みごとなモフモフの毛皮をまとったはっさく=写真提供:盛岡市動物公園 ZOOMO

盛岡市動物公園ZOOMOのキツネ「はっさく」が11歳で天国へ みんなを「チャージ」の日々

By - emogram編集部・ゆんち
アニマル

岩手県盛岡市にある「盛岡市動物公園ZOOMO(ズーモ)」。9月23日の朝、ここで暮らしていたホンドギツネのオス「はっさく」が亡くなっているのが確認されました。11歳でした。園の公式Xには、はっさくとのお別れを惜しむ声がたくさん寄せられています。

「おてんばガールズ」は、男の子でした

はっさくは2015年、盛岡市の岩山で「れもん」とともに保護されたキツネです。園は、保護した5月23日を2頭の誕生日にしました。顔の色が少し白いほうがはっさくで、茶色いほうがれもん。2頭は「おそらく姉妹」と考えられていて、5歳の誕生日には「当園のおてんばガールズ、お誕生日おめでとう!」と祝われています。

保護された「はっさく」と「れもん」。姉妹だと思っていたら…=写真提供:盛岡市動物公園 ZOOMO

ところが、その1カ月ほどあとに改めて確認したところ、2頭ともメスではなくオスだと分かったそうです。ガールズは、実はボーイズだったのですね。

がんづきと過ごす日々

ZOOMOには、もう1頭、オスの「がんづき」がいました。2014年に園で生まれたキツネで、はっさくとは同じ放飼場で暮らしていました。

はっさくの名物は「はっさくマラソン」です。トウモロコシや芝生、おもちゃを口にくわえては、放飼場の中をぐるぐると元気に走り回ります。そんなはっさくを、がんづきは台の上から、クールなまなざしでじっと眺めていたそうです。

元気いっぱいに走るはっさくと、それを静かに見守るがんづき。性格は正反対でも、2頭はいつも一緒でした。がんづきの8歳の誕生日には、園が公式Xで「これからも“はっさく”と仲良く、健やかに過ごせますように」と投稿しています。2024年8月にがんづきが亡くなったときも、園は公式サイトで、台の上からはっさくを眺めるがんづきの姿を振り返っていました。

ホンドギツネのはっさくとがんづき=写真提供:盛岡市動物公園 ZOOMO

「#はっさくチャージ」でつながった人たち

冬になると、はっさくは「もっふもふ」の冬毛に包まれます。その姿を撮りに、遠くから足を運ぶファンも少なくなかったそうです。2024年の冬には、園内のカフェで「はっさく だいすき コーンポタージュ」というメニューが登場したほどでした。

みごとなもっふもふの毛皮をまとったはっさく=写真提供:盛岡市動物公園 ZOOMO

公式Xは、「#はっさくチャージ」をつけて、はっさくのまったりとした毎日を届け続けてきました。仕事の合間や、寝る前のひととき。画面の向こうのはっさくを見て「よし、もうひと頑張り」と思えた人は、きっとたくさんいたのではないでしょうか。

園によると、野生のホンドギツネの寿命は5〜6年ほど。はっさくは、その倍近い時間をZOOMOで過ごしたことになります。

最後まで、いつもの巣箱で

はっさくが体調を崩し、展示を休むことになったのは9月12日のことでした。翌13日には、胸に水がたまっていることが分かりました。獣医師と飼育スタッフは酸素室を用意して、治療にあたります。

9月18日には、はっさくが使い慣れた巣箱を酸素室に作り変えました。そして翌19日、園は残された時間を穏やかに過ごしてもらうことを選びました。はっさくの年齢や性格、検査の結果を考えたうえでの決断だったといいます。

9月22日、はっさくはほとんど何も食べられなくなっていました。それでも、大好きなカキだけは自分で口にしてくれたそうです。そして翌23日の朝、静かに旅立ちました。

多くの人に愛されたホンドギツネのはっさく=写真提供:盛岡市動物公園 ZOOMO

「本当に愛されていたのだなと思います」

公式Xには、次の言葉がつづられました。「2015年5月23日に保護されてからずっとみなさまに愛されてきました。ありがとうございました」

翌日には、治療でお休みに入る直前に撮った、在りし日のはっさくの姿が投稿されました。投稿には、「まったり“はっさく”で #はっさくチャージ を。多くの皆様にコメントを頂き、本当に愛されていたのだなと思います」と添えられていました。

治療のためお休みになる直前に撮影した在りし日のはっさく=写真提供:盛岡市動物公園 ZOOMO

旅立ったあとも、はっさくは私たちに「#はっさくチャージ」を届けてくれました。

■盛岡市動物公園ZOOMO公式Xより:はっさくの訃報

ライターコメント

「おてんばガールズ」としてお祝いされたキツネ。そのはっさくが、こんなにも多くの人の毎日を支えていました。最期までいつもの巣箱で過ごせるようにしてもらい、最後には大好きなカキまで食べて旅立ったはっさく。ZOOMOのスタッフが、どれだけはっさくを大切にしてきたかが表れているように思えました。今ごろは、先に旅立ったがんづきの前で、またマラソンを見せているのかもしれません。

<ライタープロフィル>ゆんち

2004年に産経新聞社へ入社。静岡、仙台での事件取材を経て、東京社会部では厚生労働省を担当、派遣労働問題などの社会課題を深く掘り下げる。また、特異なキャリアとして法廷画家を兼務し、数多くの法廷画を手掛けてきた。その後、産経新聞社が発行していたタブロイド紙「SANKEI EX」にてブランド、旅、食をテーマとした執筆活動を展開。南アフリカやオーストラリアなど世界各国を取材で巡るほか、臨時特派員として南太平洋のキリバス共和国への駐在経験も持つ。J-WAVE「TOKYO MORNING RADIO」にて、週1回おすすめニュースを3年間にわたり担当。

現在は2児の母となり、これまでの取材経験に加え、教育、健康、ライフハックへと関心の幅を広げている。「趣味を仕事に!」をモットーとする自称「脱力系ライター」。釣り、温泉、グルメ、そして海を眺めてぼーっと過ごす時間を愛する旅人でもある。長年、酒と旅と釣りを友としてきたが、現在は期間限定で禁酒中。新商品から旅、ファッション、グルメまで、自身のアンテナに触れたトピックを独自の視点で発信している。

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