JR錦糸町駅の改札を出て、賑やかな繁華街を少し離れて歩くこと数分。街の喧騒がふっと落ち着いて、住宅街の気配が混ざり始めるあたりの路地にあるのが『おでん政光』です。
錦糸町といえば駅前のディープな飲み屋街のイメージが強いかもしれませんが、ほんの少し歩くだけでガラリと雰囲気が変わるのがこの街の面白いところですよね。今回お邪魔した『おでん政光』は、まさにそんな落ち着いた場所に佇む、知る人ぞ知る穴場的な一軒。

湯気を囲むコの字カウンター。肩の力がすっと抜ける心地よい距離感
ガラリと引き戸を開けると、ふわっと鼻先をくすぐる出汁のいい香り。
店内の中央には、厨房をぐるりと取り囲む立派なコの字型カウンター。その中には大きなおでん鍋がデンと据えられていて、黄金色の出汁の中でいろんなタネが静かに煮込まれている様子が目の前で見渡せます。
繁華街のバタバタした忙しなさとは無縁の、どこか時間がゆっくり流れるようなマッタリ感。仕事帰りのサクッと一人飲みはもちろん、気取らない大人のデートにもぴったりな居心地の良さがあります。

出汁の個性を引き出す職人技。ひと口ごとに広がる深い旨味
この店のおでんは、ただ同じ鍋で一緒に煮込んでいるだけではありません。具材ごとの持ち味や出汁の吸い方に合わせて、じっくり時間をかけて仕込まれているんです。
がんもは口に運んだ瞬間、ジュワッと溢れ出す出汁の量にびっくり。噛むほどに旨味がじんわり溢れてきて、丁寧な油抜きと煮込み加減の技を感じずにはいられません。

1日かけて煮込んでいるというロールキャベツは、キャベツが驚くほどとろとろ。関東のおでんには外せないちくわぶ。芯までしっかり出汁を吸っているのに、決して煮崩れず、もっちりとした心地よい弾力がちゃんと残っています。
お皿に盛られた車麩は、持ち上げるとずっしりとした重み。出汁を限界までぎゅっと抱え込んでいて、口に入れるとまるで出汁そのものを食べているような贅沢な感覚になります。

おでんの合間につまんだ牛すじ煮込みも外せません。丁寧に下処理された牛すじは、余分な脂っぽさがなくて、ぷるぷるとしたゼラチン質の柔らかさ。甘辛すぎず、素材の旨味を前面に出した優しい味付けで、お酒が自然と進んじゃいます。
定番から季節モノまで揃う日本酒、そして魅惑の「出汁割り」へ
「おでん政光」のもうひとつの大きな魅力が、お酒のラインナップの幅広さ。ワインやシャンパンのボトルも揃っていて、おでんとの意外な組み合わせを楽しむのも素敵ですが、やっぱり試したくなるのは日本酒。
そして、この夜のハイライトになったのが名物の出汁割りです。お酒におでんの熱々な出汁を注いでもらう一杯なのですが、これが本当によく合うんです。アルコールの角が出汁のまろやかさでふんわりとほどけて、七味のピリッとしたアクセントも相まって身体の芯からポカポカに。おでん屋さんならではの粋な締めくくりとして、これ以上のものはありません。

じんわり染みるおでんと出汁割りでしっぽり
ただ煮込むだけでなく、素材の個性に寄り添って出汁の染み込ませ方を工夫する確かな職人の技。そして、厨房を囲むコの字カウンターが生み出す、店員さんとお客さんの穏やかな一体感。
気心の知れた友達と語り合いたい夜も、一人で静かに出汁の香りに包まれたい夜も、ここに来ればいつでも変わらない温かさで迎えてくれます。日常のバタバタをちょっと忘れて、旨味たっぷりの湯気に癒やされたいときに、ぜひふらりと立ち寄ってみてくださいね。
年間600軒飲み歩くハツ「一度は訪れたい名店」(#119)
| 住所 | 東京都墨田区江東橋2-8-8 古谷ビル 1F |
|---|---|
| 営業時間 | 11:30 – 00:00(L.O. 23:30) ※ランチメニューの提供は14:00まで |
| 定休日 | 毎月 第1水曜日 |
| リンク | 食べログを見る → |
| 肩書き | グルメハンター / 東京サロン主宰 |
|---|---|
| 実績 | SNS総フォロワー23万人超。本当に美味しい店を厳選紹介。 |
| テーマ | グルメは最高のコミュニケーション |
| SNS | X TikTok |
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