業績が好調な中で人員削減を行う「黒字リストラ」を行う企業が増えています。背景には、社内の年齢層が高めに偏っているといった人員構成上の課題に対処し、若手の登用を増やし、次世代への継承を進める狙いがあるようです。
三菱ケミカルグループは29日、連結子会社で化学事業を手がける三菱ケミカルで希望退職を募ると発表しました。国内で3年以上勤める満50歳以上の社員が対象で、募集人数は定めません。三菱ケミカルグループの2026年3月期の純利益予想は1450億円。今回の希望退職は黒字リストラであり、工場作業員など製造に従事する社員は除外し、従業員約1万7千人のうち約4600人が対象になるとしています。
三菱ケミカルグループは中核以外の事業の売却などで成長領域への経営資源の集中を進めており、投資加速やコスト削減、人員構成の最適化が目的だとしています。
募集期間は11月17日~28日で、退職日は2026年2月末。退職一時金と特別加算金を支給します。関連費用は現時点で300億円と見込んでいます。
大手メーカーで相次ぐ
三菱電機は9月8日、2026年3月期に過去最高益を予想する中で、満53歳以上といった条件を満たした社員などを対象に希望退職を募集すると発表しました。
満53歳以上などの条件を満たした正社員と定年後再雇用者が対象で、退職金の割り増しなどで社外への再就職支援を実施するとしています。対象は約4万2000人の従業員のうち1万人で、募集人数は定めません。
大手企業ではパナソニックホールディングスが今年5月、国内外で1万人規模の削減を発表。マツダも4月、事務職などで働く50代以上の正社員500人を対象に転職希望者を募集すると公表しています。
SNS上の反応
業績が好調な中で人員削減を行う「黒字リストラ」を行う企業が増えていて、三菱ケミカルも実施を決めたというニュースに対して、SNS上ではコメントが相次いでいます。
emogram編集部では、このニュースに対するSNS上のコメントを独自に分析しました。
分析の結果、コメントは大きく以下のように分類されました。
主な「批判的」な声(35%)
「黒字なのにリストラ?最近の大企業はおかしい。リストラすべきは幹部の方。社員は悪くない」
「氷河期世代が中年になった頃に早期退職が流行るのも酷すぎる」
「希望退職の費用は顧客が払ってる。厳しすぎる雇用規制がこのような付加価値にならない費用を生み出しているのでは?」
「長年会社に貢献して来た社員を目先の利益のためリストラする、これは株主配当のためかな…」
「年とって給料が高くなった人材減らして外国人の安い労働力入れたいんだろうね。何処が人手不足なんよ…」
主な「懸念」の声(25%)
「ホワイトカラーのAI失業は近く社会問題になるね」
「人材の流出が…あーあ」
「不景気が先に見えておるのですね」
「日本は完全に終わりかけか」
主な「諦観」の声(20%)
「そらそうなるわ。生産・売上に直結する生産職は著しい人手不足で給料を上げまくらないと人材確保がままならない一方、事務職なんて人間ダダ余り」
「これから先、特殊な事務以外のデスクワークはAIがやるんじゃないの?」
「正直、AIやデジタル化の時代に営業や製造従事者以外は人間は必要ないと思う」
「時代の流れに合わせた事業転換か」
主な「ポジティブ」の声(15%)
「退職金増額なら喜んでやるパイ」
「羨ましい。うちもやって欲しい」
「大手ほど無能な高給取り人材余りが多いかと。定年まで居座る気だから席が空かねぇのよ」
「さすがに50歳以上の割合が高過ぎ、希望退職募った方がいいでしょ」
主な「提案」の声(5%)
「正直、こういう人たちをリスキリングして人手不足らしい介護や建設業に斡旋しても良いような気がする」
「国は雇用の流動性を考えるなら中小企業の50歳以上の雇い入れは3年程度年収減を補填する補助金を出しては」
まとめ
今回の分析では、業績が好調な中で人員削減を行う「黒字リストラ」を行う企業が増えていて、三菱ケミカルも実施を決めたというニュースに対して、「AI時代の到来により事務職が不要になっていくという技術変化」への認識を示す声が多く見られました。また、「生産・売上に直結する技術職や現場職は人手不足だが事務職は余剰人員という雇用のミスマッチ」を指摘する声のほか、黒字企業のリストラに対する疑問や批判、氷河期世代が中年になった頃のリストラという社会的タイミングの問題、リストラされた人材の再就職先や活用についての提案などさまざまなコメントが寄せられていました。
ライターコメント
業績が好調な中で人員削減を行う「黒字リストラ」を行う企業が増えている現状に対しSNS上では「事務系、特に経理とかは省力化で人手いらなくなるわな」という声がある一方、「現場が疲弊するだけでは? 職場に年配の年齢層は必要ですよ。現場が働き盛りの社員ばかりになると、雰囲気が殺伐としてきます」と希望退職後の職場の状況を懸念する声も多く見られました。