高知県の名勝・桂浜にひっそりと佇む「桂浜水族館」。いま、この小さな水族館から発信されるSNSが大きな話題になっています。
公式Xでの最新の投稿がこちら。
マジぎゅんぎゅんぎゅん空きすぎて滅 pic.twitter.com/ZPTICqwqdJ
— 桂浜水族館 公式 (@katurahama_aq) January 22, 2026
なんだか寂しそうな風景ですが、これはどういった投稿なのでしょうか。さっそく桂浜水族館の広報担当、森さんに問い合わせたところ、驚くほど温かく、そしてユニークな裏話を教えてくれました。
観客1名 vs スタッフ&トド計4名!?伝説の「特別空間」
今回の投稿について、森さんはこう解説してくださいました。
森さん:「今流行りのM!LKの『好きすぎて滅!』という楽曲のサビフレーズにかけておとどちゃんがポストしました!」
それだったか!しかし、ちょっと閑散としているような…。
森さん:「桂浜水族館では、動物の食事シーンや健康チェック、スタッフのトレーニング風景を鑑賞することができる『アクティビティタイム』を毎日開催しているのですが、午前中のトドの実施時間に観客席にいたのがなんとおひとりさまでして(笑)」
確かに、右の写真をよく見てみると衝撃です!

冬の平日の閑散期とはいえ、広い観客席にたった一人…。
しかし、ここからが桂浜水族館の真骨頂です。
森さん:「通常空いてはいるのですが、まさかのひとりとは!(笑) とはいえ、たとえお客さまがひとりであろうとも桂浜水族館は全力です。この日もしっかりとアクティビティタイムを開催し、スタッフ2名&トド2頭&お客さま1名の特別空間で、お客さまの笑顔を海馬(トド)がジャックしました(笑) 」
なんというおもてなしの精神!素晴らしすぎる!
森さん:「しかしながら、本音のところ、さすがにひとりは怖かったかも。お客さまの心拍数はみるみる上昇したかもしれませんね(笑)」

たとえ観客が一人であっても、決して手を抜かず全力で向き合う。この真摯で、かつ自虐を込めて発信して笑いに変えてしまう「神対応」こそが、多くのファンを惹きつけてやまない桂浜水族館の魅力なのです。
なんて温かい水族館なんだ!「ハマスイ」の正体
桂浜水族館、通称「ハマスイ」。実は桂浜水族館、いまや熱狂的なファンも多い、知る人ぞ知る水族館ですが、かつては入館者数が激減し、閉館の危機にまで追い込まれたことがありました。 その窮地を救ったのが、綺麗ごとを並べない「超個性的」な発信でした。
桂浜水族館の公式Xは、水族館なのに魚の写真が少なかったり、公式キャラクター「おとどちゃん」が毒舌を吐いたりと、これまでの〝水族館の常識〟を次々と覆す内容。

でも、それは「マイナスをプラスに」「水族館の枠にはまらない」をモットーに、7代目館長とおとどちゃん率いるスタッフたちが仕掛けた地方の小さな水族館ならではの戦略だったそうです。
その「熱量」がSNSでじわじわと広がり、いつしか全国に熱狂的なファンを生んでいったのです!!
生き物紹介かと思いきや…主役は「飼育員」!?
「ハマスイ」の個性を象徴するのが、続々と出版されている関連本です。 なかでも話題を呼んだのが『桂浜水族館へようこそ!』という写真集。
普通、水族館の本といえばかわいい生き物たちが主役ですが、この本の主役はなんと「水族館スタッフ」で、内容はスタッフの日常を伝える写真集なのです!

ワイルドで一生懸命な飼育員さんたちの姿こそが、今や水族館最大のコンテンツ。2023年にはクラウドファンディングにも挑戦し、多くのファンからの支援で夢を実現させました。
桂浜水族館を初めて知ったあなたへ
森さんに、あらためてメッセージをいただきました。
森さん:「このポストを見て、思わず笑ったり小さな癒しを感じたりと、みなさまそれぞれに楽しんでいただいているようで、どのコメントも嬉しく思います。また、これを機に生きものに興味関心を持ってもらえたり、水族館を好きになるきっかけになれば冥利に尽きます」
本当に、どの投稿も面白いんです。見たことがない人は、ぜひ公式Xをみてください。ところで、水族館はどんなところにあるんでしょうか。

森さん:「桂浜水族館は、高知県という田舎の、さらに『桂浜』という街はずれの場所にある施設です。桂浜は、偉人『坂本龍馬』も愛した太平洋を一望することができる有名な観光名所ではありますが、アクセスが悪いため、ファンの方でも気軽に来ることができない、通いづらいというのが本音だと思います。初めて来る方にとってはなおさらで、不安や緊張が大きいのではないかと」
桂浜は筆者も行ったことがありますが、本当に美しい砂浜です。信じられないほど海の水も透き通っていて美しく、しかも人が少ないので落ち着きます。
森さん:「常連さんだけでなく、念願叶って遊びにくることができた方に『やっぱり来て良かった』と思っていただけるよう、またSNSを通して、現地に来ることができない方にも、桂浜水族館を身近に感じていただけるよう、スタッフ一同邁進いたします」
そして、ハマスイの見どころはどのへんでしょうか。
森さん:「水槽の生きものたちは、水槽に近づく人間にロックオンし、ガン見したり笑ってくれたりしますし、動物たちは、ガラス越しではない飼育展示で、声や匂い、呼吸や温度、『かわいい』だけじゃないリアルにふれることができるのが桂浜水族館です。 昭和ノスタルジックな外観と雰囲気の中、生きものたちの漲る魅力と水族館の面白さに、一度踏み込めば最後、沼ること間違いなし。 みなさまのご来館を、スタッフ・スイゾク一同心よりお待ちしております!」
ライターコメント
閑散とした客席を前に、一生懸命パフォーマンスをするスタッフさん2人とトドさん2頭の姿に、感動しました。実は筆者は桂浜には行ったことがあるのですが、ハマスイには行ったことがなく、この取材をしながら行きたくなりました!森さん、おとどちゃん、桂浜水族館のみなさま、ありがとうございました。
<ライタープロフィル>ゆんち
旅、食、釣りが好きな脱力系ライターです。田舎の町が好きで、旅先では温泉に入ったりおいしいものを食べたり、ぼーっと海を眺めたりして過ごしています。長年、取材の傍ら飲んで旅して釣りをして…という日々を過ごしていましたが、2人の子供を出産後、教育や健康、ライフハックにも目覚め、現在は期間限定で禁酒中。「趣味を仕事に!」をモットーに、新商品や旅行、ファッション、グルメなど、気になったことを記事にしていきます。












