東京都八王子市「高尾山さる園・野草園」のボス「トロロ」。本妻候補の「レタス」と「ホッペ」が熾烈な争いを繰り広げるほか、さらには多数の「期間限定彼女」も存在するなど、トロロの周りには、いつも複数のメスザルの存在があります。実はこのトロロ、同園の中でも指折りの「モテ男」なのだそうです。そのモテっぷりと魅力の正体に、迫ってみたいと思います。
本妻候補のほかにも「彼女」がたくさんいます
「彼女が、たくさんいます。トロロはすごくモテるんですよ」
同園の副園長・堅木杏美さんは、そう教えてくれました。秋はニホンザルの発情期にあたりますが、同園が作成した一覧表を見ると、トロロの「秋限定彼女」も複数存在しています。トロロの「人気ぶり」は、飼育員たちの間でも話題になっているようです。

比較すると際立つ、先代との違い
このモテっぷりが際立つのは、先代ボス「ネッシン」と比較したときです。
堅木さん:「私がここで働き始めて11年目になるのですが、前のボスザル『ネッシン』は、ここまで彼女が多くはなかったです」
堅木さんによれば、ネッシンの彼女は常に2〜3頭ほど(それでも十分な気が…)。今のトロロの「モテっぷり」に比べれば、確かに控えめではあります。性格の違いも、その一因のようです。
堅木さん:「ネッシンは偉大なボスでしたが、そこまで気が強い方ではなく、とても優しいボスザルでした。それに比べると、トロロは明らかに『強さ』があります。そこがモテるのでしょうかね」
トロロは「年上好み」
トロロのモテる理由として、母が先代のボスの本妻という血統や大きな体格も関係しているかもしれない、と堅木さんは言いますが、興味深いのはその「好み」です。
堅木さん:「サルは3倍にするとだいたい人間の年齢と言われているのですが、トロロが相手にしているメスザルの中には、20歳を超えたおばあちゃんザルたちもたくさんいます。毎年、自分より年上の、母ザルと同じくらいの年齢のメスたちとデートしていることが多いですね」
若いメスだけでなく、年上のベテランメスたちからも支持を集めるトロロ。その理由の一つに、地道な気配りがあるようです。
堅木さん:「ボスとしての威厳を保つためには、メスに限らず、サル山のいろいろなサルへ毛づくろいをまめにするなどの気遣いもとても大切です。トロロも、もともと女子の中で位(サル山内での順位)が高い女の子たちを始め、さまざまなサルに対して、よく毛づくろいをしてあげて気配りをしています」

まだ「修行中」でも、頼られるボスへ
強さと気配りを併せ持つトロロですが、ボスとしてはまだ日が浅く、堅木さんいわく「修行中」の身。それでも、頼られるボスへと着実に育っている様子がうかがえるエピソードもあります。
堅木さん:「タヌキなど野生の生物がサル山のガラスの近くに来ることがあったのですが、そういうときもトロロが、ガラス越しに近くまで行って追い払ってくれました」
そうした頼もしい姿を、群れの仲間たちもしっかり見ているのでしょう。
堅木さん:「本当に少しずつですが、頼りにされるボスになってきているなと感じます」

強さ、気配り、そして頼もしさ。人間社会に置き換えても納得してしまう「モテる理由」が、そこにはありました。

■高尾山さる園・野草園:公式サイト
ライターコメント
「モテる」と聞いて、体格や毛並みが重要なのかと思いきや、大切なのは「マメさ」だったんですね…。毛づくろいなどの細やかな気配りを忘れない。そのバランス感覚こそが、トロロの一番の魅力なのかもしれません。まだ「修行中」というトロロが、これからどんなボスに育っていくのか、楽しみです。
<ライタープロフィル>ゆんち
2004年に産経新聞社へ入社。静岡、仙台での事件取材を経て、東京社会部では厚生労働省を担当、派遣労働問題などの社会課題を深く掘り下げる。また、特異なキャリアとして法廷画家を兼務し、数多くの法廷画を手掛けてきた。その後、産経新聞社が発行していたタブロイド紙「SANKEI EX」にてブランド、旅、食をテーマとした執筆活動を展開。南アフリカやオーストラリアなど世界各国を取材で巡るほか、臨時特派員として南太平洋のキリバス共和国への駐在経験も持つ。J-WAVE「TOKYO MORNING RADIO」にて、週1回おすすめニュースを3年間にわたり担当。
現在は2児の母となり、これまでの取材経験に加え、教育、健康、ライフハックへと関心の幅を広げている。「趣味を仕事に!」をモットーとする自称「脱力系ライター」。釣り、温泉、グルメ、そして海を眺めてぼーっと過ごす時間を愛する旅人でもある。長年、酒と旅と釣りを友としてきたが、現在は期間限定で禁酒中。新商品から旅、ファッション、グルメまで、自身のアンテナに触れたトピックを独自の視点で発信している。
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