クマや森の保護に取り組む「日本熊森協会」がサイバー攻撃でアカウントを乗っ取られ、同アカウントから会員らに「破産手続きを開始した」という内容の偽メールが送信されていたことが22日までに分かりました。
日本熊森協会は、インスタグラム、Xで被害を公表。不正アクセスは11日ごろに認知したとしており、「悪質な脅迫メール」として警察などに相談しているとしています。
同協会はインスタグラムの公式アカウントで「一部の会員の方から『爆破予告など脅迫的な内容を含む不審なメールが届いた』とのご報告をいただいております」と投稿。「これらのメールは当会とは一切関係がございません。社会不安をあおることを目的とした悪質な脅迫メールとみられます」と強調しました。
同協会は、11日ごろにサイバー攻撃を受け、ウェブサイトを管理するサーバーにアクセスができなくなったとしており、公式サイトは現在も表示できない状態が続いています。
メールを送信する同協会のアカウントも乗っ取られており、弁護士の名前をかたって、「破産手続きを開始した」などとする偽メールも送信されているとしています。
会員からも不審メール報告
同協会は21日にもインスタグラムを更新しています。
投稿では、「本日、一部の会員の方から『爆破予告など脅迫的な内容を含む不審なメールが届いた』とのご報告をいただいております。X(旧Twitter)上でも、当会とは関係のない企業や団体のアドレス宛に同様のメールが届いているとの投稿が確認されています」とつづっています。
7月下旬にも虚偽情報が流布
同協会は7月下旬、「SNS上において『クマが射殺されると本部から会員に抗議するよう連絡がある』『抗議マニュアルが添付されている』といった虚偽の情報が流布されています」と声明を発信。「誤った情報を信じた方からの苦情や抗議のご連絡が多数寄せられており、その対応に長時間を要し、実務にも支障が出ております」と訴えていました。
人に危害を加えたクマの駆除を巡っては、駆除を実施した自治体に非難が殺到し、社会問題化。一方で、クマをはじめとする野生鳥獣の保護団体にも激しい苦情が寄せられ、「誹謗中傷合戦」に陥っています。
クマの捕獲への苦情突出
環境省では、クマによる人身被害が増加していることを受け、2024年に四国と九州以外の地域で、クマを計画的に捕獲して頭数を管理する指定管理鳥獣に追加しました。都道府県はシカやイノシシと同様に捕獲や調査で国からの交付金を活用できるようになっています。
環境省によるとクマの駆除数は2023年度が約9300頭。2024年度は約5300頭で、今年度は6月末時点の暫定値で約1500頭となっています。シカやイノシシの駆除数は約120万頭を超えていますが、クマの捕獲に対する苦情だけが突出しています。
SNS上の感情
クマや森林保護に取り組む日本熊森協会がサイバー攻撃でアカウントを乗っ取られたという話題に対し、SNSでコメントが相次いでいます。
emogram編集部では、この話題に対するSNS上の感情を独自に分析しました。
感情分析の結果は以下の通りです。
主な「冗談・皮肉」の声(45%)
「クマがパソコン使ってるだろ」
「最近のクマはサイバー攻撃までできるのか🐻💻」
「プーさんの影響?」
主な「批判・非難」の声(30%)
「気にせず、駆除セヨw」
「クマの駆除数が年々減ってるやん。金かけて一気に狩りまくれよ」
主な「不満・疑問」の声(15%)
「なんでシカやイノシシの駆除に対する苦情は少なくて、クマの駆除に対する苦情は多いんだろう」
「クマを保護したいというやつは、カネ出せってだけの話」
まとめ
今回の分析では、クマや森林保護に取り組む日本熊森協会がサイバー攻撃でアカウントを乗っ取られたという話題に対し、「クマがパソコン使っているだろ」という皮肉交じりの意見のほか、クマの駆除を進めるべきという反応、「なんでシカやイノシシの駆除に対する苦情は少なくて、クマの駆除に対する苦情は多いんだろう」という疑問の声などが寄せられていました。
ライターコメント
吉村昭の名作「羆嵐」を読んだことがあるでしょうか。1977年に出版されたこの小説は、1915年(大正4年)に北海道苫前郡苫前村三毛別六線沢 (現在の苫前町三渓)でヒグマが開拓民を襲った三毛別羆事件をモデルにした作品です。巨大なヒグマが人間を襲う様子が鮮明に描かれており、この小説を読んで以降、筆者はクマに対し強い畏怖の念を抱いています。駆除か保護か。この論争を巡ってはさまざまな意見があるとは思いますが、クマを知るために、「羆嵐」を読んでみてはいかがでしょうか。