ボルネオマレーグマ保護センタージャパン公式Xより

4万円で売られた命… マレーグマの子「ルマク」の保護と、背後にある深刻な危機

By - emogram編集部・ゆんち
アニマル

東南アジアの熱帯雨林にひっそりと暮らす、世界最小のクマ「マレーグマ」。 かわいい姿の裏で、いま、この瞬間も絶滅の淵に立たされているという現状を象徴する報告がボルネオから届きました。

遊園地から保護センターへ…ルマクの物語

4月8日、ボルネオマレーグマ保護センター(BSBCC)では、推定1歳のオスのマレーグマ「ルマク」が保護されました。

ボルネオマレーグマ保護センタージャパン公式Xより

ボルネオマレーグマ保護センタージャパンの公式Xによると、ルマクは子グマのころに約4万円で購入され、その後は小さな遊園地で展示されていたといいます。

それを目撃した観光客の通報により、ルマクは救い出されました。「とても人慣れしている」という報告は、微笑ましく聞こえるかもしれません。しかしそれは、本来あるべき母グマとの時間を奪われ、狭いケージで人間に飼育されてきたという、違法ペット取引の証拠でもあります。

マレーグマを追い詰める3つの現実

ルマクのような犠牲が後を絶たない背景には、何があるのでしょうか。ボルネオマレーグマ保護センタージャパンによると、原因は大きく3つ。1つは、パーム油の原材料となるアブラヤシ農園(プランテーション)への転換のため、ボルネオの熱帯雨林が急速に消失していること。パーム油は、私たちが口にする加工食品や洗剤などに「植物油」として含まれており、日本は主要な輸入国の一つです。

2つ目は、マレーグマの胆嚢(たんのう)が高価な漢方薬の原材料として取引されるため、密猟が絶えないということ。そして3つ目はペットとしての需要です。多くの場合、母グマを殺害して子グマを奪うという残忍な手法で供給されており、ルマクもそのルートで売買されたと考えられます。

ボルネオマレーグマ保護センタージャパン公式Xより

「ルマク、ようこそ」野生を取り戻す旅の始まり

保護されたばかりのルマクは、体重15kg。鶏肉を与えられていたためか、体つきはがっしりしていますが、森を歩いた経験はほとんどないと推測されます。

センターに到着後、すぐに部屋の探索を始めたというルマク。現在は落ち着いた様子を見せていますが、これから少しずつ、本来の生息環境に慣らしていく長いリハビリが始まります。

ライターコメント

マレーグマの子グマが4万円で取引されていたとは…。違法な展示や飼育を「知らずに楽しんでしまう」人がいる限り、こうした犠牲が減ることはないでしょう。ルマクを救い出した観光客のように、私たちもまずは「知る」こと。そして、目の前の光景や日々の消費に「気づく」ことから始めたいと強く感じます。

<ライタープロフィル>ゆんち

2004年に産経新聞社へ入社。静岡、仙台での事件取材を経て、東京社会部では厚生労働省を担当、派遣労働問題などの社会課題を深く掘り下げる。また、特異なキャリアとして法廷画家を兼務し、数多くの法廷画を手掛けてきた。その後、産経新聞社が発行していたタブロイド紙「SANKEI EX」にてブランド、旅、食をテーマとした執筆活動を展開。南アフリカやオーストラリアなど世界各国を取材で巡るほか、臨時特派員として南太平洋のキリバス共和国への駐在経験も持つ。J-WAVE「TOKYO MORNING RADIO」にて、週1回おすすめニュースを3年間にわたり担当。

現在は2児の母となり、これまでの取材経験に加え、教育、健康、ライフハックへと関心の幅を広げている。「趣味を仕事に!」をモットーとする自称「脱力系ライター」。釣り、温泉、グルメ、そして海を眺めてぼーっと過ごす時間を愛する旅人でもある。長年、酒と旅と釣りを友としてきたが、現在は期間限定で禁酒中。新商品から旅、ファッション、グルメまで、自身のアンテナに触れたトピックを独自の視点で発信している。

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