ただ、見入ってしまいました。
熊本県南関町の素麵(そうめん)づくりを淡々と映した動画が、6.6万のいいねとともに、世界中の人々の心を静かに揺さぶっています。
日本人である私たちでさえ、こんな素麺づくりがあることを知りませんでした。
「雪の糸素麺」猿渡製麺所
300年前から、代々受け継がれてきた技。現在、十代目がその手の中に、先祖から続く記憶を宿しています。明治33年につけられた「雪の糸素麺」という名前が、そのまま屋号として今も生きています。
機械を一切使わない。
ただ、人の手だけで。
雪の糸のように。
極限まで伸ばされていく素麺。
切れることなく、どこまでも細く、どこまでも長く。
その様子を見ていると、時間の感覚が少しずれていくような不思議な感じがします。
その細さ、コシの強さ、滑らかさ。
すべてが、長い時間をかけて磨かれてきた技術の結晶なのでしょう。
受け継がれた、技術
コメント欄で、こんな話を見つけました。
「ベテランのおばあちゃんが胃がんで倒れたとき、すでに独立していたお孫さんが戻ってきて、この技を受け継いだ」ーー。
切れずに極限まで伸ばす技。
何千回と繰り返されるみごとな動き。
動画からは、すべてを受け継いだ若き職人の技を見ることができます。
世界が見た、静かな美しさ
海外からのコメントが、また温かいんです。
「日本人がすることすべてに、静かな優雅さがある」
「日本人の仕事への献身さに、息をのんだ。世界中がこうだったらいいのに」
「作業環境の清潔さ、職人の佇まい、素麺が伸びていく様子──すべてが芸術作品のようだった」
また、イラクからのコメントには、こんなのも見つけました。
「この古い仕事の美しさよ。遺産として、愛し尊敬します」
伝統とは…十代目が語ったこと
十代目として受け継いだ若い職人は、公式サイトの中でこう語っています。
「繋いでくれた先祖に感謝をして、より良いものが出来るよう素麺作りに励んでおります」
300年という時間が、一本の素麺の中に凝縮されているのですね。
ライターコメント
この動画、何度も見返してしまうんです。淡々と映される職人の手仕事、極限まで伸ばされる素麺、清潔な作業場。日本が誇る「ものづくり」へのこだわりが、この動画からは伝わってきます。












