丸善丸の内本店が24日、公式Xを更新。文庫の週間ベストセラー(8月14日~8月20日)を発表しました。
どんな本が人気なのでしょうか。
5位 宮島未奈「成瀬は天下を取りにいく」(新潮社)
4位 王谷晶「ババヤガの夜」(河出書房新社)
3位 伊坂幸太郎「マイクロスパイ・アンサンブル」(幻冬舎)
2位 吉田修一「国宝 上 青春篇」(朝日新聞出版)
栄えある第1位は
1位 柚木麻子「BUTTER」(新潮社)
この本は、実際の事件を着想源としつつ、女性同士の友情と信頼を軸に展開する、作家・柚木麻子さんの社会派長編です。
若くも美しくもない女・梶井真奈子が、男たちの金と命を奪った容疑で逮捕されます。週刊誌記者・町田里佳は、親友の助言で梶井との面会に成功。梶井から「あること」を命じられた里佳は次第に自らの欲望に目覚め、内面も外見も変化し、周囲の人々の運命も巻き込んでいくというストーリーです。
この作品は海外でも翻訳されており、イギリスでは、書店大手ウォーターストーンズの2024年の「今年の1冊(Book of the year)」に選ばれました。翻訳小説がこの賞を受賞することは極めて珍しく、日本人では初の受賞だったことから、そのことが日本でも話題になって人気に火をつけていると思われます。
【丸の内本店週間ベストセラー】2025年8月14日~8月20日2-1
『文庫』
1位:BUTTER(柚木麻子_新潮社)
2位:国宝 上 青春篇(吉田修一_朝日新聞出版)
3位:マイクロスパイ・アンサンブル(伊坂幸太郎_幻冬舎) pic.twitter.com/V3EeiAXBpD— 丸善丸の内本店 (@maruzen_maruhon) August 24, 2025
ネットユーザーの書評
週間ベストセラー(文庫)に輝いた「BUTTER」に対して、ネット上では読者からレビューが相次いでいます。
emogram編集部では、この話題に対するネットユーザーの感情を独自に分析しました。
感情分析の結果は以下の通りです。
主な「楽(面白さ・ワクワク)」の声(45%)
「読みだしたら止まらないくらい、面白かった。人たらしの容疑者にコントロールされそうになっていく記者の描写が目を離せないような読書でした」
「バターご飯食べたいと思ったことだけ。とにかく状況描写が多すぎ」
「とにかく料理の描写が秀逸との評判と、私がこの世で一番好きな食べ物がタイトルになっているので読んでみました」
「食についての視察が深いということで期待して読みましたが、その点では少し強引と言うか一方的かな」
「メス牛の血液から作られる牛乳によって出来るバター。マーガリンのような代品では満たされぬ心」
主な「怒(不満・苛立ち)」の声(35%)
「登場人物の心理描写やいろんなことがバラバラと描かれすぎて、浅く終わってしまっているのが残念」
「全体的にとっ散らかった印象の話でした。カジマナが結局なんで男たちを殺したのか、途中まではそこをとことん追っていくように見えたのに」
「作者は太ることに嫌悪しているよう。体型のことがしつこく書かれている」
「いちいち鼻につく文体。文章は、文頭の長い修飾部の後に主語が来ることが多く、少し読み辛かった」
「途中まではグルメな容疑者の話が面白かったけれど、後半に向かって退屈になってしまいました」
主な「喜(感動・満足)」の声(15%)
「大変に面白かったです。私の中では、今年一番の小説です」
「清々しい読後感の人間ドラマ。冗長に感じる部分もあったが、食べ物や料理の描写がよかった」
「面白くて続きを読みたい読みたい! と思える本でした」
「日々感じている違和感をうまく言語化してもらったようなところがあって、あっという間に読んでしまった」
「読後感は清々しく、とりあえずバターごはんを食べたくなった」
主な「哀(切なさ)」の声(5%)
「友情について少し思い出したり(ずっと友達いなくて、長い間こんな気持ちは忘れていました)」
「世の中の女性に対する理不尽なまでの価値観の押し付け、中でも容姿について言及する人々の無神経さが印象的」
「昨今は様々な価値観が尊重されていますがビジュアル信仰はますます強くなる一方です」
まとめ
レビューを分析した結果、この作品に対する読者の反応は複雑で多様です。食べ物(特にバター)の描写の素晴らしさは多くの読者に評価されており、実際にバターを使った料理を作りたくなったという声が目立ちます。一方で、登場人物の描写や物語の展開については意見が分かれています。
ライターコメント
「BUTTER」は、バターを中心とした食べ物の描写が秀逸で、読者の食欲を刺激する一方、女性の生きづらさや友情、自己肯定といったテーマも描かれています。前半は容疑者との緊張感あるやり取りに引き込まれるものの、後半の展開や登場人物の行動に違和感を覚える読者も多く見られます。