国内最高齢のレッサーパンダとして、今なお千葉市動物公園でマイペースな日々を送る「風太」くん。前編では驚きの食欲と長生きの秘訣をお伝えしましたが、実は風太くんには「立つ」こと以外にも、日本のレッサーパンダ界に大きく貢献した「偉大すぎる功績」があるのです。引き続き、担当飼育員に話を聞きました。(後編)
千葉市動物公園の救世主?風太一族が築いた巨大な家系図
風太くんが千葉市動物公園にやって来る前、実は千葉市動物公園ではレッサーパンダの繁殖に苦戦していました。しかし、風太くんとそのお嫁さん「チィチィ」のペアが状況を一変させます。
――風太くんの家系図を見ると、ものすごい数ですよね。
担当飼育員:そうなんです。風太が来るまでは色々なペアリングを試しても繁殖に至らなかったのですが、風太とチィチィの相性がすごく良くて、毎年のように子供が生まれました。千葉市動物公園でレッサーパンダが生まれたのは、風太の子が初めてだったんです。その後も風太の子供や孫が立派に育ち、今園内にいる子たちも風太の家系なんですよ。
――世界にも風太くんの子孫がいると聞きました。
担当飼育員:チリの動物園に風太の子供が移動し、そこでもまた子供が生まれました。現在、国内のレッサーパンダは繁殖がとても順調で飽和状態に近いため、優先度や血統管理の観点から、実は「風太の家系は今ちょっと繁殖をお休みしている」という状況なくらいなんです。
話題を呼んでくれただけでなく、これだけ立派に子孫繁栄をしてくれたことは、本当にすごいことですよね。
SNSでも影響力は絶大。若い世代にも伝わる「風太のすごさ」
2005年ごろに起きた「立つレッサーパンダブーム」から約20年。今では、当時の熱狂を知らない若い世代の飼育員も増えてきました。
――当時のブームを知らない職員にとっても、風太くんは特別な存在ですか?
担当飼育員:私たちのように昔からいる世代はもちろんですが、あとから入ってきた若い職員にとっても、風太の存在感は特別だと思います。例えば公式Xで、風太の手の写真を少し載せただけでも、ものすごい数の「いいね」や反応をいただけます。「やっぱり風太ってすごい影響力があるんだな」と、若い職員たちも日々その偉大さを肌で感じていると思いますよ。
提供:千葉市動物公園
ベテラン飼育員が語る、動物たちとの歩み
今回お話を聞いた担当飼育員は、約30年前から千葉市動物公園に勤めるベテランです。レッサーパンダのほかにも、長年ゴリラの飼育などに携わってきました。
――ご自身の飼育員歴の中で、特に印象に残っている動物はいますか?
担当飼育員: やはり、長く担当したゴリラたちですね。ゴリラの「モモコ」(現在は上野動物園)の引越しなど、一連の出来事に関わってきたので、とても思い入れがあります。子供の時から一緒に過ごしてきた個体もいますからね。
長生きの秘訣である驚異の食欲と、命を繋ぐという動物としてこれ以上ない功績を残した風太くん。そして、風太くんやほかのレッサーパンダを温かく見守り続ける担当飼育員。千葉市動物公園のレッサーパンダ舎には、これからもゆったりとした優しい時間が流れていきそうです。
ライターコメント
「風太くん=立つレッサーパンダ」というイメージが強かったですが、まさか千葉市動物公園の繁殖の救世主であり、子孫が海外にまで進出していたとは驚きでした。「繁殖が順調すぎてお休み中」なんて、凄すぎるエピソードですよね。そして、優しく穏やかな口調で風太くんやゴリラたちとの思い出を語ってくださった担当飼育員さん。動物たちへの深い愛情とリスペクトが伝わってきて、ますます千葉市動物公園が好きになりました。
<ライタープロフィル>ゆんち
2004年に産経新聞社へ入社。静岡、仙台での事件取材を経て、東京社会部では厚生労働省を担当、派遣労働問題などの社会課題を深く掘り下げる。また、特異なキャリアとして法廷画家を兼務し、数多くの法廷画を手掛けてきた。その後、産経新聞社が発行していたタブロイド紙「SANKEI EX」にてブランド、旅、食をテーマとした執筆活動を展開。南アフリカやオーストラリアなど世界各国を取材で巡るほか、臨時特派員として南太平洋のキリバス共和国への駐在経験も持つ。J-WAVE「TOKYO MORNING RADIO」にて、週1回おすすめニュースを3年間にわたり担当。
現在は2児の母となり、これまでの取材経験に加え、教育、健康、ライフハックへと関心の幅を広げている。「趣味を仕事に!」をモットーとする自称「脱力系ライター」。釣り、温泉、グルメ、そして海を眺めてぼーっと過ごす時間を愛する旅人でもある。長年、酒と旅と釣りを友としてきたが、現在は期間限定で禁酒中。新商品から旅、ファッション、グルメまで、自身のアンテナに触れたトピックを独自の視点で発信している。






