「コロちゃお」vol.1 1280円(税込み)

【デジタル全盛時代に紙が爆売れ】「コロちゃお」に今の子たちが夢中なワケ

By - emogram編集部
ライフ

デジタル全盛の時代、紙の雑誌が売れている!?

そんな信じられない現象が、今まさに起きています。

2025年12月19日に発売された新雑誌「コロちゃお」が〝爆売れ〟しているのです。この雑誌、小学生男子向けナンバーワンの「コロコロコミック」と、少女まんが誌の「ちゃお」が融合した、前代未聞の雑誌です。

「電子書籍の時代に紙の雑誌?」と思うかもしれません。

でも、この雑誌、子供たちの間で大ブームになっているんです。

小3娘が「めちゃくちゃ読みたかった雑誌!!」と大興奮

実は、筆者の娘(小学3年生)がまさに「コロちゃお」のターゲット世代。これまでも「コロコロコミック」と集英社の「りぼん」をこよなく愛して読んでいました。

ところが最近、「どっちもなんかしっくりこない」と言い出して、「りぼん」は買うのをやめてしまったばかり。コロコロは面白いけど「男子向けすぎる」、りぼんは「恋愛ばっかりでちょっと…」という感じだったようです。(そもそもちびまる子が好きなタイプなので…)

そんなとき、書店で出会った「コロちゃお」。

「これ、めちゃくちゃ読みたかった雑誌!!」

こう娘は大興奮して、即購入。それ以来、毎日手放さずに読み込んでいます。寝る前も、朝起きても、暇さえあればコロちゃお。付録で遊び、漫画を読み、また最初から読み返す…という日々。

この光景を見て、確信しました。「ジェンダーレス」な感じが、今の子供たちにピッタリなんだな、と。

「男の子向け」「女の子向け」の壁を壊した革命的雑誌

「コロちゃお」の何が革命的かというと、男女の枠を完全に取り払ったこと。

これまでの漫画雑誌は、男女のボーダーが明確に分かれていました

  • 男子向け:「コロコロコミック」(ホビー、ゲーム、熱血ストーリー、爆笑ギャグ)
  • 女子向け:「ちゃお」(恋、おしゃれ、夢、アクセサリー付録)

でも、今の子供たちって、そんな単純に分けられないんですよね。

ポケモンもカービィも好き。ベイブレードもかっこいいと思う。でも恋バナも興味ある。おしゃれも楽しみたい。ギャグ漫画で爆笑もしたい。

そんな「全部好き!」という子供たち(そして大人)の潜在的なニーズを叶えるために、「コロコロコミック」と「ちゃお」という〝異なるDNAを持つ二つの媒〟が一つになったんです。

担当編集者の脇立樹さんは、これを「漫画日本代表ともいえる挑戦」と表現しています。

なぜ今、デジタル全盛期に紙の雑誌なのか?

スマホでマンガを読むのが日常になった今、あえて紙の雑誌を創刊する意味とは?

デザイナーの前田高志さん(任天堂出身、「ブレイキングダウン」ロゴデザイン、「勝てるデザイン」著者)は、こう語っています:

「スマホでマンガを読むのが日常になった今、一冊の雑誌を手に取って読むという行為は、とても豊かな選択だと思います」

確かに!デジタルで読むのも便利だけど、紙の雑誌を手に取る体験って特別ですよね。あの雑誌のにおい、手触り、付録で遊ぶ楽しさ。全部ひっくるめての「雑誌体験」。

娘を見ていても、スマホでマンガを読むのとは違う、雑誌を抱えて寝転がって読む幸せそうな顔。これは紙じゃないと味わえない体験です。

任天堂DNAを受け継ぐデザインの力

ところで独特の「コロちゃお」のビジュアル。これには理由があります。

担当編集者の脇さんは、「ベーシックで強くて、明るいデザイン」を目指し、その理想を「任天堂コンテンツ」に見出したそう。そこで白羽の矢が立ったのが、任天堂出身のデザイナー・前田高志さんでした。

前田さんは独立後、令和コンテンツのど真ん中「ブレイキングダウン」のロゴデザインを手がけたり、著書「勝てるデザイン」を大ヒットさせたりと、まさに今ノリにノッているデザイナー。

前田さんが「コロちゃお」のロゴで目指したのは「漫画雑誌のロゴとしてデザインしない」こと。

また表紙は、極限までロゴを大きく配置。「書店で思わず『何だろう?』と目を引く良い意味での違和感」を目指したんだそうです。

なぜ今の子供たちに刺さるのか?ジェンダーレスの時代

娘を見ていて痛感するのが、今の子供たちは「男の子向け」「女の子向け」という枠組みに縛られたくないんだろうな…ということ。

娘はポケモンもクレヨンしんちゃんも好きだし、カービィも大好き。でも、おしゃれにも興味があるし、ボンボンドロップシールも好き。ちびまる子ちゃんで爆笑もしたいし、ちょっとドキドキする話も読みたい。

これって、おかしいことじゃないんですよね。むしろ自然なこと。

でも、従来の雑誌は「男子向け」「女子向け」と分かれていて、どっちを選んでも「ちょっと違う」感じがしていたんだと思います。

「コロちゃお」は、その壁を壊した雑誌と言えそうです。

ちなみに、掲載されるまんが作品は2026年1月以降に、WEBサイト「週刊コロコロコミック」や「ちゃおプラス」での連載を予定しているそうです。デジタルの世界でも楽しめることになり、ますますファン層が広がりそうですね。

ライターコメント

娘が漫画好きになったきっかけは、私が昔読んでいた作品から。ドラえもん、あさりちゃん、ポケモン、サザエさん、ちびまる子ちゃん…どれもジェンダーレスな作風で、男女関係なく楽しめるものばかり。そんな親子だからこそ、「コロちゃお」の登場は本当に感動的でした。娘だけに読ませるのはもったいなくて、今では親子で、夫婦で回し読みしています。紙の雑誌を家族で共有する豊かさを、改めて実感しています。

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