虎ノ門ヒルズ駅直結「TOKYO NODE」の45階。東京を一望できる開放的な空間で、米国出身でマルチメディアアートの先駆者であるトニー・アウスラー氏の日本初の個展「トニー・アウスラー:技術と霊知のはざま~魔術、メディア、アート~」が開催中です。映像や音、光を融合した不可思議な没入型インスタレーションで知られるアウスラー氏の、日本初公開となる作品が多数展示されています。
見ているのか、見られているのか。五感を揺さぶる作品たち
展示会場を入ってすぐの作品《スペキュラー》では、宙に浮かんだ無数の球体に「目」の映像が映し出されています。「こちらが作品を見ているのか、それとも見られているのか?」。いきなりそんな問いを投げかけられているようで、感覚が少し混乱させられます。

続いて目に入った作品《C>o++ 》は、アウスラーによる「顔認識」シリーズの作品の一つです。スマートフォンや監視カメラでおなじみの顔認証技術は、人間の顔を座標や数値に置き換えることで個人を識別しています。
私たちの顔は、すべて座標や数値となり、データ・情報へと変換され、「個人データ」としてビッグデータに取り込まれ管理されていく。
そんな世界では、唯一無二の「自分らしさ・アイデンティティ」は、結局ただの情報でしかないのかもしれません。考えれば考えるほど、なんだかちょっと不気味に思えてきます。

ついてくる「音」の不気味さと、違和感が言語化される瞬間
ほぼすべての展示室には、常に何かしらの「音」や「声」が響き渡っています(音を出していない作品もあります)。 聞き取れるのは、英語の独り言や一定のリズムで繰り返される言葉。意味が100%は理解できないからこそ、その「音」が日本人にとってじわじわと不安を増幅させます。
特に、球体に顔が映し出された作品《失われた時間》では、作品の前を離れてもなお、その不気味な声が背後をついてくるような感覚に陥り、なかなか次の作品に集中できないほど。

しかし、その「違和感」や「不安」の正体が解き明かされる瞬間が訪れます。あのデヴィッド・ボウイとトニー・アウスラー、そして作曲家グレン・ブランカのコラボレーション作品《空(くう)》です。
キャプションに書かれていた「デジタルの世界で自分を保つ難しさ」という言葉を目にした瞬間、これまで展示を通して感じられていた混沌とした感情が、一気に言語化された気がしました。
デヴィッド・ボウイの顔が映し出された4つの巨大な楕円状の立体。アウスラーの詩を朗読するボウイの声と、ブランカの緻密な音響が空間を包み込みます。ぜひ4つの展示物の中心に立ち、その圧倒的な世界観を体感してみてください。

撮影は動画がおすすめ 日常に持ち帰れるアートグッズも
展示会場には、若い女性や年配の男性、海外からの方など幅広い客層が訪れ、誰もがその不思議な世界に引き込まれています。
また、本展はすべての作品が撮影可能です。ほぼすべての作品に映像や音が使われているため、「動画」で収めるのがおすすめです。
ミュージアムショップでは、キャップ(5,500円)や、《スペキュラー》をモチーフとした目のミラー(880円)、《C>o++ 》の顔ポーチ(3,300円)などを販売中。ここで体験した「違和感」や「余韻」をぜひグッズとして持ち帰り、日常に取り入れてみてはいかがでしょうか。

観覧チケットプレゼント
今回紹介した「トニー・アウスラー:技術と霊知のはざま~魔術、メディア、アート~」展の観覧チケットを、抽選でペア5組(計10名様)にプレゼントします。ご希望の方は、「産経iD」応募フォームよりご応募ください。※応募には産経iD会員への登録が必要です。
ライターコメント
五感を刺激され、自分の存在やデジタル社会について深く考えさせられるような、非常に深い没入体験でした。この夏、少し刺激的なアート体験をしてみたい方にぜひオススメしたい展覧会です。







