YouTube市川市公式チャンネルより

名前がなくても個性は爆発!パンチくんが暮らす市川市動植物園「サル山」のドラマチックな観察法

By - emogram編集部・ゆんち
アニマル

群れ入りを目指して奮闘するニホンザルの「パンチくん」で知られる、千葉県の市川市動植物園。その姿に癒やされている人も多いと思いますが、パンチくん以外のサルたちについて、「あの子の名前は?」「お母さんはどの子?」と疑問に思ったことはありませんか。実は市川市動植物園では今月1日に、パンチくんを除くサルの個体名や詳細なプロフィールをあえて「非公表」としています。今回は、そのルールの裏にある園の深い愛情と、名前がなくても楽しめるサル山の魅力について紐解きます。

「名前を呼ばない」選択は、サルたちを守るための盾

動物園にとって、動物たちの名前や個性を発信することは、人々に親しみを持ってもらうための大切な手段です。しかし、市川市動植物園が5月1日に発表した声明文には、あえてそれをしない「苦渋の決断」が綴られていました。

パンチくんへの応援が世界的に過熱する一方、周囲のサルたちに対する感情も激化。「パンチくんをいじめたサルを群れから離して」「あの子を保護して」といった、好意や敵意が入り混じった意見が殺到する事態となったのです。

もし個体名を公表すれば、特定のサルに対するネガティブな感情がさらに集中し、園の運営や動物たちの平穏な暮らしを脅かしかねません。「平穏な環境をサル山に提供したい」。名前を伏せることは、人間の過剰な感情からサルたちを守るための「盾」なのです。

人工哺育の「パンチくん」が挑むものの大きさ

この背景を知ると、人間の手で育てられ、「パンチ」という名前をもらったパンチくんが、厳しい「サル山」に戻っていくことが、どれだけ大変な挑戦であるかが分かります。

市川市動植物園=(撮影:ゆんち)

ニホンザルは、群れのルールの下で生きています。だからこそ、飼育員をはじめとしたスタッフはパンチくんが群れの一員として受け入れられるよう、人間側の干渉を最小限に抑え、慎重に見守り続けているのです。

名前が分からなくても個性は爆発!「役割」で見るサル山

個別の名前が分からなくても、たくさんのドラマが起きているサル山の観察を楽しむことは十分にできます。よくよく観察すると、群れ全体を見渡す厳格な「ボスザル」のような存在感を示すサルや、子ザルたちを優しく見守る面倒見のいい〝お母さん風ザル〟、〝お姉さん風ザル〟など、個性豊かな姿を見ることができます。

そして先日導入された消防ホースにぶら下がって遊ぶ「やんちゃな若者ザル」たちや、若者ザル同士の交流も目が離せません。少し観察を続けるだけで、それぞれの性格や群れの中での「役割」が見えてくるのです。

「あの子はいつもここで見張りをしているな」「この2匹は仲良しなんだな」と、行動パターンからサルたちの個性を想像するのも、サル山ならではの醍醐味です。

いつかパンチくんが立派な大人になったら、もしかしたら市川市動植物園からそれぞれの名前や個性が紹介されるかもしれません。その日までは少し離れた場所から、サル山でたくましく成長するパンチくんの姿とその仲間たちを静かに見守りたいと思います。

ライターコメント

最近になってまた、サル山にいるほかのサルについて話題に上ることが増えたので、改めて5月1日の市川市動植物園の声明について振り返ってみました。名前がなくても、サル山には数え切れないほどの個性と命のドラマが詰まっているのです。

<ライタープロフィル>ゆんち

2004年に産経新聞社へ入社。静岡、仙台での事件取材を経て、東京社会部では厚生労働省を担当、派遣労働問題などの社会課題を深く掘り下げる。また、特異なキャリアとして法廷画家を兼務し、数多くの法廷画を手掛けてきた。その後、産経新聞社が発行していたタブロイド紙「SANKEI EX」にてブランド、旅、食をテーマとした執筆活動を展開。南アフリカやオーストラリアなど世界各国を取材で巡るほか、臨時特派員として南太平洋のキリバス共和国への駐在経験も持つ。J-WAVE「TOKYO MORNING RADIO」にて、週1回おすすめニュースを3年間にわたり担当。

現在は2児の母となり、これまでの取材経験に加え、教育、健康、ライフハックへと関心の幅を広げている。「趣味を仕事に!」をモットーとする自称「脱力系ライター」。釣り、温泉、グルメ、そして海を眺めてぼーっと過ごす時間を愛する旅人でもある。長年、酒と旅と釣りを友としてきたが、現在は期間限定で禁酒中。新商品から旅、ファッション、グルメまで、自身のアンテナに触れたトピックを独自の視点で発信している。

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