「2025年大阪・関西万博」の閉幕(10月13日)から1か月以上が経ちましたが、ネット上では、まだまだ万博の余韻に浸る声に溢れています。
中には「みんな最初は万博アカンいうてたやん~」と突っ込みつつ、展示空間・パビリオンのすばらしさを称え、来場者数が想定を上回る成果であったことを称賛する声も多く見られます。
1970年に開催され「行くな 大阪 混んでるぞ」という言葉が生まれたくらい伝説的な人気を誇った1970年大阪万博も、当初は開催にネガティブな意見も多かったのをご存じでしょうか?
そんな顛末があった1970年大阪万博の存続を題材に、「西暦2025年=昭和100年の架空の未来」を舞台にまじえた映画「大長編 タローマン万博大爆発」(8月22日公開)が、興行収入2億円を突破する異例の大ヒットとなっています。
『大長編 タローマン 万博大爆発』
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㊗️ 興行収入《2億》突破‼︎
_______________★観客動員もまもなく 15万人 目前!#映画タローマン を観に
劇場へご来場いただきましたみなさま、
ありがとうございます!これからも、まだまだ
『大長編… pic.twitter.com/m52d4HM5SY— 映画『大長編 タローマン 万博大爆発』公式 (@eiga_taroman) October 14, 2025
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配信チケット好評発売中!
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#藤井亮 × #岡村渉
トークイベント #新宿大爆発
______________📢12/12(金) 19時〜
新宿/ロフトプラスワン にて会場チケットは完売御礼!👏
※当日券の販売はございません。… https://t.co/2IyThorOjp pic.twitter.com/BYOltzcCJ4— 映画『大長編 タローマン 万博大爆発』公式 (@eiga_taroman) November 17, 2025
シュールレアリスム星出身という設定の巨人のタローマンが、でたらめを繰り広げたり、未来の秩序や、岡本太郎の作品がモチーフになった奇獣と対峙するというストーリー。なんと、「太陽の塔」が動きだしてしまう姿も描かれます。
映画のヒットを受け、トークライブの開催のほか、海外映画祭での出品、渋谷PARCO8階「ほぼ日曜日」での展覧会「でたらめ!タローマン大万博」(9月14日~10月19日)に続き、川崎市岡本太郎美術館での展示イベント「タローマン大万博 川崎パビリオン」(10月28日~12月14日)、2026年3月27日にBlu-ray・DVD の発売、今後もイベントが「目白押し」となっています。
メガホンを取った藤井亮監督自身「岡本太郎の作品以外知っている人がひとりも出てこない怖い映画」とユーモアを交えて語ったり、舞台挨拶でも「テレビ番組やCMなどでは、ほとんどとりあげられることなく、みなさんの口コミがたよりの映画なので、もし見て楽しかったら、広げていただけると嬉しいです」と話したりしているように、ここまでの人気に驚いているご様子です。
映画「タローマン大爆発」とは
映画「タローマン大爆発」は、2022年にNHK Eテレで放送された特撮番組「TAROMAN 岡本太郎式特撮活劇」の流れをくむ作品です。
制作・監督・脚本は、武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科出身のクリエイターであり映像作家である、藤井亮監督。株式会社豪勢スタジオ(命名・糸井重里)を設立し、「おもしろい」「でたらめ」などを大人の技量で表現するクリエイティブアイデアに長け、これまでも「石田三成CM」(滋賀県)などを手掛けるなど、そのユニークさが話題になってきました。
主演・スーツアクターはマイム俳優の岡村渉さんで、今回タローマンだけでなく、劇中内のべらぼうな数のキャラクター群の「中の人」をつとめています。
テレビ版では一回5分の全10話であったシリーズですが、映画では105分程度の大作になっています。
「芸術は爆発だ」という言葉でも有名で、多くの著書を残し、数々の言葉を残してきた岡本太郎に関して、作中では、何度も繰り返される「なんだこれは!」というセリフをはじめ、彼の名言やエッセンスが、これでもかというほどちりばめられています。
〝超現実的〟な不思議な世界設定
テレビ版の「タローマン」は、「1970年代に放送されていた実際の人気番組」という架空の設定のもと、「現存映像」とされる特撮パートと、インタビューパートにわかれており、「子供の頃にリアルタイムで見ていたマニア」という設定の音楽家の山口一郎さん(45)(ロックバンド・サカナクション)が、それらしき感想や架空のグッズを語ったりする構成となっています。
視聴者に対し「ひょっとして、実際にタローマンという番組が存在していたのかも?」と思わせるような世界観が人気で、今回の映画版でも、「なんだこれは!」というような現実を超える”べらぼう”っぷりが、存分に描かれています。
映画版のあらすじ(公式サイトより)
時は1970年。万博開催に日本がわきたっていたその時、2025年の未来から
万博を消滅させるためにやってきた恐ろしい奇獣が襲いかかる!
でたらめな奇獣に対抗するには、でたらめな力が必要。
しかし、未来の世界は秩序と常識に満ち溢れ、でたらめな力は絶滅寸前になっていた。
CBG(地球防衛軍)は万博を守るため、タローマンと共に未来へと向かう!
元々、藤井監督は、NHKから岡本太郎の作品と言葉を伝える番組の提案があった際、既に岡本太郎をテーマにした作品群は他にあったため、岡本太郎のスケールの大きさを表現するにあたって、大きなものが動く「特撮スタイル」を提案したといいます。
1970年代当時の雰囲気や、クラシックな特撮っぽさをだすために、俳優さんのセリフはアフレコ、手作り感のある演出など、細部にわたる演出が作品の大きな魅力となっています。
海外の映画祭でも絶賛の言葉が相次いだ本作。ぜひ、劇場や来春発売予定のブルーレイ&DVDなどでお楽しみくださいね!
また、「応援するとやる気をなくしてしまう」というタローマンのでたらめさを体現した、「応援しない」応援上映では、至るところで観客のみなさんと一緒に、声をだしてつっこんだりできるので、こちらもおすすめです!
「映画の斬新さとでたらめさ」SNS上の声
「タローマン万博大爆発」のべらぼうヒットに対し、SNS上で様々な声があがり、盛り上がりを見せています。
多くの人が、「タローマン万博大爆発」に刺激を受け、さまざまな感想や期待が垣間見えるコメントを寄せています。コメントを独自に分析したところ、映画の面白さと感動にくわえ、斬新さや「でたらめ」など、本作ならではの様相に。

【映画の面白さと感動 の声】
「めちゃくちゃ良かった。あまりにもでたらめでちょっと泣いた」
「岡本太郎の言葉が強いのはもちろんなんだけど、岡村渉さんのフィジカルの説得力が凄まじい」
「大長編タローマン、カットはでたらめなのに、シーンとストーリーの骨格はしっかりしてました」
「タローマンこそ国宝であり爆弾であり、決めつけの八重歯だと思います!」
【映画の斬新さとでたらめさの声】
「なんだこれは!?」
「冒頭4分でこの密度!これが105分も続く!?頭がなんだこれはになってしまう!?」
「普通にヒットして欲しいくらいに面白かったわ。もう一回みたいな」
【応援と期待の声】
「〝映画館〟で観るべき映画だと思います!」
「みんなもタローマンと一緒に万博を大爆発させよう‼️」
「こっち来るなタローマン!て野次入れたいし」
口コミがどこまでも続く
今回の分析では、映画「大長編 タローマン 万博大爆発」に対して、映画の面白さと感動を示す声のほか、映画の斬新さとでたらめさ、応援と期待に関する感想が多く述べられています。ブログやnote、イラストなどで、しっかりと感想を語る人も多く、タローマンの影響力の大きさが垣間見れます。
ライターコメント
藤井監督が、「太陽の塔が動いたら面白い」と思ったのがきっかけという本作。
大変すばらしく、筆者も何度も見に行ってしまいました。とりわけ応援上映中は、みなさんのタローマンの愛が伝わってきて最高でした。一緒に見に行った知人の子供も3回見たといい、作品中のセリフも一部完コピしているほどハマっていました。
一方、筆者は本作に非常に感動し、特にテーマ曲「爆発だッ!タローマン」に登場する「芸術に傷つけ」の歌詞に堪え切れずに泣いてしまいました。さらに観賞後は岡本太郎の言葉が延々と頭をまわり続け、岡本太郎と藤井監督とタローマンに、今も脳を焼かれ続けているような状態です!
テレビシリーズの制作を通じて「岡本太郎に脳を焼かれて」いたと語る藤井監督は、映画化のオファーを受けたとき、「岡本太郎のようにマイナスに飛び込んだ」といいます。低予算のなかで、先方が想定していた「ファンムービー」や「総集編」に留まらない、一本の長いストーリーを持つ完全新作の長編制作に踏み切りました。
映画制作においても、物語やディティール、キャラクターや衣装のデザインといったクリエイティブのほとんどをほぼ一人で担ったのだとか。予算の部分で制作美術に断られた部分もあったといい、ホームセンターや100円均一の日用品を用い、これまでも「日用品ヒーロー」などを制作してきた造形作家・安居智博さんにメインビルをお願いし、それ以外のビル群等は自分達で制作に励んだといいます。
一方で、岡本太郎は、万博当時、すでに出来上がっていた大屋根(作・丹下健三)を打ち破る形で「人類の進歩と調和」というテーマや流行りのモダニズムへのアンチテーゼとして、縄文土器モチーフの、太陽の塔をたてたといわれます。大屋根を見るなり「70mだな」と呟いたと語られ、本人も「どうしてもこいつをボカン!と打ち破りたい衝動がむらむら沸き起こる。優雅におさまっている大屋根の平面に、ベラボーなものを対決させる」と著述に残しています。まさに、映画のでたらめvs秩序という対極主義にも通じるところだと、岡本太郎記念館館長の平野暁臣さんは語っています。
「万博反対」略してハンパクというスラングも生まれましたが、当時、「アバンギャルド」の自負もあった岡本太郎は、「一番ハンパクなのは岡本太郎だよ」と笑ったんだそう。
藤井監督も岡本太郎も、「本職・人間(岡本太郎の言葉)」でありながら、やはり作家としての爆発力が感じられるように伺えます。
また、「タローマン」映画は国際評価も上々で、ファンタジア国際映画祭にクロージング上映として選出、その後も、世界三大ファンタスティック映画祭のひとつとして、シッチェス・カタロニア国際映画祭や、ストラスブール・ヨーロッパ・ファンタスティック映画祭への出品も決定しました。
カタロニア国際映画祭委員長のアンヘル・サラ氏は、「現代芸術、ポップカルチャー、物語の融合だ」「他にはないスクリーン体験」とコメント。また、ストラスブール映画祭のプログラミング・ディレクターのバスティン・メイレゾン氏は、「超現実的な想像力、手作りの温かみ、そして懐かしさと前衛的なスタイルが交錯するビジュアル」が、「子供の頃の夢が持つ不思議さと現代アートがもつ反逆的な知性を捉えている」「唯一無二の映画体験」であると絶賛しています。
こういった反響に対し、舞台挨拶にて、藤井監督は「海外の人に伝わるとは全く思ってなかった。とにかく内容もネタも日本ローカルなので」と謙遜しつつ、「よくわからない部分をアートとして捉えてもらったという」と笑顔を見せました。
「海外連れていったら楽しいでしょうね、タローマンは」ということで、今後の動きも見逃せませんね。
映画のパンフレットでは、昔の特撮ヒーローの作り手たちがシュルレアリスム作家だったことなども踏まえた「特撮とシュルレアリスムとタローマンの関係」(アニメ特撮研究家・氷川竜介さん)にて、特撮×シュルレアリスム×岡本太郎の接続についても読めるので、こちらもおすすめです!
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