広島県などで養殖カキが大量死する被害が発生している

【取材】「このまま全滅するのでは」9割のカキが大量死滅も「一つの可能性がある!」

By - emogram編集部
ライフ

「今年はさらに悪い。このまま全滅してしまうのではないかという不安さえある」

広島県を中心に、瀬戸内海沿岸で養殖カキの大量死が発生しています。

夏の異常高温が主な原因とみられ、産地では8割から9割の死滅が確認されているそうです。政府や自治体が緊急対策を検討していますが、現場の状況は想像以上に深刻です。

emogram編集部では、香川県三豊市の詫間漁業協同組合で副組合長を務め、カキ養殖を営む冨山保司さんに話を聞きました。

冨山さんが語る、現場の深刻な状況

「ここ2、3年もカキの『へい死』(原因不明の死)が7割ほどあったが、今年は現時点で9割以上死んでしまっています…」

冨山さんによると、毎年「今年が一番悪い」と言ってきたそうですが、今年はさらに悪化。このまま全滅してしまうのではないかという不安さえあるとのこと。

原因は?

「原因はわからないが、水温の上昇だろうと思う」

試験場のカキが何度も産卵してしまい、疲弊して死んでしまっている可能性が。カキは通常、年に1回産卵しますが、高水温が続くと複数回産卵してしまい、体力を消耗して死んでしまうんです。

台風が来ないことも一因?

「このところ何年も台風が来ていない。台風が来ないと海水が混ざらず、酸素も減るなど弊害が出る」

台風は海水をかき混ぜて酸素を供給する役割もあるんですね。台風が来ないことも、カキの大量死に影響している可能性があるとのこと。

冨山さんは、いろいろな原因があるものの、根本的な原因は気候変動による高温化だと考えています。

希望はある?「三倍体」という新しいカキ

深刻な状況ですが、冨山さんは一つの可能性を語ってくれました。

「『三倍体のカキ』なら、へい死が少し減るという実感があります」

現在主流の「二倍体」のカキに対し、「三倍体」のカキは人工的に作り出したもの。産卵をしないから、年中身が太っていて美味しいといわれます。近年、冨山さんの住む香川県でも「三倍体」のカキ養殖の許可が出たそうですが、冨山さんによれば「三倍体」のカキのほうが被害が少ないそうです。

ただし、課題も:

・より広い面積が必要

・資材も新しくしないといけない→新規の投資がかかる

・種苗の値段が高いうえに争奪戦になっている

「補助金が出れば、カキの養殖を守れるかもしれないが、いずれにしろとても厳しい状況ですね」

冨山さんの言葉からは、厳しい現実と、それでも諦めない姿勢が伝わってきました。

心配の声と、対策を求める声【SNSの反応】

感情分析の結果、多くの人が心配し、対策を求めていることがわかりました。

【心配・懸念の声】

「生産者の皆さんの気持ちや生活が心配です。なんとか心穏やかに過ごせる状態になりますように」

「今年だけの問題ではないので、今後、廃業する人が出てきそう」

「牡蠣大好きなのに・・・。どうにかならないのかな😭」

「”牡蠣が食べられない” だけの話じゃなくて、産業にも環境にも影響が出てるのが本当に深刻ですね…」

【原因分析・考察】

「主な原因として、高水温と高塩分の環境に同時にさらされたことによる生理障害と推定」

「温暖化による高水温と小雨による高塩分との相乗効果があったのではないでしょうか」

「今年は暑すぎで海水温を下げる台風も近寄れなかったからね‥」

冨山さんの指摘と同じく、多くの人が高水温と台風の不在を原因として挙げています。

【対策提案】

「これはまずい。これからは陸上養殖するしかないのかもな」

「科学的に原因究明を願いたい。もう一度養殖をするためにも」

「新広島県知事のお仕事だな。早急に経済的な援助など対策が必要だ」

陸上養殖への転換や、科学的な原因究明、行政の支援を求める声が多数ありました。

この問題のまとめ

瀬戸内海を中心に、養殖カキの8、9割以上が死滅する深刻な事態が発生しています。

香川県の養殖業者である冨山保司さんは、「このまま全滅するのでは」という不安の声を聞かせてくださいました。原因は異常高温による複数回の産卵と体力消耗、そして台風不足による海水の酸素不足。産卵しない「三倍体(さんばいたい)」のカキなら死滅率が下がる可能性もあるとのことですが、新規投資が必要で、補助金などの支援が求められています。

「牡蠣が食べられない」だけの問題ではなく、産業・環境・気候変動につながる深刻な課題です。

ライターコメント

カキといえば、「森は海の恋人」という名言を残した気仙沼の畠山重篤さんを思い出します。カキの不漁は海の環境だけでなく、山の自然環境の循環の悪化など、たくさんの複合的な要因が重なっていると説き続けた方です。私たちは今、地球の環境が大きく変わっているという重大な局面にいるのかもしれません。

 

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