日常生活の必需品として定着しつつあるモバイルバッテリーが突然発火する事故が相次いでいます。
8月には、電車や新幹線の車内で発火する事例が続き、運行にも支障が出ました。発火源はバッテリーに使われるリチウムイオン電池で、同様の事故はここ数年で急増しています。低品質な海外製の普及が背景にあるとみられますが、リチウムイオン電池は身の回りの電化製品に多く使用されており、取り扱いには注意が必要となります。
鉄道内での事故相次ぐ
スマートフォンの充電などのためにモバイルバッテリーを持ち歩く人が増える一方、発火事故も多発しています。
8月28日午前8時ごろ、大宮－上野間を走行中の上越新幹線で、乗客の男性がキャリーケースに入れていたモバイルバッテリーが発火し、車内には煙が立ち込めました。男性は軽いやけどを負い、安全確認などのため一部列車に遅れが生じました。
これに先立つ8月22日には、JR新大阪駅に向かっていた東海道新幹線の車内で、座席ポケットに入れられていたモバイルバッテリーから発火。7月にもJR山手線の車内で、スマートフォンを充電中のモバイルバッテリーから火が出ました。
製品評価技術基盤機構（NITE）によると2020年～2024年にリチウムイオン電池を搭載した製品による発火などの事故は計1860件。このうち、モバイルバッテリーによる事故は2020年には47件でしたが、2024年には123件と2・6倍に増加しています。
適切に廃棄されず
充電して繰り返し使用できるリチウムイオン電池は現在、モバイルバッテリー以外でも、スマートフォンやワイヤレスイヤホン、ゲーム機やパソコンなど、身近な電子機器に幅広く搭載されています。
適切に廃棄されずに、火事の原因となる事例も増えています。東京消防庁の発表によると、2023年中にごみ収集車から出火した火災41件のうち、半数を超える21件がリチウムイオン電池を含む製品が発火源でした。
リチウムイオン電池は、どのような場合に発火するのでしょうか。以下のいくつかの条件が重なったときに起こりやすいとされています。
- 劣化
- 気温が高い
- 熱のこもりやすい場所
予防策は
リチウムイオン電池は長い期間使っていると、中の「電解液」が劣化し、ガスが発生します。この状態で、落下による衝撃など何らかの理由で内部でショートが起こると、過熱状態となって火が出るという仕組みになっています。
予防策としては、モバイルバッテリーなどを毎日使用する場合、3年を目安に劣化していないか確認し、落とした場合も使用時に温度が高くならないか注視することが勧められています。
SNS上の反応
モバイルバッテリーが突然発火する事故が相次いでいるという話題に対し、SNS上ではコメントが相次いでいます。
emogram編集部では、この話題に対するSNS上のコメントを独自に分析しました。
分析の結果、コメントは大きく以下のように分類されました。
主な「懸念・不安」の声（40%）
「電車はまだいいけど飛行機は勘弁してくれ」
「AirPodsとか耳に入れる部分にバッテリ入ってるやつ怖くて使えないのでネックバンド式にしてるけれど、よく考えると襟元で発火して服に燃え移ったら怖いよな。有線に戻すか」
「新幹線で燃えたバッテリーの何百倍もの数が家や車の中で燃えてるんだろうが、ボヤ程度ならニュースにならないんだろうな」
主な「品質への意見」（30%）
「海外の🙅♂️ 中国のほとんどの🙆♂️ 使うなら中国製でもAnkerの良い奴」
「外国製ではなく、日本メーカーの品質が安心なバッテリーを購入したいのが日本人の思い」
「安物買いのなんとやら ってね」
主な「対策提案」（20%）
「これを機に日本のモバイルバッテリーを製造しているメーカーに補助金等投入して、安価で購入できるようにする等、国内の需要を拡大させて欲しい」
「『鞄の中には入れず風通しのいい場所で使って高温を感じたら充電を止めてください』『充電は機器の電源を必ずオフにしてから充電してください』って7年前に買ったモバイルバッテリーの取扱説明書には書いたあったけど守られているのかな」
「バッテリーの問題もありますが、バッテリー無いと一日も使えないスマホの設計側もどうにか規制しないと」
「あと、ハンディファンの流行りもあるのでは?落としやすい高温の外で使う、車に放置しやすいなど条件が揃う」
主な「情報共有」（10%）
「電池の内部電極の＋と－が構造的にシュートしやすいタイプとそうでないのがある」
「今年は異常な高温だったから余計にね」
まとめ
今回の分析では、モバイルバッテリーの発火事故が増加しているという話題に対し、低品質バッテリーへの不安のほか、電車や飛行機などの公共交通機関での発火リスクへの懸念のほか、スマートフォンのバッテリー持続時間の短さや設計上の問題を指摘するコメントも多く見られました。
ライターコメント
モバイルバッテリーは、若者を中心に広く普及しているハンディファン（手持ち扇風機）にも搭載されており、環境省は、暑さが収まり、ハンディファンの廃棄などが増える11月を火災防止月間に設定しています。便利なモバイルバッテリーですが、リスクがあることも認識して正しく使いたいですね。
