サル山のパンチくん。いまも群れ入れに向けて奮闘中=千葉県の市川市動植物園(撮影:ゆんち)

ネット上でも温かい輪を。市川市動植物園の安永崇課長が語る「静かな応援」のもう一つの意味

By - emogram編集部・ゆんち
アニマル

連日、多くの来園者で賑わいを見せている市川市動植物園(千葉県)。ニホンザルのパンチくんの姿がSNSを通じて瞬く間に拡散され、同園には世界中からたくさんの声援が寄せられています。しかしその一方で、SNSという見えない空間だからこそ起きてしまう「ファン同士のすれ違い」について、安永崇課長は少し心を痛めていました。

パンチくんを思う熱量と、園からのメッセージ

ときには匿名で、自分の意見を包み隠さず伝えることもできるSNS。市川市動植物園の「パンチくん」をめぐっても、多くがパンチくんや同園を応援するメッセージを届ける一方、来園者のマナーをめぐる議論が白熱したり、ファン同士で言葉が熱くなりすぎてしまったりする場面も。

この状況について安永課長は、「今まで、ファンの方から当園へ要望をいただくことはあっても、当園のことでファン同士がすれ違いを起こすことなど、ほとんど見られませんでした。ほのぼのさを持ち味にしている園としては、少し残念です」と率直な思いを明かしました。

パンチくんや市川市動植物園をめぐってときに厳しい言葉が飛び交うやり取りは、動物園の本来の目的(観察と学習)から少し離れてしまっているようです。

安永課長:「公式Xへの返信や、SNSでの園やパンチの話題にはかなり目を通しています。パンチだけではなくニホンザルの各個体に関することや飼育のこと、園の方針のこと、観覧や撮影マナーのことなどどれも盛り上がったり、時には投稿者同士でギスギスした感じになったり…。パンチなどを擬人化しての感情移入が強すぎるゆえなのかもしれません。しかし、当園や動物たちのことで、SNS上で言葉が熱くなりすぎてしまうのは、我々としてもやはり心苦しいです」

動物園は、命の輝きに触れ、心穏やかに楽しむ場所。パンチくんを愛する気持ちが強いからこそかもしれませんが…。

サル山のパンチくん。いまも群れ入れに向けて奮闘中=千葉県の市川市動植物園(撮影:ゆんち)

「静かに応援してほしい」に込められたもう一つの意味

市川市動植物園ではこれまでも、来園者に対して「静かに応援してください」というお願いを発信してきました。実はこのお願いは、「サル山周辺で大きな声を出さない」というお願いはもちろんですが、「ネット上の声」も含まれているのだと安永課長は語ります。

安永課長:「毎日園内で業務していると、お客様と楽しく交流する機会も数多くありますし、園内は本当にほのぼのとした雰囲気なんです。それに対してSNS上では、事実ではない情報や不確かな憶測、そして生成AIで作ったと思われる画像や動画が飛び交っていて、ときには誤った情報や大げさな情報に心が揺さぶられてしまうこともあるのかもしれません。現場のほのぼの感とは本当に真逆なので戸惑ってしまいます。心配や不安感から刺激的な言葉を発信してしまう前に、こうした情報の波とは少し距離を置いて、心静かに応援していただければと思います」

画面越しの情報に少し疲れたら、直接、市川市動植物園へ足を運んでみるのがいいかもしれません。現地のゆったりとした空気と動物たちの自然な姿を見れば、モヤモヤとした不安も解消し、気分もリフレッシュできそうです。

サル山のパンチくん。いまも群れ入れに向けて奮闘中=千葉県の市川市動植物園(撮影:ゆんち)

■市川市動植物園:公式サイト

ライターコメント

パンチくんを大切に思う気持ちが強すぎるあまり、SNS上でファン同士の議論がヒートアップしてしまうこともあるようですが…。安永課長のお話から、ファンを思う優しさが伝わってきました。画面越しだけではなく、現地のゆったりとした空気の中で動物たちと向き合う時間の大切さに、改めて気付きました。

<ライタープロフィル>ゆんち

2004年に産経新聞社へ入社。静岡、仙台での事件取材を経て、東京社会部では厚生労働省を担当、派遣労働問題などの社会課題を深く掘り下げる。また、特異なキャリアとして法廷画家を兼務し、数多くの法廷画を手掛けてきた。その後、産経新聞社が発行していたタブロイド紙「SANKEI EX」にてブランド、旅、食をテーマとした執筆活動を展開。南アフリカやオーストラリアなど世界各国を取材で巡るほか、臨時特派員として南太平洋のキリバス共和国への駐在経験も持つ。J-WAVE「TOKYO MORNING RADIO」にて、週1回おすすめニュースを3年間にわたり担当。

現在は2児の母となり、これまでの取材経験に加え、教育、健康、ライフハックへと関心の幅を広げている。「趣味を仕事に!」をモットーとする自称「脱力系ライター」。釣り、温泉、グルメ、そして海を眺めてぼーっと過ごす時間を愛する旅人でもある。長年、酒と旅と釣りを友としてきたが、現在は期間限定で禁酒中。新商品から旅、ファッション、グルメまで、自身のアンテナに触れたトピックを独自の視点で発信している。

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