東京都日野市にある「多摩動物公園」は、タイリクオオカミの亜種であるヨーロッパオオカミに国内の動物園でただ一つ会える場所です。4月に生まれた2頭の子供たちと、お母さんの「スイ」、お父さんの「カヨラン」の4頭家族から、うれしい1枚が届きました。家族全員の顔がそろった写真です。
4頭の顔がそろうのは「レア」
多摩動物公園の公式X(旧Twitter)では、「珍しくオオカミ全頭の顔が写りました」と投稿。さらに「4頭揃うときは、たいていワチャワチャしているので、全頭の顔が一枚の写真に納まるのはレアです」とつづりました。
じゃれ合ったり、追いかけっこをしたり。ふだんの4頭は、なかなかカメラの前でじっとしていないのでしょう。そんな家族が、ほんの一瞬だけ、同じ方向を向いてそろいました。何げない家族写真のようでいて、飼育員にとっては待ちに待った1枚だったのかもしれません。

巣穴に近づけなかったお父さん
今でこそ仲のいい家族ですが、ここまでの道のりはあまり平坦ではありませんでした。
子供たちが生まれた直後、スイはカヨランを巣穴にまったく近づけませんでした。それでもカヨランは、巣穴から離れた場所でスイにエサを渡し、遠くから子育てを支えていたといいます。そっと巣穴に入って子供たちと初めて対面しようとしたときは、気づいたスイに猛烈な勢いで追い返されてしまったそうです。
転機は5月21日。遊んでいるスイと子供たちのところにカヨランが近づき、一定の距離から先へは進まずに、子供たちのほうから来るのを待ったのだとか。その日を境に、父と子の距離は少しずつ縮まっていきました。

今では子守りも任されて
6月上旬ごろからは、スイがカヨランに子守りを任せ、エサを食べたり、見回りをしたり、休んだりと、「ひとり時間」を楽しむようになったといいます。
今のカヨランは、子供たちの毛づくろいをしたり、エサを与えたり、そばに寄りそったりと、すっかり頼れるお父さんです。もっとも、初めて子供に歯をむき出したときには、すぐに毛づくろいをしてごまかすような様子もあったのだとか。飼育員は「群れを率いる威厳はまだ足りないようにも感じます」と、あたたかく見守っています。
ワチャワチャは、平和のしるし
「アジアの平原」エリアが2013年にできてから、初めて生まれたオオカミの子供たち。生後5カ月がたった今、家族4頭がそろってワチャワチャできる日々は、スイとカヨランが少しずつ築いてきた家族の形そのものなのでしょう。
めったに撮れない「全員集合」の1枚は、この家族が平和に暮らしていることを伝えてくれているようです。
ライターコメント
巣穴に近づくこともできず、遠くからそっとエサを運んでいたカヨランパパ。そのカヨランが、今では子守りを任されるまでになったと知って、思わず「よかったね」と声をかけたくなりました。ワチャワチャと転げ回る4頭の、にぎやかな毎日をこの目で見てみたくなりました。
<ライタープロフィル>ゆんち
2004年に産経新聞社へ入社。静岡、仙台での事件取材を経て、東京社会部では厚生労働省を担当、派遣労働問題などの社会課題を深く掘り下げる。また、特異なキャリアとして法廷画家を兼務し、数多くの法廷画を手掛けてきた。その後、産経新聞社が発行していたタブロイド紙「SANKEI EX」にてブランド、旅、食をテーマとした執筆活動を展開。南アフリカやオーストラリアなど世界各国を取材で巡るほか、臨時特派員として南太平洋のキリバス共和国への駐在経験も持つ。J-WAVE「TOKYO MORNING RADIO」にて、週1回おすすめニュースを3年間にわたり担当。
現在は2児の母となり、これまでの取材経験に加え、教育、健康、ライフハックへと関心の幅を広げている。「趣味を仕事に!」をモットーとする自称「脱力系ライター」。釣り、温泉、グルメ、そして海を眺めてぼーっと過ごす時間を愛する旅人でもある。長年、酒と旅と釣りを友としてきたが、現在は期間限定で禁酒中。新商品から旅、ファッション、グルメまで、自身のアンテナに触れたトピックを独自の視点で発信している。
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