カナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタール(ACT)は16日(日本時間17日)、セブン&アイ・ホールディングスに対する買収提案を撤回したと発表しました。撤回理由については「誠実で建設的な協議に応じていない」と説明し、セブン&アイ側の対応を批判しています。
ACTはセブン&アイの取締役会に宛てた書簡で、セブン&アイ側の対応について「意図的に混乱及び遅延をもたらすような動きをされており、セブン&アイおよび株主に大きな不利益を与えているとみている。このような動きについて、当社としては、貴社のガバナンス体制に対して強い懸念を抱いている。そして、このように全く真摯な協議がなされない状況が続いていることを理由に、当社は、本提案を撤回する」と説明しています。
セブン&アイも声明発表
これに対し、セブン&アイは17日、ACTの書簡を受け、声明を発表。「当社は、ACT社が当社との協議を一方的に終了し、買収提案を撤回する決定を下したことを確認いたしました」とした上で、「当社としては、ACT社の決定については不本意ではあり、ACT社が発表したリリース上の数多くの誤った記述について賛同しかねるものの想定され得たものとして受け止めております」としました。
声明では「当社の特別委員会は、株主利益に資する実現可能な取引の合意を目指し、ACT社と誠実かつ建設的な協議を行うと同時に、本件取引を遂行する上では不可避である、極めて高い米国独占禁止法上のハードル(承認プロセスに係る非常に長期にわたる時間軸を含め)についても、真摯に向き合ってまいりました」と説明しました。
その上で「当社は、本件の検討プロセスにおいて、当社の株主及びその他のステークホルダーの価値の最大化を確実にするために、ACT社による提案と弊社単独での価値創造の施策のすべての選択肢を並行して追求してまいりました」とし、「当社は、北米のコンビニエンスストア事業を含む当社グループ事業の価値顕在化による、単独での価値創造の施策を今後も継続して遂行してまいります」とコメントしています。
クシュタールは2024年7月、セブン&アイに買収を提案。セブン&アイが賛同できないと表明すると、買収金額を約7兆円に引き上げて再提案しました。両社は秘密保持契約を結んで交渉を進める一方、セブン&アイは自社単独での経営を維持する方針を示していました。
SNS上の感情
クシュタールがセブン&アイに対する買収提案を撤回したというニュースについて、SNSでは投稿が相次ぎました。
emogram編集部では、この話題に対するSNS上の感情を独自に分析し、ポジティブとネガティブの感情の比率を割り出しました。
感情分析の結果は以下の通りです。
主な「ポジティブ」の声(60%)
「粘り勝ちですね」
「日本企業が海外企業に乗っ取られなくて良かった」
「日本のコンビニの法体制や運用システムを舐めちゃ困りますね」
「ウォルマート傘下時代の西友は良い所を探すのが難しい有様だったし、セブンイレブンも危うく同じ道を辿る所だったように思う」
「外資が運営して上手くいった例はコストコぐらい」
「これからはセブンを応援します」
「外圧でやっとお荷物のイトーヨーカドーを何とかする決心が出来た」
「消費者としては朗報じゃなかろうか」
主な「ネガティブ」の声(40%)
「セブンは情報開示に応じず計画的な隠蔽と遅延戦術をとってきた」
「売り上げも鳴かず飛ばずです」
「市場はセブンはクシュタールが評価するような価値はないと判断している」
「露骨な値上げやクーポン配布等のキャンペーンの縮小が他より目立つ」
「買収価値がなかったのだろう」
まとめ
今回の分析では、クシュタールがセブン&アイに対する買収提案を撤回したというニュースについて、外資による日本企業の買収が回避されたことを評価する声がある一方、セブン&アイの経営課題や買収撤回の真の理由を指摘する意見も見られました。また、この買収騒動をきっかけにセブン&アイが改革を進めることへの期待も示されています。
ライターコメント
セブン&アイは17日に発表した声明で「当社は中長期的な成長に向けて、主要事業における業績の早急な改善にむけた取り組みにも引き続き注力してまいります」としており、構造改革に早急に取り組む姿勢を示しています。ただ、セブン&アイの国内コンビニ事業の営業利益は減益基調で、伸び悩みの傾向が明らかになっており、SNSでは「セブンも今の方針を変えないと、どんどん商品への信頼が無くなってきていることを自覚するべきでしょう」と企業体質の改善を求める声も多く寄せられています。