富士山を望む景勝地・日本平のふもとにある、静岡市立日本平動物園。ここではホッキョクグマのオス「ロッシー」とメス「バニラ」の2頭が暮らしています。ふだんは別々に暮らす2頭ですが、今年2月には期間限定で同居にも挑戦しました。命をつなぐための大切なひとときを、飼育員たちは静かに見守り続けています。
一緒にいられるのは「1月~4月ごろ」だけ
ホッキョクグマは本来、群れをつくらず1頭で暮らす動物です。日本平動物園の公式ブログ「でっきぶらし」によると、オスとメスが一緒に行動するのは繁殖の時期だけ。そのため同園では、だいたい1月~4月ごろに、ロッシーとバニラが同じ展示場で過ごす姿が見られるといいます。
この季節限定の同居期間には、「プールで遊んだり、くっついて昼寝をしたり、普段とは違った様子が見られます」とのこと。大きな体を寄せ合って眠る2頭の姿は、この時期にしか出会えない、とっておきの光景なのかもしれません。

来園から18年のロッシー、そしてバニラとの歩み
ロッシーが日本平動物園にやってきたのは、2008年7月8日のことでした。以来、長く同園の人気者として親しまれています。
バニラとの間には、つらい経験もありました。以前、バニラは放飼場で1頭の子を出産しましたが、残念ながらうまく育ちませんでした。初めての出産だったバニラには目立った出産前の行動がなく、予定日の見極めも難しかったそうです。
それでも園は当時、この出来事によって2頭が繁殖可能な時期に達していることが明らかになったとし、次の繁殖を目指す姿勢を示していました。悲しい経験も糧にしながら、2頭と飼育員たちの挑戦は今も続いています。
これからも2頭のペースで
季節がめぐった今、2頭はそれぞれの時間を過ごしています。10月11日の「夜の動物園」では、新ホッキョクグマ舎でロッシーに、氷漬けにしたブドウやリンゴなどのフルーツや魚がプレゼントされました。一方のバニラには、新しいカラーコーンが与えられました。
この冬、また同居が実施されるかはまだ分かりませんが、2頭にとっていちばんよい形で進められるとよいですね。これからも、2頭を見守っていきたいと思います。

■静岡市立日本平動物園:公式サイト
ライターコメント
1年のほとんどを別々に過ごす2頭が、春までのほんのひととき一緒に過ごす冬もあります。その時間に、園の人たちは毎年、静かな願いを託しているのだと思います。いつか日本平に、小さな白い命の知らせが届く日を、私も楽しみに待ちたいと思います。
<ライタープロフィル>ゆんち
2004年に産経新聞社へ入社。静岡、仙台での事件取材を経て、東京社会部では厚生労働省を担当、派遣労働問題などの社会課題を深く掘り下げる。また、特異なキャリアとして法廷画家を兼務し、数多くの法廷画を手掛けてきた。その後、産経新聞社が発行していたタブロイド紙「SANKEI EX」にてブランド、旅、食をテーマとした執筆活動を展開。南アフリカやオーストラリアなど世界各国を取材で巡るほか、臨時特派員として南太平洋のキリバス共和国への駐在経験も持つ。J-WAVE「TOKYO MORNING RADIO」にて、週1回おすすめニュースを3年間にわたり担当。
現在は2児の母となり、これまでの取材経験に加え、教育、健康、ライフハックへと関心の幅を広げている。「趣味を仕事に!」をモットーとする自称「脱力系ライター」。釣り、温泉、グルメ、そして海を眺めてぼーっと過ごす時間を愛する旅人でもある。長年、酒と旅と釣りを友としてきたが、現在は期間限定で禁酒中。新商品から旅、ファッション、グルメまで、自身のアンテナに触れたトピックを独自の視点で発信している。
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