東京国立博物館に現在はそれぞれ一隻ずつの屏風(びょうぶ)として収蔵されている尾形光琳(おがた・こうりん)筆の重要文化財「風神雷神図屛風」と酒井抱一(さかい・ほういつ)筆の重要文化財「夏秋草図屛風」は、本来表裏である一隻の屏風です。
その屏風が収蔵されている東京国立博物館の東洋館内「TNM & TOPPAN ミュージアムシアター」でVR(仮想現実)作品「風神雷神図のウラ -夏秋草図に秘めた想い-」の再上演が4月23日から始まりました。期間は7月13日までです。
酒井抱一と尾形光琳
今回、VR作品として登場する風神雷神図屛風を作成した尾形光琳は1716年に死去。酒井抱一は1761年生まれですから、その生が重なることはありませんでしたが、酒井抱一による尾形光琳への傾倒は非常に有名なものでした。
尾形光琳の百年忌には自ら音頭を取って、法要と展覧会を開催しています。
61歳頃に後の徳川第11代将軍家斉の父で、一橋家の当主・治済(はるさだ)より、「風神雷神図屛風」の裏に作品を描くよう依頼を受け、描かれたのが「夏秋草図屛風」です。
今回なにがすごいって
今回再演されるVR作品のすごさは、作品保存のため、1974年に表と裏に分けられ、現在はそれぞれ別の屏風として収蔵されている作品を「本来の形」で鑑賞できることです。
自然に翻弄され、雨に濡れ、風に揺れる繊細な草花を描いた「夏秋草図屛風」に託した抱一の想いをひも解き、屛風のオモテとウラの関係に隠された秘密に迫ります。
制作にあたっては、約30億画素の高精細画像に質感要素データを取り込むことで、文化財の質感を忠実に再現。ロウソクの光で照らした場合や、月明かりに照らされた場合の見え方など、実際の文化財では不可能な条件下での鑑賞を可能にしたそうです。
鑑賞には東京国立博物館の入場チケットのほかに、VR鑑賞料金の支払いが必要です。チケット購入はミュージアムシアター前の券売機での購入になるそうですので、上演時間などよく調べてから来館されることをおすすめします。
東京国立博物館公式サイト:https://www.tnm.jp/
ミュージアムシアター公式サイト:https://www.toppan-vr.jp/mt/