今年5月21日、多くのファンに惜しまれつつ19歳で天国へと旅立った、福井県にある鯖江市西山動物園のレッサーパンダ「ミンファ」。人間で言えば90歳を超える大往生でした。生きていれば20歳を迎えるはずだった6月23日(火)のお誕生日に、西山動物園ではミンファの生涯を振り返る「思い出を語る会」と写真展が開催されます。 ミンファはどんなレッサーパンダだったのか。来園当初からずっとミンファのそばで愛情を注ぎ続けてきた、飼育員の中嶋公志さんに、ミンファの忘れられない思い出を伺いました。
抜群の身体能力!「脱走の女王」の遺伝子は娘・ティアラへ
ネット上でも「脱走の女王」として数々の伝説を残しているミンファ。その破天荒でおてんばなエピソードは、中嶋さんの記憶にも鮮明に焼き付いています。
中嶋さん:「ミンファが最初に来園したとき、私もいましたが、脱走したときのことはよく覚えていて、当時はすごい大騒ぎになりました。ミンファはほかの個体に比べても、特に若い頃は身体能力がずば抜けて高かったんです。『運動神経が良い』という言葉がぴったりで、ジャンプ力も凄まじかったのだと思います」
そんなミンファの驚異的な身体能力は、しっかりと次の世代へと受け継がれていました。
中嶋さん:「実は、その類まれな運動能力は子供たちにも引き継がれているんです。ミンファの娘である『ティアラ』も抜群の運動能力を持っていて…実はティアラも過去に1回、脱走しているんですよ」
母娘二代でのまさかの「脱走エピソード」に、現場は大変だったと思いますが、それほどまでにミンファのエネルギーは強大だったのです。
動物ながら「品」があった女優のような佇まい
そんな活発で、ときに周囲をハラハラさせる一面を持つ一方で、普段のミンファは驚くほどおっとりとした優しい空気感をまとっていたといいます。
中嶋さん:「活発な反面、普段の性格はマイペースで、すごくおっとりしていました。そこがまたミンファの魅力だったと思います。お世話をするときや、大好きなリンゴをあげるときも、いつも穏やか。動物に対してこんな表現を使うのはおかしいかもしれませんが、とにかく『品』がある子でした。とても上品で、まるで女優さんのような気品溢れるレッサーパンダでしたね。本当にたくさんの人に愛され、人気がありました」
どこか凛とした美しさと気高さを感じさせたという、ミンファの佇まい。中嶋さんが語る「女優さん」という言葉からも、ミンファが多くの人に愛されていたことが伝わってきます。

8頭を育てた「偉大なる母」としての温かな眼差し
ミンファのもう一つの偉大な功績が、たくさんの命を繋いだ「お母さん」としての姿です。生涯で8頭の子宝に恵まれ、そのうち5頭を鯖江市西山動物園で出産しました。
中嶋さん:「子育ても本当に熱心でしたね。子供たちの面倒をとてもよくみていました。一緒に楽しそうにじゃれ合ったり、まだ幼い子供が一生懸命に木登りをしていると、下から心配そうにじっと見守っていた姿が、今でもすごく印象に残っています」
脱走の女王として世界を驚かせ、女優のような美しさでファンを魅了し、そして現場では、優しい眼差しで我が子の成長を心配する、愛情深いお母さんだったミンファ。
6月23日、ミンファの20歳の誕生日に「思い出を語る会」を開催
西山動物園では、ミンファの誕生日である6月23日(火)に、ミンファへの感謝を込めた「ミンファの思い出を語る会」と、来園当初から晩年までの姿を集めた「写真展」を開催します。
当日は飼育員から直接、ミンファのエピソードが語られるほか、ファンのみなさんが思い出を自由に語り合う時間も用意されています。
天国へと旅立ったミンファですが、ミンファが遺したたくさんの命と、温かい思い出は、これからも西山動物園の中で輝き続けます。
ライターコメント
抜群の運動神経で周囲を驚かせた「脱走の女王」でありながら、「女優のような品格」を持ち、我が子の木登りをハラハラしながら見守る「優しい母」でもあったミンファ。 6月23日のお誕生日、みなさんの温かな思い出話を聞きながら、ミンファも天国で大好きなリンゴをかじりつつ、おっとりと微笑んでくれているのではないでしょうか。
<ライタープロフィル>ゆんち
2004年に産経新聞社へ入社。静岡、仙台での事件取材を経て、東京社会部では厚生労働省を担当、派遣労働問題などの社会課題を深く掘り下げる。また、特異なキャリアとして法廷画家を兼務し、数多くの法廷画を手掛けてきた。その後、産経新聞社が発行していたタブロイド紙「SANKEI EX」にてブランド、旅、食をテーマとした執筆活動を展開。南アフリカやオーストラリアなど世界各国を取材で巡るほか、臨時特派員として南太平洋のキリバス共和国への駐在経験も持つ。J-WAVE「TOKYO MORNING RADIO」にて、週1回おすすめニュースを3年間にわたり担当。
現在は2児の母となり、これまでの取材経験に加え、教育、健康、ライフハックへと関心の幅を広げている。「趣味を仕事に!」をモットーとする自称「脱力系ライター」。釣り、温泉、グルメ、そして海を眺めてぼーっと過ごす時間を愛する旅人でもある。長年、酒と旅と釣りを友としてきたが、現在は期間限定で禁酒中。新商品から旅、ファッション、グルメまで、自身のアンテナに触れたトピックを独自の視点で発信している。
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