「AED」の中で金魚が泳ぐ!?シュールな光景の裏にある「むろと廃校水族館」の情熱

By - emogram編集部
ローカル

高知県室戸市。かつて子供たちの声が響いた小学校が、今は驚きの姿に生まれ変わっています。その名も「むろと廃校水族館」。 SNSで「シュールすぎる」とたびたび話題になるのが…廊下に置かれた「AED収納箱の水槽」です。 

なぜ、命を救うための装置の中に金魚が泳いでいるのか。館長の若月元樹さんに直撃すると、そこには廃校という現実と向き合う切実な想いがありました。

「もったいない」から始まったAED水槽

若月館長:「そもそも、この地域は人口減少が止まらず、学校も保育園も閉園が続いています。このAED収納箱も、廃園になった保育園から譲り受けたものでした」

新しいAEDを導入した際、収納箱はサイズが合わず不要になってしまったそう。普通なら捨ててしまうところを、「もったいない」と金魚の水槽に再利用したのが始まりでした。

しかし、理由はそれだけではありません。

若月館長:「この地域にはAEDがあまり配備されていません。でも、こうして金魚が泳いでいれば、みんなが注目してくれる。『ここにAEDの箱がある』と地域の人に覚えてもらうことが、いざという時に命を救うことに繋がると考えました」

そんな深い考えがあっての「AED水槽」だったのです。

「屋外大水槽」は、なんと25メートルプール!

学校らしさはこれだけではありません。かつて子供たちが泳いだ25メートルプールは、今では「屋外大水槽」と呼ばれ、ウミガメやサメが悠々と泳いでいます。

若月館長によれば、ここにいる魚たちは、すべて地元の漁師さんから譲り受けたもの。

若月館長:「売れない魚や、おいしくない魚を毎朝届けてくれるんです。だから、展示内容は『その日の海次第』。今はマンボウもいますよ」

なんと!!校舎内の水槽には、水族館として珍しいマンボウの姿も!

一期一会の出会い

水族館でマンボウが見られるとなれば、通常は大きなニュースになります。しかし、なぜむろと廃校水族館のマンボウは大きな話題にならないのか…。

若月館長:「うちには長期飼育できる環境がないので、1週間ほど展示したら、また海に戻してあげるんです。だから、来てもらった時にマンボウがいるかは分かりません」

「うちには地元の室戸の魚しかいない」と胸を張る若月館長。室戸の海の豊かさを一時的に「借りて」見せてもらっている、という言葉が印象的でした。

ライターコメント

筆者は過去に2回、室戸岬を訪れたことがあります。高知市中心部から車で約2時間。決して「気軽に行ける距離」とは言えない、四国の端っこにある場所です。若月館長に「室戸岬、行ったことあります!」と電話でお伝えしたところ、「えっ、それは珍しいですね!」と驚きのリアクションが。自虐を交えつつも、地元の魅力を全力で守る館長の明るく情熱的な人柄が、その一言に凝縮されているようでした。

<ライタープロフィル>ゆんち

旅、食、釣りが好きな脱力系ライターです。田舎の町が好きで、旅先では温泉に入ったりおいしいものを食べたり、ぼーっと海を眺めたりして過ごしています。長年、取材の傍ら飲んで旅して釣りをして…という日々を過ごしていましたが、2人の子供を出産後、教育や健康、ライフハックにも目覚め、現在は期間限定で禁酒中。「趣味を仕事に!」をモットーに、新商品や旅行、ファッション、グルメなど、気になったことを記事にしていきます。

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