? 解決を放棄した不条理なエンディング
さらに番組中盤、川原さんは自身の咳き込みに対し、「先ほどは大変失礼しました」と、カメラを凝視しながら執拗なまでの「謝罪」を敢行。スタジオに異様な緊張感を強いたかと思えば、今度は川北さんが真面目に論じる「機運(きうん)」という言葉を、執念深く「金運(きんうん)?」と聞き違える謎のフェーズへ突入します。
「全員が意識をしていけば、いろんな層の金運が…」とボケを被せる川原さんに対し、川北さんが「いや、金運は上がらないです」と冷静に突き放す一幕も。
最終的に、深刻な社会問題に対し、川原さんは「一人一人が声を掛け合っていけば、何とかなるんじゃないか」という抽象的な持論を展開。それに応じる川北さんも「断言はできませんけども、何とかなりそうな機運は高まってますね」と同調し、最後は川原さんがボソリと「金運」とつぶやいたまま、解決の糸口を煙に巻いてエンディングを迎えました。
番組は、今夜8時にYouTubeにて最新回(第8回)を先行公開。深夜には地上波での放送を迎えます。
「『こちらこそ』で爆笑出来る世界線があるとは」「テレビ業界唯一の希望」
第7回「教師不足危機」の放送後、SNSでは特に、「コメ欄を見ながら耳から聞こえてくる『なにか』を聞き流す不思議なコンテンツ」「リスニングテストくらいちゃんと聞いてるのに、聞き逃した感覚がある不思議な時間」「ながら見しちゃって最初からちゃんと見直したけど、ながら見の時と入ってくる内容はそんな変わらんかったの厳しい」など、脳がバグるような感覚に戸惑う人が続出しています。
また、予測不能な演出や天竺川原さんの独特な「間」に毒されるファンも急増。「『こちらこそ』まさかこの言葉で爆笑出来る世界線があるとは思わなかった」「咳で話題がリセットされるのはクライシス」「『動画止まった?』てなる瞬間が5回ぐらいあったぞ」といった、シュールな笑いへの反響が止まりません。
既存のテレビ番組とは一線を画すこのスタイルに、「この番組だけは観れる」「テレビ業界唯一の希望」といった熱狂的な支持が寄せられる一方で、「4月より教職に就くにあたり、これまで以上に児童一人ひとりのために尽力していかなければならないと、改めて気持ちを引き締めるいいきっかけになりました」「私の職場でも年々減っているのを感じます。こうして取り上げていただけるのは非常にありがたいです」など、テーマとなった教育現場からは意外なほど切実な声も届いています。
不条理な笑いの裏側に現代社会の歪みが図らずも透けて見える、番組ならではの特異な響きが多くの視聴者を惹きつけて離さないようです。
ライターコメント
昨年12月のトライアル放送からその軌跡を追い続けてきた筆者。カオスが極まった『生クライシス』を経て、もはや予測不能な暴走こそが、この番組の「正解」なのだと確信しています。不条理な笑いの中に垣間見える、鋭い社会へのまなざし。今夜の放送で、どんな「危機」が塗り替えられるのか、最新回の公開を震えながら待ちたいと思います!






