青森県出身のお笑い芸人の九月さん(32)の、ユーチューブ動画「【神回】著書が入試国語に使われたのでガチで解いた」が、公開後10日前後で、17万回以上の再生数(4月13日現在)となっています。
著書『走る道化、浮かぶ日常』の文章が、足立学園中学校(東京都足立区)の入試国語の現代文に使われたことから、「筆者自ら解いて問題の考察をしました!!!」とXで表明しています。
自身、京都大学教育学部卒・修士課程修了という肩書を持つ九月さんだけに、内容は、数々の笑いどころが散りばめられながらも、知見に富んだものとなっています。同じく京大教育学部出身の教育関係で働く友人との掛け合いも面白く、見てて、思わずにっこりしてしまいます。
「俺、筆者やから」「俺の回答自体が本文やねん」
問題を解きながら「筆者やもん」「俺の回答って本文やから」「(筆者の意図を問う出題に対し)そんなん俺決めていいからね」といった類のぶっちゃけと、ポジショントークのおふざけを、何度も繰り返す九月さん。
それでも、問題文とその作成者に対する素直さと敬意を忘れません。
さすがの勉強好きだけあって、問題自体は真摯に解いており、
「楽しげにおしゃべりしてたのに急に真剣に解き出すの、温度差で風邪引く。ちゃんと問題むずいし」というコメントも。
<筆者みずからが、著書からの国語問題に回答する>という行為によって得た「知見」を、さらに九月さん自ら、Xのツリーにまとめました。

知見①(筆者の)心情を問う選択肢の問題は、筆者(本人)にとっては占いみたいになる
「筆者が、これを〇〇なことだと考えている理由として最も適切なものを選び答えなさい」といった類の問いについては、
「文章から読み取れる気持ちなのか俺に対する占いなのかがわからんくなる」
「あなたそういうふうに思ったことありますよねって言われたらあったかもなって言っちゃう」
と語っており、選択肢ひとつひとつに感情移入できてしまえるのか、筆者(九月さん)自身の高度な読解力と強烈な感受性の豊かさが伺いしれる言葉選びとなっています。



知見②選択肢はときに筆者への悪口みたいになる
「選択肢が全部ちょっとずつ嫌な奴じゃない?」
「俺への悪口になってんのよ」「お前の文章は読む人が読んだらこう読み取れるよ、みたいな」
コントや文章で、自他の人間がもつ「自意識」をネタにし続けてきた九月さんですが、ここでも、相変わらずの自意識の強さが健在です!



知見③問題作成者の大喜利が強すぎて、筆者からしたら選択肢が全部正解になることがある
「大喜利やからおもろかったらなんでもいい」などと言い出し、もうひとつの顔であるお笑い芸人としての側面と視座を発揮してしまい、
「全部おもろいねんこれ」「全部正解です」と言い切ってしまいました。
九月さんは、これまでもコントやトークのなかで、「問題を作る人」に対する敬意や興味を示してきました。ここでも彼ならではの、問題作成者への、敬意と賞賛が伺いしれます。
またのちにXでも「これは作った先生すごいよね、謎エピソードの要約を完成させる問題とか、かなり洒落てるもんな」と振り返りました。



知見④芸人が書いたエッセイなので、解答根拠が「天丼」の問題がある
問題箇所以前にでてくる、類似の構文がヒントになっている設問に対し、
「解答根拠、天丼の問題あるんだ」「これでも中受でしょ、小6でしょ」「まだ天丼の概念ない奴結構いるって」
と、勉強好き×お笑い芸人ならではの解釈も。



知見⑤試験問題として読むと、自分の文章の粗さを感じる
「これさ、本文を久しぶりに読んで思ったんやけど」「文章下手じゃない?」「(前半と後半で)ちゃう話をしてる」「俺現代文で初めて見た『じゃ、別の話』って違う話始める奴」と、2年前の自分の文章を批評をしはじめる九月さん。
具体的かつ、聡明なフォローに入るご友人との仲睦まじさに、ほっこりできるのも見どころです。もちろん、文章の書き方の勉強にもなりますね!



動画への反応
今回、扱っている文章の内容が、「無意味エピソード」ということもあり、
「『無意味エピソード』が、エッセイに使われ、入試に使われ、動画に使われて、もはや無意味ではないのエモいな」
「動画としての資料的価値がめっちゃ高い」
「問題だけ見ることはこんなにも本文を読みたくさせるんか」
といった、新たな発見や関心をもった感想で溢れかえりました。
答えあわせ
「正直全部思ったことある気持ちでこれ筆者やからむずかったわ」「いい問題やったわ」などと豪語しながらも、すべて解き終えた九月さんと、最後までつきあった友人。
京大教育学部卒のお2人は、九月さんの本から出された中学入試国語問題に果たして満点解答なるのでしょうか?
どのように考え、どこを正解し、どこをどういう風に間違えるか、こちらから見れます!
原著を読んだ人でも、そうでない人も楽しめる内容となっています。
また、九月さんの自意識とユニークさが映し出されている文章は、著書『走る道化、浮かぶ日常』でも、読むことができます!
今回の動画がバズったのを受け、九月さんはXで、
「『やりたいことは公式に発言したほうがいい』ってよく聞くので発言しておくと、新聞または雑誌の連載をものすごくやりたい そろそろ来そうだなとも思っている 来い どこからでも来い」と表明しました。
来るといいですね!
