保護されたツシマヤマネコの赤ちゃん=対馬野生生物保護センター提供

ツシマヤマネコの赤ちゃんを対馬で奇跡的に保護!亡くなった母ネコが遺した命

By - emogram編集部・ゆんち
アニマル

長崎県の対馬にのみ生息し、絶滅危惧種に指定されている「ツシマヤマネコ」。現在、野生では100頭ほどしか生息していないと推定される大変希少な存在ですが、対馬市内で2頭の赤ちゃん(子ネコ)が奇跡的に保護されました。環境省・対馬自然保護官事務所・厳原事務室の担当者にお話を聞きました。

執念のカメラモニタリング

対馬中部の美津島町濃部(みつしままちのぶ)の国道382号沿いで5月30日、車にはねられたとみられるツシマヤマネコのメスの成獣が死体で見つかりました。

現在、ツシマヤマネコは出産シーズンのため、同事務室のスタッフは亡くなったメスが「子育て中の母ネコ」だった可能性を考慮。事故地点の周辺に「自動撮影カメラ」を設置し、モニタリングを開始したところ、カメラにツシマヤマネコの赤ちゃんと見られる幼獣の姿が映ったそうです。

すぐに周辺を捜索し、6月3日18時ごろ、事故現場のすぐ近くで2頭の子ネコを発見。母ネコが遺した子ネコである可能性が高いと判断し、「対馬野生生物保護センター」に保護収容されました。

離乳直後の元気な男の子!野生復帰を目指して

保護された2頭はどちらもオス。野生のツシマヤマネコの赤ちゃんが保護されること自体が極めて稀なケースだといいます。

同事務室によれば、ツシマヤマネコの幼獣が保護される事例は1996年以降で9例目。そのうち、今回のように「母ネコが交通事故に遭った後」に幼獣が保護されたケースは、2004年に続いて2例目という非常に珍しい事例だったそうです。

担当者:「今回保護した2頭は、離乳直後と考えられます。現時点では健康状態に大きな問題は見られず、経過は良好です」

今後はセンターで生きたエサなどを与えながら飼育し、個体の状態や有識者の助言を踏まえて、野生復帰の時期を慎重に検討していくそうです。

知っておきたい「故意でなければ罪に問われない」

母ネコが命を落としてしまったことは悲しい出来事ですが、スタッフの迅速な判断によって、貴重な2つの命が救われました。しかし、ドライバーが注意していれば事故自体が防げた可能性もあります。

同事務室によれば、夏季はツシマヤマネコが子育てを行う重要な時期。子ネコは好奇心が強く、車を恐れずに道路に飛び出してくることがあるそうで、「普段の安全運転に加え、野生生物への配慮をお願いいたします」と呼び掛けています。

また万一、ツシマヤマネコをはねてしまっても、故意でない限り罪に問われることはないそうです。

担当者:「速やかな通報がツシマヤマネコの命を救うことにつながりますので、はねてしまった場合や、道路上で見かけた場合は、生死に関わらず通報のご協力をお願いします」

「天然記念物をはねてしまったら逮捕されるのでは…」とパニックになり、その場を立ち去ってしまうケースが少なくありません。しかし、すぐに通報すれば助かる命があります。このルールを私たちが広く知っておくことも、野生動物保護の第一歩ですね。

ライターコメント

悲しい事故のニュースの裏側で、自動カメラに映った一瞬の姿を見逃さず、周辺を捜索して2頭を救い出したスタッフの皆さん、本当にありがとうございました。そして「わざとでなければ罪に問われないので、とにかくすぐ通報を!」というルール、ツシマヤマネコに限らず、身近な動物たちを守るためにもぜひ覚えておきたいですね。子ネコがお母さんの分までたくましく生きて、いつか対馬の大自然に元気に駆け戻っていく日を応援したいと思います。

<ライタープロフィル>ゆんち

2004年に産経新聞社へ入社。静岡、仙台での事件取材を経て、東京社会部では厚生労働省を担当、派遣労働問題などの社会課題を深く掘り下げる。また、特異なキャリアとして法廷画家を兼務し、数多くの法廷画を手掛けてきた。その後、産経新聞社が発行していたタブロイド紙「SANKEI EX」にてブランド、旅、食をテーマとした執筆活動を展開。南アフリカやオーストラリアなど世界各国を取材で巡るほか、臨時特派員として南太平洋のキリバス共和国への駐在経験も持つ。J-WAVE「TOKYO MORNING RADIO」にて、週1回おすすめニュースを3年間にわたり担当。

現在は2児の母となり、これまでの取材経験に加え、教育、健康、ライフハックへと関心の幅を広げている。「趣味を仕事に!」をモットーとする自称「脱力系ライター」。釣り、温泉、グルメ、そして海を眺めてぼーっと過ごす時間を愛する旅人でもある。長年、酒と旅と釣りを友としてきたが、現在は期間限定で禁酒中。新商品から旅、ファッション、グルメまで、自身のアンテナに触れたトピックを独自の視点で発信している。

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